5話 新しい服装
(リリサが扉を開ける)
リリサ「この部屋が今日からあなたの部屋ね。」
(部屋の中はベッドと机、タンスだけ。質素だけど清潔で木の香りが落ち着く)
ティナ「へぇ……結構広いんだな。」
(リリサがタンスを開けてごそごそと服を探す)
リリサ「とりあえず今日はもう遅いから……パジャマでいい?」
(差し出したのは、白くてフリルのついた肌触りの良さそうなワンピース)
ティナ「……え? これに着替えるの……?」
(顔がみるみる真っ赤になる)
リリサ「パジャマじゃなくてお出かけ用のにする?」
ティナ「いやそういう問題じゃなくて!!俺男だから!!
こんなフリフリの可愛いのは恥ずかしくて無理だからっ!!」
(リリサがふっと笑う)
リリサ「さっき鏡を見たでしょ?
どっからどう見ても女の子よ。似合うと思うわ。」
(軽く手を振って)
リリサ「私はリビングに戻るから、着替えが終わったら出てきてちょうだい。」
(バタン、と扉が閉まる)
ティナ「……マジで?」
(肩を落としつつ、しばしワンピースとにらめっこ)
ティナ「……これを着るのか……」
(少し間。ため息)
ティナ「……くそ、負けた気がする……」
(数分後、扉が開く)
リリサ「あら、やっぱり似合う! すっごく可愛いわ!」
(ティナ、真っ赤)
ティナ「そ、そんな……“可愛い”とか言われても……」
(モジモジしながら視線を泳がせる)
ティナ(心の声)「三十年以上、可愛いなんて言われたことねぇよ……!」
ティナ「あの、この服……すっごい足がスースーして落ち着かないんだけど……」
リリサ「大丈夫大丈夫、すぐ慣れるから。それに――ほら、自分で見てみなさい。」
(玄関前の姿見を指さす)
(ティナがおそるおそる覗き込む)
ティナ「……うわ……」
(そこには、清楚系美少女が立っていた)
(白いフリルのパジャマがやわらかく揺れ、髪は光を反射してきらめく)
リリサ「可愛い女の子は、やっぱりおしゃれしないとね。」
ティナ「そ、そんな趣味ないしっ!」
(と言いつつ、視線は鏡に釘づけ)
リリサ「説得力ないわよ。」
(クスッと笑う)
リリサ「とりあえず晩ご飯にしましょうか。食器出すの手伝って。」
ティナ「は、はい……」
(こうして、ティナの“女子力(?)修行”が始まった――)