5.好奇心はほどほどに☆
なんで誰も突っ込まないんだ。明らかにふつうじゃないだろう。こんな映像流されて、みんなスルーかよ!?テレビをつけた張本人――ジュースの部員さんは、なぜかイチャつくカップルをガン見なんですけど!りんごジュース飲みながら男女の生々しい映像を見つめる貴女の心が、1ミリたりとも理解不能なんですけども!!
俺はまた下を向いていた。だが、下を向いた所で何も変わりはしない。視界を奪われた事で、より鮮明にオカマの叫ぶ声や、英語や、またテレビの中のイチャつくカップルが…………
俺は、本当に分からなかった。今までも意味不明なことばかりだったが、こればっかりは本当に……
俺が1人で悩んでいると、ジュースの部員はふと腰を上げた。
「便所」
そして、部室を出ていった。
てか……えぇ?便所?便所って言ったよな、今!?女の子がよくもまぁ、恥ずかしげもなくそんな言葉を言えたもんだ。それも今日会ったばかりの、ろくに会話も交わしてない異性の前で。
* * * * *
何はともあれ、今、ジュースの部員はトイレに行っていてここにはいない。まぁあれだけ飲んだんだから、用を足したくなるのは当然というものだが。
チャンスだ、と思った。チャンネルを変える、チャンス。そんな事をする余裕があるならさっさと帰ればいいのだが、今のところ、俺は危害を被っていない。困惑してはいるが、危険は及んでいない。
オカマに迫られた時や、べつの部員が英語で怒りだした時は正直びびったが、それも自分に向けられているものではないと分かって少し安心していた。その安堵が、新たな疑問への好奇心へと変化させていた。そうだ、好奇心だ。べつに、チャンネルを変えたからといって大爆発が起こるわけじゃあるまいし。
よし、ジュースの部員が戻ってくる前に押してしまおう。うん、ぽちっ。
……あり?ありり?
いろんなボタン押してるんですけど、けっこう強めに押してるんですけど、いっこうにキスシーンの画面変わらないんですけど!?なんで!??
「あーそれね、チャンネル変わらないように設定してあるのよ」
なんで!??それ意味あんの!?
てか……あれ、ジュースの部員さん帰ってきてるんですけど。何気に俺の背後でチャンネル変わらない旨を伝えてくれてるんですけど。
てか……トイレ早くない!?気のせい?俺の気のせいかなぁ!?それとも俺の時間感覚がマヒしてるとか……
「よっこいせっと」
ジュースの部員が俺の横に腰掛けた。そして、またどこからか出してきたりんごジュースを、飲みはじめた。
まるで、それが日常であるかのように……
主人公、心のツッコミ(さけび)でした。
もう必死ですよ笑




