4話 新しい名前
(リリサが早野の前に立ち、柔らかく問いかける)
リリサ「そういえば、あなたの名前は?」
早野「……早野孝之です。」
リリサ「ハヤ……ノ? ……変な名前ね。」
早野「おい!?」
リリサ「だって、この世界にはそんな名前の人いないのよ。
うーん……そうね……あなたは今日から“ティナ”ね。」
早野「ティナ……? いや、なんか可愛すぎない!?」
リリサ「実際可愛いんだからいいじゃない。
よろしくね、ティナ。」
ティナ(早野)「えぇ……(いや、納得いかねぇ……)」
(リリサはふわりと微笑む)
リリサ「今日から、私と一緒に暮らすことになるわ。」
ティナ「え!? なんで!?」
リリサ「なんでって……あなた、この世界の生活の仕方わかる?
住民登録の仕方も、お金の稼ぎ方も、全部未知でしょう?」
ティナ「……たしかに。ぐうの音も出ない……」
ティナ(心の声)「(でも、この綺麗なお姉さんと暮らせるとか……
ちょ、ちょっとラッキーかもしれない……?)」
(ニヤけかけた瞬間、リリサがじろりと見る)
リリサ「……何か考えてるでしょ?」
ティナ「い、いや!? なんでもないです!!」
リリサ「まぁいいわ。あなたの部屋もちゃんと用意してあるから。」
(立ち上がり、ティナを見て)
リリサ「ところで――その服じゃ動きにくいでしょ。
少し着替えましょうか。」
ティナ「え、ちょ……着替え……?(ドキッ)」
(リリサは軽く笑い、奥の部屋へとティナを連れていく)
(新しい生活の第一歩が、静かに始まろうとしていた――)