手を繋いでほしい
掲載日:2026/04/21
学校の帰り道。
エリカは、手をぷらぷらと揺らしながら歩いていた。
隣を歩くアルが、不思議そうに見る。
「どうしたの? 手、痛いの?」
「んー……痛いとかじゃなくて」
エリカは少しだけ視線を落とす。
指先を、ぎゅっと握って、開いて。
それから、もじもじしながら言った。
「……ちょっと、寂しいかなって」
「寂しい?」
アルが首をかしげる。
エリカは、意を決したように顔を上げた。
「手……繋いでほしいの」
最後の言葉は、ほとんど消え入りそうだった。
⸻
アルは一瞬、固まった。
それから、自分の胸に手を当てる。
「……え」
ドクン、と大きく音がした気がする。
「わ、わかった」
ぎこちなく手を伸ばす。
けれど、タイミングが合わず、空を切る。
もう一度。
今度は少しだけ近づいて――
そっと、触れた。
⸻
指先が、重なる。
エリカの手は、少しだけ冷たくて。
でも、すぐに温かくなっていく。
アルはそのまま、そっと握った。
エリカも、ほんの少しだけ力を込めて握り返す。
⸻
言葉は、もういらなかった。
二人は、そのまま手を繋いで帰った。
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