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6話 エルフの食事
(木の食卓に湯気が立つ。ランプの光がやさしく揺れる)
リリサ「さぁ、できたわよ。」
(テーブルに並んだのは、キノコと豆のスープ、そして焼きたてのパン)
ティナ(心の声)「(……今日は牛丼の気分だったんだけどなぁ……)」
リリサ「いただきます。」
ティナ「い、いただきまーす……」
(おそるおそるスプーンを口に運ぶ)
ティナ「……っ!? う、うまっ!!」
リリサ「え?」
ティナ「な、何このスープ! 薄味なのに……キノコの旨味がすごい!!」
(夢中でスープをかき込むティナ)
リリサ「ふふっ、そんなに慌てて食べなくても大丈夫よ。」
ティナ「あ、はいっ……すみません、美味しくてつい……」
リリサ「口に合ってよかった。おかわりもあるからね。」
ティナ「……本当に、うまい……」
ティナ(心の声)「(いつもはコンビニの弁当を家で一人で食べて……
テレビの音だけが相手だったのに……)」
(目の前では、リリサが穏やかに笑っている)
ティナ(心の声)「(誰かと一緒に夕飯を食べるなんて、
……久しぶりだな。なんか……悪くないかも……)」