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えるてん!転生したら女子中学生エルフになってて、毎日ツッコミ追いつかないんだけど!?  作者: ひなゆづ
三学期編

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リリサ、風邪をひく。〜二郎系おじやはラーメンです〜

『えるてん! エルフ転生少女の、まほうと休日』は

毎朝6時に更新中!☀️


通勤・通学、朝ごはんのお供に

ティナたちのほのぼのな一日をどうぞ♪

今日も“えるてん!”で、ちょっと笑顔になれますように✨



(窓の外は白く曇り、風がゴウゴウと唸っている。

暖炉は火が弱く、室内はいつもより少し冷たい。)


ティナ(布団の中で目をぱちぱち)

「ん〜……寒っ。今日はいつもより……風強いなぁ……」


(むくっと起き上がり、リビングへ向かう。)


ティナ「リリサ〜、おはよー……」


(テーブルの上には紅茶のカップもない。キッチンからの音もない。)


ティナ「……あれ?リリサ?」


(いつもなら、この時間は既に紅茶タイム──のはず。)


ティナ「珍しい……寝坊?」


(リリサの寝室の前へ。扉の隙間から微かに物音がする。)


ティナ「お〜い、リリサぁ〜、朝だよ〜。起きてる〜?」


(返事、なし。)


ティナ(眉をひそめる)「……入るよ〜?」


――ガチャ。


(扉が開き、冷気がひゅっと入る。)


ティナ「…………え?」


(ベッドの端に腰掛けるリリサ。

頬は赤く、目はとろん。呼吸は浅く、髪も少し乱れている。)


リリサ(かすれ声)

「……おはよう。ごめん……

今から朝ごはん……用意するわね……」


(立ち上がろうとして、ふらり。)


ティナ「うわっダメダメダメ!!風邪ひいてるでしょ!?顔まっ赤だよ!!」


リリサ「……大丈夫よ……ただの……熱……」


ティナ「ぜんっぜん大丈夫じゃない!!ほら横になって!今!!」


(ティナ、半ば抱きかかえるようにしてリリサをベッドへ戻す。)


リリサ「……ティナ……ちょっと……寒い……」


ティナ「うんうん!毛布増やす!暖炉つける!あと水!!」


(わたわたしながらも必死。)


ティナ「リリサが倒れるなんて……珍しすぎて、正直ちょっと怖い……」


リリサ(うっすら笑って)「……大袈裟よ……少し熱が出ただけ……」


ティナ「“少し”の基準がおかしいよ!!」


(リリサ、こてんと横になる。まぶたが重そう。)


リリサ「……ちょっと休めば、すぐ……よくなるから……」


ティナ「うそうそ。今のリリサ絶対動いちゃダメ。

看病は……任せてよ、リリサの家族として!!」


リリサ(半目で)「……ふふっ……ありがとう……」


ティナ「ほら、まず水飲んで……あとでおかゆ作るからね!」


(リリサはかすかに頷き、毛布に沈むように眠り始める。)


ティナ(そっと額に触れ)

「……熱、ほんとにある……。

まずは冷やさないと……!」



---


(水の入った桶を抱えてキッチンから戻って来るティナ。)


ティナ「リリサ〜、頭冷やすよ!」


(タオルを――2秒だけ絞る)


ポタ…ポタポタ……


ティナ「よし!」


リリサ(ぐったり)「……よしじゃないと思うわ……」


(びしょびしょのタオルをおでこに乗せるティナ。)


―― ベチャッ!


リリサ「(……冷たい……重い……)」


ティナ「(耳も真っ赤……熱そう……)」


―― ベチャッ!(右耳)

―― ベチャァッ!(左耳)


リリサ「(耳にタオルはいらないでしょ……絞れてないし……)」


(タオルの水分が、じわ~~っと流れ落ちる。

鼻筋を伝って……穴の方へ……)


リリサ「(……は、鼻……ムズムズ……)」


ティナ「大丈夫?呼吸しづらいとか……」


リリサ「っ……ちが……は……」


リリサ「――――クシュンッ!!」


(瞬間)


バァァァァァッ!!!


(風魔法・大暴発)


(リリサの顔に乗せられた三枚のタオルは風圧でロケットのように打ち上げられ

“バシィィッ!!”と天井に貼り付き、

カーテンはバサァァァッ!!とめくれ上がりレールごと吹っ飛ぶ。

ティナは風圧で前髪が 完全オールバック。

エルフなのに一瞬だけ昭和のヤンキー顔。)


ティナ「ぎゃぁぁあ!!ここ外!?台風!?!?!?」


リリサ(放心)「……っ……はぁ……はぁ……」


ティナ「リリサ、大丈夫!? くしゃみだけでロッジが“換気モードMAX”になったんだけど!?」


リリサ(涙目)「……ティナ……タオル……全部……天井に……」


ティナ「ほんとだ!!なんでそんな綺麗に貼り付いてるの!?」


(天井には、水分で吸盤化したタオルが規則正しく並んでいる。)


ティナ(真顔)「リリサ……鼻栓作ろう。魔法に強いやつ。」


リリサ「それ看病じゃなくて封印だから……」



---


(数十分後、キッチン。

鍋からは湯気。お粥の優しい香り。

ティナ、エプロン姿で腕まくりしながら自信満々。)


ティナ「(よし……弱火でコトコト……ここまでは完璧……

お粥くらいなら前世でも作ったことあるし余裕余裕!)」


(そろりと鍋をかき混ぜて──スプーンでひと口。)


ティナ「……うん、美味しい……けど……」


(ティナの眉が寄る)


