7話 鏡の中の美少女
(食後のリビング。暖炉の火がパチパチと心地よくはぜる)
ティナ「食った食った〜! 腹いっぱい〜!」
(椅子に背もたれして満足げに伸びる)
リリサ「まさか三回もおかわりするとは思わなかったわ。」
ティナ「だって美味しいんだもん!」
リリサ「ふふっ、食欲があるのはいいことね。」
(紅茶を飲み終え、リリサが立ち上がる)
リリサ「今日はもう遅いし、そろそろ寝ましょうか。
明日はご近所さんに挨拶して、街を案内するわね。」
ティナ「おっけー。……って俺、もう“女の子の見た目”で外出するのか……」
リリサ「当たり前でしょ。ふふっ、おやすみ、ティナ。」
ティナ「……おやすみ。」
(――ティナ、自室へ)
(木のベッドに横たわる。外は虫の声と湖のさざ波)
ティナ(心の声)「(異世界転生なんて、本当にあるんだな……)」
ティナ(心の声)「(でも……まさか俺が、こんな美少女になるなんて……)」
(髪を指にくるくる巻きつけながら、ぼんやり天井を見る)
(机の上の鏡が目に入る)
ティナ(心の声)「(……本当に、可愛いな……)
(見た感じ、小学生?いや、中学生くらいか……)」
(そっと鏡の前に座り、自分の顔を覗き込む)
(頬がふわっと赤くなる)
ティナ「……えへっ☆」
(ピースポーズ)
(しばし沈黙)
ティナ「……いや、何やってんだ俺はぁぁぁぁっ!!」
(ベッドにダイブ)
ティナ「とりあえず……もう今日は休も……」
(布団にくるまり、目を閉じる)
(窓の外、月が静かに湖を照らす)
ティナ(心の声)「(明日はどんな日になるんだろ……)」
(やがて穏やかな寝息が、木の家に響く――)