発酵する想い
『えるてん! エルフ転生少女の、まほうと休日』は
毎朝6時に更新中!☀️
通勤・通学、朝ごはんのお供に
ティナたちのほのぼのな一日をどうぞ♪
今日も“えるてん!”で、ちょっと笑顔になれますように✨
(朝。湖畔の家のダイニング。
パンの香ばしい匂い、湯気の立つスープ。
窓の外では、湖面が朝日にきらめいている。)
ティナ「うーん……いつも美味しいんだけどなぁ……」
(パンをつまみながら、ぼそっと呟く)
リリサ「どうしたの? 珍しくテンション低いじゃない。」
ティナ「いや、ほら……久しぶりに“日本の朝ごはん”が食べたいなって。」
リリサ「“にほん”って、あなたが前にいた世界のことよね?」
ティナ「そう。やっぱり日本食が恋しいんだよ……」
リリサ「どんな朝ごはんなの?」
ティナ「ご飯に納豆、豆腐の味噌汁! あと焼き魚とか卵焼きとか!」
リリサ「ふむ……豆腐とお味噌ならあるけど、“ナットウ”ってなに?」
ティナ(目を輝かせて)「大豆を発酵させてネバネバしてるやつ!
醤油をかけて、ご飯に乗せて食べるんだ!」
リリサ(スプーンを持ったまま)「……発酵して、ネバネバ?」
ティナ「そうそう! 糸を引くんだけど、それがクセになるんだよ!」
(ティナの目はどこか遠くを見ている。
懐かしさと嬉しさが入り混じる表情。)
リリサ(そっと微笑みながら)「……そう、そんなに好きだったのね。」
ティナ(少し照れくさそうに笑いながら)
「まーやっぱ、故郷の味は懐かしいよなー。恋しくなるよ。」
リリサ「……そうよね。」
(静かにうなずき、ほんの一瞬だけ視線を落とす。
その表情には、言葉にできない想いが滲んでいた。)
(ティナがコップの水を飲む間、リリサは小さく息を吸い、
思いつめたように立ち上がる。)
ティナ「どしたの? どっか行くの?」
リリサ(穏やかに微笑みながら)「ええ、少し出かけてくるわね。
……ちょっと、用事を思い出したの。」
ティナ「ふーん? また研究の素材?」
リリサ(背を向けながら)「……そういうところ、かもしれないわ。」
(ティナは首をかしげるが、それ以上は追及しない。
リリサは帽子を取り、静かに扉を開ける。)
(外の光が差し込む中、リリサは小さく呟く。)
リリサ(小声で)「――“発酵して、ネバネバ”、ね。ふふ……面白そう。」
---
(昼下がり。湖畔の家。外では蝉の鳴き声。
ティナがソファでゴロゴロしていると、玄関のドアが開いた。)
リリサ(袋を抱えながら)「ただいま〜。少し遅くなっちゃったわ。」
ティナ(振り向いて)「おかえり! 今日もいっぱい買ってきたね。
てか、午前中からずっと出てたけど……買い物ってそんなに時間かかる?」
リリサ(にこっと微笑んで)「ちょっとね、珍しい材料を探してたの。
それよりお昼まだでしょ? お弁当買ってきたから一緒に食べましょ。」
ティナ(目を輝かせて)「まじ!? やったー! ご飯だー!」
(リリサがテーブルに置いたお弁当は、焼き魚や煮物が詰まった和風弁当。
ティナは早速割り箸を開けて、勢いよく頬張る。)
ティナ「んっ! この焼き魚、最高! 何か日本食って感じ!」
リリサ(小さく笑って)「日本のご飯が恋しいって言ってたものね。」
ティナ「うん! でもこれはこれでうまい!ご飯のありがたみを感じるわ〜。」
(ご飯を食べ終え、ティナが椅子にもたれながら満腹顔。)
ティナ「ふぅ〜……で、午後はまた研究?」
リリサ(袋を抱え直しながら)「ええ。ちょっと試したいことがあるの。」
ティナ(あきれ顔で)「またぁ? 昨日も夜までやってたじゃん。」
リリサ(穏やかに)「今回はね、少し……“特別”な実験なの。」
ティナ「はいはい、どうせまた“ちょっとだけ”って言って寝る頃まで出てこないやつでしょ。」
リリサ(くすりと笑う)「……ふふ、かもね。」
(そう言って、袋を抱えたままリビング奥の研究室へ向かう。)
(扉が静かに閉まり、カチャンと鍵の音がする。)
ティナ(箸を置いて)「……まったく、あの人ったら。
研究始めたらご飯も忘れてこもるんだから。」
ティナ(ため息をつきながら)「まぁ、いつものことか。
“研究オタク”って呼ばれるだけのことはあるな……。」
(ティナはソファに寝転び、天井を見上げる。
部屋の奥からは、微かに“コトコト”という瓶を揺らす音と、
リリサの鼻歌が聞こえてくる。)
ティナ(目を閉じながら小さく笑う)「……ま、元気ならいっか。」
(外では風がそよぎ、午後の穏やかな時間が静かに流れていく――)
---
(夕暮れ時。湖畔の家。
研究室からカタカタとガラス瓶を動かす音が聞こえていた。)
ティナ(ソファで本を読みながら)「……あの人、もう何時間こもってんだ?」
(ちょうどその時――)
バァンッ!!
