リリサの故郷
※今回は少し静かなお話です。
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通勤・通学、朝ごはんのお供に
ティナたちのほのぼのな一日をどうぞ♪
今日も“えるてん!”で、ちょっと笑顔になれますように✨
(湖畔の家、昼下がり。)
(空気は少し湿っていて、遠くで蝉の声が途切れ途切れに聞こえる。)
(湖面は陽の光を反射してきらきらと眩しく光っていた。
ティナはリリサの横で靴紐を結びながら首を傾げる。)
ティナ「今日は街に行くんじゃないの?」
リリサ(小さく微笑んで)「今日は……少し遠出するわ。」
リリサは肩掛けの鞄に小さな花束を入れている。
理由を告げないまま、ふたりは森の奥、普段は通らない道へと歩き出した。
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(森の小道)
(木々の葉が陽をはじくたび、無数の光の粒が踊る。
草いきれが立ちのぼり、どこか甘い匂いが混ざる。)
(ティナは汗をぬぐいながら、リリサの背中を見つめていた。)
ティナ(心の声)「いつもより無口だな……
リリサ、なんか考えごとしてる?」
リリサ(振り返らず)「ティナ。……怖くない?」
ティナ「え?」
リリサ「この森、昔は“呪われた森”って呼ばれてたの。
……昔の戦で、たくさんの命が失われた場所。」
ティナ「怖くないよ。だって、リリサがいるから。」
リリサ(小さく笑う)「ふふ、あなたってほんと、変なこと言うのね。」
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(森の奥・静かな丘)
(蝉の声が遠くで薄れていく。
木漏れ日の中に、小さな石碑がいくつも並んでいた。
リリサは膝をつき、花束をそっと置いた。
ティナは黙って隣に座り、風が頬を撫でる。)
リリサ「昔、私がいた村の跡地。……みんな、ここで眠ってるの。」
(風が吹く。緑の香りがふたりを包む。)
リリサ「ずっとね、怖かったの。
この場所に来るのも、思い出すのも。
けど……あなたが生まれてから、少し変わったのよ。」
ティナ「……変わった?」
リリサ(微笑んで)「うん。前は“失った家族”のことばかり考えてたけど、
今は“できた家族”のことを考えるようになった。――あなたのことよ。」
ティナ「そ、そんなの……俺、まだ何もしてないよ。」
リリサ「してるわよ。あなたが笑ってくれるだけで、家が明るくなるもの。」
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(帰り道)
(西の空が茜に染まり、蝉の声がひぐらしに変わる。
湖面は金色に輝き、波が静かに寄せては返す。)
ティナ「……ねぇ、リリサ。」
リリサ「なぁに?」
ティナ「“家族”って、血が繋がってなくても、家族って言っていいのかな。」
リリサ「――ええ。むしろ、想いで繋がってるほうが、ずっと強いわ。」
ティナ「……そっか。じゃあ、リリサはやっぱり“お姉ちゃん”だな。」
リリサ「……ありがと、ティナ。」
(沈みゆく夕陽の中、二人の影が長く伸びて寄り添う。
その上を、夏の風がそっと撫でていった。)
次回【夏休み編突入!】
今日も『えるてん!』を読んでくれてありがとう♪
ティナ「学校とか仕事とか……正直めんどくさいよね!
でも“えるてん!”読んで、今日も笑顔で行こーっ!」
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それじゃ、いってらっしゃい!




