歴史の授業、リリサの過去
『えるてん! エルフ転生少女の、まほうと休日』は
毎朝6時に更新中!☀️
通勤・通学、朝ごはんのお供に
ティナたちのほのぼのな一日をどうぞ♪
今日も“えるてん!”で、ちょっと笑顔になれますように✨
(一時限目。静かな教室。黒板には「歴史」とチョークで書かれている。)
先生「――では、今日は190年前に起きた“エルフ族虐殺事件”について学びます。ショッキングな内容ですが、同じ悲劇を繰り返さないために私達は学ぶのです。」
(教室がざわめく。ティナは窓際の席で姿勢を正し、静かに耳を傾ける。)
先生「当時の王、“暴君の王”と呼ばれた人物は、己の感情だけで政策を決める独裁者でした。
彼は長寿で老いぬエルフ族に嫉妬し……そして恐れたのです。
――エルフ族にしか使用する事の出来ない『転生魔法』。異世界の魂を呼び寄せ、未知の兵器や知識をもたらす力。
その力が王家を滅ぼすのではないかと。」
(教室に緊張が走る。教師の声が低く響く。)
先生「結果……王は『エルフ族の根絶』を命じました。
村ごと焼かれ、森が赤く染まった。
逃げ延びた者も、ほとんどは各地に散り……
現在、純血のエルフはわずかしか確認されていません。」
(静寂。チョークの音だけが教室に響く。)
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(ティナの手が震える。視界がぼやけていく。)
ティナ「(……エルフ族……虐殺……
リリサ……一人で暮らしてた理由って……
もしかして……家族を……)」
(顔から血の気が引いていく。ノートに書いた文字がにじむ。)
カレン(小声)「ティナ? 顔色悪いよ、大丈夫?」
ティナ「あ、ううん……ちょっと……気分が……」
(クラスメイトたちがざわざわし始める。)
女子A (ひそひそ)「フローレンスさん、すごい青ざめてる……」
男子B(小声)「授業の内容、きつかったのかな……エルフだし……」
先生「フローレンスさん、大丈夫? 気分が悪いなら保健室へ行ってもいいわよ。」
ティナ「……すみません、少し外の空気を……」
(立ち上がるティナ。ふらつきながらドアへ向かう。カレンが椅子を引いて立ち上がる。)
カレン「先生、あたしも一緒に行っていいですか?」
先生「ええ、頼んだわ、ホワイトロックさん。」
(教室のドアが閉まり、ざわめきが遠ざかる。)
---
(廊下。
窓の外に青い空。
ティナは壁にもたれて、深呼吸。)
ティナ「(……そっか。リリサは……そういう過去を背負って……
なのに笑って“退屈だった”なんて言ってたんだ……)」
(涙がこぼれそうになる。カレンがハンカチを差し出す。)
カレン「無理しないでいいよ。
……ティナ、優しいから、そういう話、苦手でしょ?」
ティナ(微笑)「うん……でも、大丈夫。ありがとう、カレン。」
カレン「いいって。あたし、ティナがしんどい時はいつでも付き合うから。」
(窓の外、雲が流れていく。)
ティナ「(……リリサ……もう一人じゃないからな。)」
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(湖畔の家。
窓から差し込む光がやけにまぶしい。玄関のドアが静かに開く。)
リリサ「あら? 早いじゃない。まだ授業中の時間でしょ?」
(ソファで書類を整理していたリリサが顔を上げる。)
ティナ(元気なく)「……気分が悪くて、早退した。」
リリサ「具合、悪いの?」
ティナ「ううん……体じゃなくて、なんていうか……心が、ちょっと。」
(ティナがリビングの椅子に座る。リリサが紅茶を淹れながら優しく問いかける。)
リリサ「なにかあったの?」
ティナ「……今日の歴史の授業で、“エルフ族虐殺事件”の話を聞いたんだ。
190年前の……暴君の王が、エルフを根絶やしにしたって。」
(リリサの手が、カップを持ったまま止まる。)
リリサ「……そう。」
(沈黙。
ティナがリリサの横顔を見ると、いつもの穏やかな微笑みは消えていた。)
リリサ「あの時、私は――家族も、友達も、家も、全部失ったわ。
村は突然、王国の兵士に囲まれたの。
火がつけられて……泣き声があちこちから聞こえてきて……」
(リリサの声が震える。
ティナは息をのむ。想像できない光景が頭をよぎる。)
リリサ「……父がね、私を森の外れに逃がしてくれたの。
でも追ってきた兵士たちに囲まれて……
もう、ここまでだって思った時――」
(リリサはそっと目を伏せる。)
リリサ「……ひとりの男が現れたの。」
ティナ「男?」
リリサ「その人が、私を助けてくれたの。
燃えた森の中で、ただ一人生き残った私を。」
(静かな沈黙。
ティナは拳を握りしめる。)
ティナ「……なんで、ちゃんと教えてくれなかったの?」
(声が震える。涙がこぼれそうになる。)
リリサ「あなたに、そんな悲しい顔をさせたくなかったのよ。」
ティナ「でも、知らなかったら……リリサがどんな気持ちで生きてきたか、
俺、分からないままだった。」
リリサ「ふふっ……優しいのね、ティナは。
でも、いいの。もう昔のことよ。
今はあなたがここにいる。それで十分。」
(リリサがティナの頭を撫でる。
ティナの頬を一筋の涙が伝う。)
ティナ「(この人、こんな過去を背負ってるのに……
いつも笑ってるんだ……)」
(日射しが差し込むリビング。
紅茶の湯気が、二人の間をゆらゆらと揺れる。)
次回!【お姉ちゃんと言うよりおばあちゃんなのでは?】
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