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9話 お姉ちゃんと釣竿と羞恥プレイ

(石畳の通り。朝の市場は人で賑わい、香ばしい焼きパンの匂いが漂う)


ティナ「ほぇ〜、アニメとか漫画で見たような街並みだー!」

(レンガ造りの家々、並ぶ屋台。目を輝かせるティナ)


リリサ「迷子にならないようにね。ちゃんと着いてきて。」

ティナ「はーい……(観光テンションで完全に子供扱いされてる気がする)」


――町役場にて。


(リリサが手続きを済ませ、名刺サイズのカードを手渡す)


リリサ「はい、これがあなたの住民カードね。」

ティナ「氏名……ティナ・フローレンス。

 性別、女性。種別、エルフ。……生年月日……1XXX年6月3日?」

リリサ「今年で13歳ね。見た目的にもそのくらいじゃないかしら。」

ティナ「13歳……JC1年生か……はぁ……」

リリサ「小学生が良かった?」

ティナ「違わい!!」


――数分後、雑貨屋にて。


リリサ「部屋の置物とかどうする? あなたの好みに合わせていいわよ。

 ほら、このぬいぐるみなんてどう?」


(リボンをつけたクマのぬいぐるみを持ち上げるリリサ)


ティナ「女の子扱いすんな! ぬいぐるみなんていらん!」


(店内をぶらぶら。ふと壁際に目をやると――釣竿が立てかけられている)


ティナ(心の声)「(釣竿……! よく休日に行ってたっけ……

 この世界でも釣りができたら、少しは気晴らしになるかも!)」


ティナ「ねぇリリサさん、この釣竿欲しいな。昔から釣りが趣味だったんだ。」

リリサ「釣竿? 置物は?」

ティナ「置物は……ほら! 女の子の自覚がまだなくて、

 どういうのがいいか分かんなくてさ。

 でも趣味の釣りができれば、この世界でも楽しく生きていけるかなって!」


(リリサがじっとティナを見つめ、少し考えて――ニヤリ)


リリサ「ん〜なるほどね。じゃあ――可愛くおねだりして?」

ティナ「……へ?」

リリサ「だって釣りってあんまり女の子っぽくないじゃない?

 でもあなたの気持ちもわかるから。だから、可愛くおねだりしてくれたら買ってあげる。」


ティナ「お、お願いします。リリサさん……」

リリサ「え? なんて? 聞こえない〜」

ティナ(心の声)「(絶対聞こえてる!! この人わざとやってる!!)」


ティナ「リリサさん! お願いします! この釣竿買ってください!!」

リリサ「まず、“リリサさん”ってやめて。」

ティナ「え? じゃあ“リリサ”?」

リリサ「違う。“お姉ちゃん”。」

ティナ「……は?」


リリサ「さっきの住民登録で、私たち姉妹になったでしょ?

 妹が姉を“お姉ちゃん”って呼ぶのは普通でしょ?」

(自分の住民カードを見せる)

氏名:リリサ・フローレンス


ティナ「いやいやいや! 無理無理!!

 おっさんが年下の女性に“お姉ちゃん”呼びなんて!

 キャバクラ常連のおっさんみたいじゃん!!」


リリサ「じゃあ残念、釣竿は諦めなさい。」


(沈黙。ティナ、顔をひくつかせる)


ティナ(小声)「……って……ちゃん……」

リリサ「何? 聞こえなかった。」


ティナ(顔真っ赤・涙目)「この釣竿!!買って!!お姉ちゃんっっ!!」


(リリサ、胸を押さえて震える)

リリサ「はぅっ!? すごい破壊力……っ!! 買ってあげる!!」


(釣竿を抱えてレジに向かうリリサ)

(ティナは机に突っ伏して真っ赤なまま)


ティナ(心の声)「(この悪魔……もう絶対“お姉ちゃん”なんて呼ばない……)」


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