(勢いよく扉が開く。白衣姿のリリサ、やたらと満足げな笑みで立っている。)
リリサ「ティナー!!できたわっ!!」
ティナ(びくっ)「ひゃあっ!?びっくりしたぁ!
また変なポーション?この前の“性格反転ポーション”で懲りてないの!?」
リリサ「ちがうわよ!納豆よ!!」
ティナ「……え、マジで!?」
(ソファから跳ね起きて駆け寄る)
「だって、発酵とか時間かかるんじゃないの?」
リリサ(自信満々に胸を張り)「そこは魔法でちょちょいとね。
“時間圧縮触媒陣”を使えば、通常三日かかる発酵を三時間で再現できるの。」
ティナ「そんな便利魔法あるなら最初からパン焼く時にも使ってくれよ!」
リリサ「パンにかけると膨らみすぎて爆発するのよ。」
ティナ「……やっぱ魔法って万能じゃねぇな。」
(テーブルの上に置かれた小鉢。中には――紛れもなく納豆。)
ティナ「うおおおお……これだ……!この見た目、この香り……!」
(興奮気味に箸を取り、かき混ぜるティナ)
ティナ「ネバってる……完璧だ……!」
(ご飯に乗せ、一口。)
ティナ「……ん゛〜〜〜っ!!これだっ!!この味だよぉぉぉ!!!」
リリサ(満足げに頷く)「ふふっ、成功ね。
じゃあ、明日の朝ごはんは楽しみね♪」
ティナ(満面の笑みで)「ありがとう!リリサ!!」
リリサ(にっこり)「さぁ、今から夕飯の支度をするわよ。
今日は早めに寝ましょうね。」
ティナ(まだ納豆の香りに酔いながら)「うん!明日が楽しみだ〜!」
---
翌朝。
朝の光がキッチンの窓から差し込む。
テーブルの上には――炊き立ての白ごはん、湯気を立てる豆腐の味噌汁、
そして納豆の小鉢が三つ並ぶ。
ティナ(頬をほころばせながら)「うわぁ〜……最高の朝だ……!」
(パクパクと夢中で食べる)
「……やっぱ日本の朝って、こういう感じなんだよなぁ……」
リリサ(優しく微笑みながら見つめている)
「……そんなに好きだったのね。」
ティナ(頬張りながら)「うん!もう懐かしくて泣きそう!」
(リリサ、ふと箸を止めて)
「……ねぇ、ティナ。」
ティナ「ん?」
リリサ「その“納豆”も、“味噌汁”も、“豆腐”も……
材料は全部“大豆”なのよね?」
ティナ「そうだよ。日本人って豆文化の国だからなー。
煮ても焼いても飲んでも発酵しても大豆だもん。」
リリサ(静かに微笑みながら)「……不思議ね。
エルフもね、豆を主食にしてたの。
発酵食品も、昔から作ってたのよ。」
ティナ(箸を止めて)「へぇ……じゃあ、日本人って、
もしかして――」
リリサ(少し茶目っ気を込めて)「――エルフの子孫なのかもね。」
(ティナ、ぽかんとしたあと笑い出す)
ティナ「……なんか、それ、ちょっとロマンあるな!」
リリサ(頬杖をついて)「ふふ、そうね。」
(朝の光が二人の笑顔を包み込み、
湯気と共に優しい香りが部屋に広がっていく――)
次回【ちょっとしんみり回、リリサの故郷】
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