茶葉が正座して出てくる日
『えるてん! エルフ転生少女の、まほうと休日』は
毎朝6時に更新中!☀️
通勤・通学、朝ごはんのお供に
ティナたちのほのぼのな一日をどうぞ♪
今日も“えるてん!”で、ちょっと笑顔になれますように✨
(魔法訓練も終わり、リビングでまったりする二人)
ティナ「ところでさ、リリサってどんな魔法使えるの?」
リリサ「そうねぇ……だいたいの魔法は使えるわよ。」
ティナ「おっ、出た年の功ってやつ!」
リリサ「……今なんて言った?」
ティナ「えっ、えっと!“天の光”って言いました!!」
リリサ(ジト目)「聞き間違えじゃなきゃ“加齢ディス”ね。」
ティナ「あわわっ!いやほら!経験豊富って意味の“功”よ!いい意味!!」
(リリサ、ため息)
リリサ「まったく……じゃあ特別に、私の得意な魔法をいくつか教えてあげるわ。」
ティナ「おぉっ、待ってました!どうせすごいんでしょ?」
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リリサ「まずはこれ。“急いで靴を脱いでも中敷きが出てこない魔法”。」
ティナ「……ッ!!それ地味にありがてぇ!!」
リリサ「でしょ?特に雨の日の玄関で威力を発揮するわ。」
ティナ「いやもう、それ国家レベルで配布していいやつ!」
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リリサ「次、“靴下に穴が開いていることを教えてくれる魔法”。」
ティナ「どんなタイミングで教えてくれるの?」
リリサ「履く前に“ピロリン♪”って音が鳴るの。」
ティナ「軽っ!スマホ通知かよ!!」
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リリサ「続いて、“シャツの前と後ろが一発でわかる魔法”。」
ティナ「うわそれもありがたい!朝のバタバタで逆着して外出したこと何回もある!」
リリサ「前に着ようとすると“それ後ろだよ”って優しく囁くの。」
ティナ「なんかちょっとホラーなんだけど!!」
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リリサ「そして人気ナンバーワン、“カステラの裏紙がキレイに剥せる魔法”。」
ティナ「おぉ!地味に嬉しい!」
リリサ「完璧にペロッと剥がれるの。しかも紙に何も残らない。」
ティナ「世界平和が1ミリ進んだ瞬間だな!」
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リリサ「あとね、“雨の日に部屋干ししても部屋干し臭がしない魔法”。」
ティナ「あっそれ超実用的!」
リリサ「ただし全部“ほんのりハチミツの香り”になるの。」
ティナ「惜しいっ!惜しすぎるぅぅぅ!」
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ティナ「で、最後の“とっておき”は?」
リリサ(ドヤ顔)「“必ず茶柱が立つ魔法”。」
ティナ「……」
ティナ「……今までで一番どうでもいいの出た。」
リリサ「なによ!縁起って大事なのよ!」
ティナ「でも茶柱立つたびに『今日も一日ツイてる!』とか言ってそう。」
リリサ「言うわよ?朝の儀式だから。」
ティナ「信仰レベル高っ!」
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(リリサ、にっこり微笑む)
リリサ「ふふ、魔法ってね、戦うためだけのものじゃないの。
“日常をちょっとだけ幸せにする”——それも立派な魔法なのよ。」
ティナ(感心しながら)「……たしかに、靴の中敷きで幸せ感じる人って、世界にそういないもんね。」
リリサ「皮肉やめなさい。」
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(紅茶をすするリリサ。カップの中には――)
ティナ「……おい、茶柱立ってる。」
リリサ「当然でしょ?」
ティナ「……認めたくないけど、ちょっと羨ましいな。」
(二人、ふっと笑い合う)
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(翌日、魔法学の授業中。先生が黒板に魔力制御の図を描きながら解説している)
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先生「上手く魔法を扱うには、“魔力をどれだけ繊細に制御できるか”が重要です。」
(生徒たちは真剣にメモを取る)
先生「魔力の制御ができない者は、暴発や失敗を起こします。
一流の魔法使いは、必要最低限の魔力を一点に集束させる技術を持っているのです。」
(ティナはペンをくるくるしながら、どこかで聞いたような話に首をかしげる)
先生「たとえば——お茶を入れるときに“茶柱を立てる魔法”。」
(ティナ「ピクッ!」)
先生「一見くだらないように聞こえるかもしれませんが、あれは極めて繊細な魔力制御の結晶なのです。
数百本の茶葉の中からたった一本を選び、湯の対流と表面張力を同時に操る。
わずか一秒でも気を抜けば茶葉は沈む。
——つまり、あれができる者は魔力の達人。」
(教室ざわめく)
「すげぇ……」「そんな難しいの!?」
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(ティナ、ガタッと立ち上がりそうになって)
ティナ「(ま、まって!?昨日“運試しレベル”とか思ってたあの魔法!?)
(あれ上級者用!?いやリリサめっちゃ軽く言ってたけど!?
“お茶に茶柱が立つ魔法よ♪”じゃねぇよ!?
国家資格レベルじゃねぇか!!)」
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先生「この中で、もし“茶柱魔法”を成功させられる者がいたら——
私はその場で魔法制御Aランク認定を与えます。」
(教室が「おぉぉぉ!」と沸く)
ティナ「(いやいやいや待て待て待て!
うちの姉ちゃん、それ朝のルーティンでやってるから!!)
(毎朝“今日も立ったわ♪”とか言ってるから!!!
……やばい、あの人ほんとにヤバい人だったんだ……!!)」
(カレンが隣でひそひそ)
カレン「ティナ、顔真っ青だよ?」
ティナ(小声)「うちの姉ちゃん、世界ランカーだったかもしれん……」
カレン「えっ何そのパワーワード……」
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(先生が黒板にさらさらと文字を書く)
先生「茶柱を制する者は、魔法を制す。
——覚えておきなさい。」
ティナ「(覚えたくねぇよそんな格言!!)」
(チャイムが鳴る。ティナ、机に突っ伏しながら)
ティナ「……あの人、地味な魔法女王だったんだ……」
カレン「なんかよくわかんないけど、今度リリサさんにお茶入れてもらっていい?」
ティナ「いいけど……覚悟しとけ。多分、茶葉が正座して出てくるぞ。」
次回!【魔王と魔王国】
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