恋のバイブス朗読会〜日記は朗読するためにあるのではありませんわ!〜
(本文は、リオナの日記帳より抜粋)
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〇月×日 晴れ
最近、ティナ様とカレン様のご様子がどうにもおかしい。
「仲が良い」というより、“距離が近すぎる”のですわ。
朝の教室。
いつもはお二人で登校されるのに、今日は別々でしたわ。
カレン様は元気よく挨拶をなさるものの、
ティナ様の顔を見ると突然「ひゃっ!?」と謎の悲鳴を上げられました。
……虫でも飛んでいたのかしら? と思いましたが、
虫など一匹もいませんでしたわ。
むしろ顔が真っ赤なカレン様の方が珍しいですわ。
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昼休み。
ティナ様はいつも通りお弁当を広げていると、
カレン様がそっと近づきお隣に座られましたの。
ここまではいつも通りなのですが、ティナ様が
「カレンのパン、美味しそうだね!」
と、仰いましたの。そうしたらカレン様が飛び跳ねるように驚かれて
「お、お弁当交換しよっ!」
と仰いました。
……これは、何かを隠しておられる顔ですわ。
乙女の直感が告げています。
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放課後。
下校中、わたくしが少し離れた位置から見たところ、
お二人は夕焼けを背に歩きながら、
とても静かに笑い合っておられました。
風が吹き、ティナ様の髪が揺れて……
カレン様が、思わずその髪をそっと押さえて差し上げた瞬間――
わたくし、思わず声が出ました。
「あらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
お二人、飛び上がって振り向かれました。
(恥ずかしいので木の影に隠れましたが。)
……何か、眩しいものを見てしまった気がいたしますわ。
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分析その一。
ティナ様とカレン様の間に「恋のバイブス」が流れている可能性――非常に高。
分析その二。
わたくしは完全に置いていかれております。
……なんですの、この胸のモヤモヤは。
これは嫉妬? 友情? それとも――
(この先は黒塗りで消されている)
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〇月×日 夜
グレイに「リオナ様、頬が紅潮しておりますが熱でしょうか」と言われました。
違いますわ!!恋の観察で体温が上がっただけですわ!!
……明日も観察を続けます。
お二人がどう進展するのか、見届ける義務がある気がいたしますわ。
リオナ・ヴァレンシュタイン
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(朝。ヴァレンシュタイン邸。食堂には紅茶と焼き菓子の香りが漂う)
リオナ(優雅にティーカップを傾けながら)「ふぅ……今朝は平穏ですわね。」
(その瞬間、扉がスッと開く)
グレイ(無表情)
「おはようございます、リオナ様。
昨夜お書きになった“観察日記”を拝見いたしました。」
リオナ(ティーカップを落とす)
「……は?」
グレイ(淡々と)
「……内容が非常に興味深く、文学的価値を感じましたので、
本日の“朝の朗読会”にて使用いたします。」
リオナ「!?!?!?!?!?!?!?!?」
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学校のHR(朝の会)
(教室。生徒達が席につく。
黒板の前には、何故かグレイが立っている。)
グレイ(静かに)
「――それでは、本日の特別朗読を始めます。」
ティナ(小声)
「……なんでグレイさん教室にいるの……?」
カレン(同じく小声)
「しかも台本持ってる……」
リオナ(青ざめて)
「ま、まさか……っ!?」
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グレイ朗読、開始
グレイ(澄んだ声で)
「『リオナの観察日記 ― 最近のティナ様とカレン様について ―』」
(教室の空気が凍る)
グレイ「“お二人の距離が近すぎる。恋のバイブスが流れている可能性――非常に高。”」
ティナ&カレン「!?!?!?!?!?」
クラスメイト「えっ?あの二人、出来てるの?」「たしかに仲良いよね。」「恋のバイブスってなに?」
リオナ(机に突っ伏す)
「ぎゃああああああああっ!!!」
グレイ(さらに朗読)
「“夕焼けの中でお二人が微笑み合う姿は、まるで恋詩 (ラブポエム)そのもの――眩しすぎて直視できない。”」
カレン(顔真っ赤)
「ちょ、ちょっと待って!?なんでそんなポエム調!?」
ティナ(焦り)
「リオナ!?これ本気で書いたの!?」
リオナ(机の下から)
「違うのですわああああぁぁぁぁぁっ!!!」
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追撃、止まらず
グレイ(無表情で)
「“分析その二。わたくしは完全に置いていかれております。”」
グレイ「……リオナ様、深い孤独を感じておられたのですね。」
リオナ(立ち上がる)「ちょ、ちょっと!?おやめなさいっ!!!」
グレイ「“この胸のモヤモヤは嫉妬?友情?それとも――(黒塗り)”」
リオナ「読むなぁぁぁぁぁっっ!!!!」
(リオナがグレイに飛びかかり、日記を奪おうとするが、グレイは華麗に回避)
グレイ(真顔)
「素晴らしい筆致でした。青春の香りがいたします。」
(クラスメイト、思わず拍手)
「なんか感動した。」「執事さん声きれい!」「ねぇ、恋のバイブスって結局なんなの?」
リオナ(涙目)
「感想など要りませんわぁぁぁぁぁっ!!」
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その日の放課後
(ティナとカレン、帰り道で笑いをこらえながら)
ティナ「リオナの顔、真っ赤だったね……」
カレン(吹き出す)
「“恋のバイブス”って言葉が、あんなに似合うお嬢様初めて見たよ!」
(リオナ、後ろから怒鳴りながら追いかけてくる)
リオナ「お待ちなさいぃぃぃぃぃっ!!笑うなですわぁぁぁぁっ!!」
(空に響くお嬢様の絶叫と、夕焼けに染まる笑い声。)
次回【夜風にほどける想い】
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