1.脅威的な部活動
はじめまして。
駄文ですが、よろしくお願いします。
「ジュース、飲んだ?」
それが彼女の第一声だった。
意味がよく分からず――いや、問われている意味は分かるのだが、なぜ、今、俺はそのようなことを聞かれているのか……それが全く理解できなかった。
「あの、いえ、飲んでませんけど……」
理解できないままに、少し困惑した表情を浮かべながら返答した。
すると、第一声の説明をするどころか、彼女はとつぜんジュースのビンをテーブルの上に置いた。
「りんごアップルジュース」
俺はますます困惑した。というか、混乱した。というか、リアクションに困った。
ジュースを飲んだかと聞かれて、飲んでないと答えた男に差し出されたこれは、飲め、ということだろうか……?
いや待て、そもそも『りんごアップルジュース』って、どんだけりんご強調したいんだよ……
いやいや待て待て、そもそも俺はジュースを飲みにここに来たわけじゃない。『依頼』をしに、ここに来たんじゃないか。
* * * *
俺は、あまりカバンにストラップだなんだのをぶら下げる趣味はない。だが、そんな俺もたった一つだけ飾りをつけている。うすいピンク色をした、愛らしい瞳のウサギのストラップだ。それは俺にとってはとても大切な……間違っても決してなくしたりしてはならない宝物だ。宝物だった、のに……
俺は昨日その宝物をなくしてしまい、かなり落ち込んでいた。
そんな俺のもとに舞い込んだのが、奇妙な美術部の話。
友だちの話によると、我が校の美術部は少し変わった活動内容で、美術部のくせに絵を描いている者はほとんどいないという。困っている生徒を助ける『便利屋』的活動をしているとのことだ。
校内の生徒はほとんど知っているらしいが、俺はそういうことには疎い人間なので初耳だった。
それで、ほとんど期待はせずにこの美術部に足を踏み入れたのだが……
なんとまあ、お気楽な部活だろうか。
便利屋的活動をしているのなら、部室に入ってきた人間に対しては「依頼ですか」とか、「何かありましたか」とか言うべきだろう。
少なくとも、ジュースをすすめるべきではないと思う。
「飲まないの?りんごアップルジュース」
なぜこの人は、こんなにもりんごジュースを押しすすめてくるのだろうか。俺にはそれが不思議でたまらない。
「あの、俺、探してほしい物があるんスけど……あの、ウサギのストラッ」
「あらやだぁ、りんごジュースじゃなぁい」
俺の言葉をいとも簡単にかき消したのは、野太い男の声だった。が、俺の目の前に現れた、おそらく声の主であろう部員は、男なのかどうか疑うべき容姿をしていた。
髪は長くつやがあり、口には深紅の口紅が、目にはアイシャドー……それに加えてオネエ言葉。
そう、それは俺が、生まれてこの方17年、初めて目にする『オカマ』の姿だった……




