魔王降臨
初見の方は「魔王と魔王国 」を先にご覧下さい♪
『えるてん! エルフ転生少女の、まほうと休日』は
毎朝6時に更新中!☀️
通勤・通学、朝ごはんのお供に
ティナたちのほのぼのな一日をどうぞ♪
今日も“えるてん!”で、ちょっと笑顔になれますように✨
(昼過ぎ。街の陽射しはまだ強く、石畳の上に夏の空気が揺らめく。)
(薬草屋の前。ティナはベンチに座り、うちわで顔をあおいでいる。)
ティナ「……リリサ、また話し込んでるなぁ……」
(店の中から聞こえる笑い声)
リリサ「――そう、その乾燥方法だと薬効が落ちないの!」
薬草屋のおばちゃん「まぁ〜ほんとに詳しいねぇ!」
ティナ「(この調子だとあと30分は出てこないな……)」
(小さくため息をつき、足をぶらぶらさせながら通りをぼんやり眺める)
---
(そのとき――街の奥で、ふっとざわめきが起きる。)
街人A「……な、なんだあれ……」
街人B「で、でかい……! なんだあの人……」
(ティナが顔を上げる。)
通りの向こうに、黒いローブの大男がゆっくりと歩いていた。
頭ひとつどころか、周囲の誰よりも大きい。
その背には風がまとわりつくようで、ただ歩くだけで空気が張りつめる。
ティナ「(うわ……でっか……! ていうか、なんであんな黒いローブ?
真夏だぞ……あっつくないのかよ……)」
(大男は通りかかる人に低く声をかける。)
大男「すまぬが――」
(声をかけられた青年がビクッと肩をすくめ、そのままダッシュで逃げる。)
青年「ひぃっ!? な、なんでもないです!!」
(大男、首を傾げる。)
大男「……む?」
(別の女性に声をかける。)
大男「そこの者、少し――」
女性「きゃーっ!!」
(悲鳴をあげて駆け出していく。)
(通りの人々がざわざわと道を空けていく。
誰も近づかず、誰も返事をしない。)
ティナ「(うわぁ……完全に避けられてる……。
でもまぁ、そりゃそうか……あんな威圧感、誰でも逃げるって……)」
(大男は立ち止まり、軽くため息をつく。)
「……困ったな……」
(そのとき、ふと視線がティナの方へ向く。)
ティナ「……え……?」
(目が合う。
金色の瞳が、まっすぐティナを射抜く。)
ティナ(パニック)
「(ちょ、ちょっと待って!? なんでこっち見た!?
うそ、来る? 来るよね!? 絶対来るやつじゃん!!)」
(ドスン、ドスン、と重い足音が近づく。)
(逃げ出そうか迷う間もなく、影が覆いかぶさる。)
大男「……そこの娘。」
ティナ「ひゃっ!? は、はいっ!?!?」
(男は少し首を傾げ、低い声で一言。)
大男「……すこし、尋ねたいことがある。」
ティナ「(ひぃぃぃぃ……なんで俺ぇぇぇ!?)」
ティナ「ひっ……は、はいっ!」
(男はゆっくりとうなずき、低い声で続ける。)
大男「――雑貨屋を探しておるのだが……」
ティナ「…………ざっかや?」
大男「うむ。」
(真剣な表情のまま、少しだけ声のトーンを落とす)
「娘のマリンの誕生日プレゼントを買いに来たのだ。
“魔法少女モリキュア”の変身セットというものをな……。
ワシの国では手に入らぬのだ。」
(ティナ、ポカーン。)
ティナ「…………え、えぇと……(ギャップ! ギャップがすごい!!
この圧で“魔法少女”とか言われても情報処理追いつかない!!)」
ティナ「――あ、あー、雑貨屋なら知ってるよ!
どうせ今ヒマしてたし、案内するよ!」
(男の表情がぱっと明るくなる。)
大男「なに!? 本当か!?」
(ティナは慌てて振り向き、店の方へ叫ぶ。)
ティナ「リリサー! ちょっと雑貨屋まで行ってくるー!」
リリサ(店の中から)「はーい! あまり遅くならないでねー!」
ティナ「(あの声がまさか、俺の遺言になるとは――この時の俺は知らなかった……)」
(内心つぶやきながら、大男と並んで歩き出す)
---
道中
(ティナと大男が並んで歩く通り。
街の人々は相変わらず道の端に避けていく。)
ティナ「(うわぁ……隣にいるだけで視線刺さる……。
これ絶対、職質されるやつだよ……)」
(すると男が口を開く。)
大男「そういえば自己紹介がまだだったな。」
ティナ「あ、はい……」
大男「ワシは――魔王国の魔王だ。」
ティナ「…………え?」
(沈黙。鳥の声だけが遠くで聞こえる。)
ティナ「えぇぇぇぇぇーーーっ!?!?!?」
ティナ「(ちょ、ちょっと待って!?
この人が!? あの“ホワイト企業”で有名な魔王さま!?
いや、リリサの話で優しいって聞いてたけど、
見た目! 見た目が完全にラスボスなんだけどぉぉ!!)」
魔王「ふむ、思ったより驚かぬな。
お主、この国に来てまだ日が浅いな?」
ティナ「ま、まぁ……はい……」(冷や汗)
魔王「――ところでお主、エルフだな。」
ティナ「え? あ、はい。ティナ・フローレンスです。」
魔王「ティナ……ふむ、良い名だ。」
(少し目を細めて)
「だが見たところ、普通のエルフではないな。
……お主、転生者だな?」
(ティナ、目を見開く)
ティナ「……っ!」
(なんでわかったぁぁぁ!?!?!?!?)
次回【転生バレました。詰みました。】
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