ティナ「(……なんか……パンチが足りない……)」


(鍋を見つめる。優しい白粥がゆらゆらと揺れる。)


ティナ「(リリサ、風邪で体力落ちてるし……

 もうちょっと“元気出る”味にしたほうがいいかな……?)」


(ティナ、まず塩をひとつまみ──のつもりが、

勢い余って“ざばぁっ”)


ティナ「……まぁ……汗かくしいいよね!」


(次に、味噌を取り出す)


ティナ「味噌=健康。はい優勝。」


(どぼん)


ティナ「あ、もうちょい入れても良さそう……」


(どぼどぼどぼ)


ティナ「(……まだ……なんか足りない……

 そうだ!栄養だ!とにかく栄養!!)」


(食料庫を漁るティナ。)


ティナ「野菜!ネギ!!しょうが!!」


(ざくざく刻む → ぜんぶ投入)


ティナ「風邪の時は……タンパク質!!」


(豚肉スライスをバラバラと鍋へ)


ティナ「体力つけなきゃ!背脂!脂は正義!」


(どろっ……)


ティナ「味に締まりが欲しい……しょうゆどばぁっ!!」


(ティナ、自分の行動にノッてきた)


ティナ「(……健康……栄養……スタミナ……

つまり……豚骨!!)」


(戸棚の奥から“なんか濃いスープの素”を発掘)


ティナ「リリサ元気出してぇぇぇぇぇ!!

いっけぇぇぇ!!」


(どぶんッ!!

鍋の色が一瞬で“真っ白→茶色→こってりベージュ”へ変化)


ティナ「最後にコショウとニンニクでキメッ!!」


(ばさぁっ!どさっ!)


ティナ「できた……

味噌豚骨・ニンニクヤサイアブラマシマシおじやーっ!!」


(鍋から漂う湯気は、もう“ラーメン屋の匂い”

渾身の一作。)


ティナ「(……あれ……なんか……)」


スプーンでひと口。


ティナ「うまっ!?

……これは……元気出すぎる……!!」


(鍋の湯気が“スタミナの香り”でキラキラしている)



---


(ティナ、両手で湯気モクモクの鍋を抱え、そろりそろりと寝室へ)


ティナ「(リリサ、苦しそうだったな……

……これで元気が出るはず……!俺の全力……!)」


(扉の前で深呼吸して、ノック)


ティナ「……リリサ?入るよ?」


――ガチャ……


(ベッドの上ではリリサが布団にくるまり、やや青ざめた顔で横になっている。

頭にはティナがベチャッと乗せたタオル、両耳にもタオル。

水滴がぽたぽた……)


リリサ(声ガサガサ)「……ティナ……?」


ティナ「ごはん持ってきたよ!お粥!」


リリサ「……おかゆ……?」


(満面の笑みで鍋のフタを開けるティナ)


ぼわぁぁぁぁぁあああ……


(煮立つ湯気・ニンニクの香り・背脂のきらめき)


リリサ「……え?」


ティナ「じゃーん!

“ニンニクヤサイアブラマシマシ味噌豚骨おじや〜!!”」


リリサ「……………………………………」

(「お粥」では?という目)


ティナ「どう?いい匂いでしょ?元気出るはず!」


リリサ(弱い声で)「……ティナ……これ……ラーメン?」


ティナ「違うってば!お粥!

ほら、材料は……

お米……味噌……背脂……豚肉……野菜……ニンニク……豚骨……

あと……」


リリサ「……ラーメンじゃない方が珍しいわよそれ。」


ティナ「まぁまぁ、騙されたと思ってひと口!」


(ティナ、スプーンに“二郎系マシマシおじや”を盛る

それはもう、完全にラーメン屋のビジュアル)


リリサ「(……絶対胃に来る……絶対風邪に良くない……)」


ティナ「はい、あーん!」


リリサ「……“あーん”はやらなくていいわよ……」

(でも口を開ける)


ぱく。


(数秒沈黙)


リリサ(表情がわずかに変わる)

「……ん……」


ティナ「ど、どう!?おいしい!?」


リリサ「……おいしいわ……

でも……これは風邪のときじゃなくて……元気なときに作ってほしい……」


ティナ「あっ……やっぱり……?」


リリサ(ふらっとしながらも微笑む)

「でも……あなたが作ってくれたから……食べるわ……

……ありがとう、ティナ。」


ティナ「……よかった……!」


リリサ(スプーンを口に運びながら)

「……にしても……にんにく強いわね……部屋が……ラーメン屋みたい……」


ティナ(笑顔で)「じゃぁ将来はラーメン屋になろうかな!」


リリサ

「……褒めてないの……(でもおいしい……)」


(おじやが入ったお椀。手のひらにじんわりおじやの温かみを感じるリリサ。)


リリサ(ぼんやり)「……ティナ、こういう時ほど……優しいのね……」


---


(お腹の中で“二郎おじや”がじんわりと温かい。

リリサは再び布団に横になり、タオルも少しだけ絞り直されている。)


ティナ「……よし、このくらいなら冷たすぎないよね。」


(額にそっと置く。

リリサは微弱に眉をひそめただけで、今度は暴発もない。)


ティナ「さっきのは……まぁ事故ってことで。」


(そっと椅子に座り、膝の上で手を合わせて小さく笑う。)


ティナ「俺、今日はけっこう空回りしたけど……

ちゃんと元気になったらいいな。」


(部屋のランプを暗くし、ドアノブに手をかける。)


ティナ「ゆっくり休んでね、リリサ。」


――そっと扉を閉める。



---


(その日、ティナの努力は空回りばかりだった。

タオルはべちゃべちゃ、くしゃみは暴発、お粥は完全に二郎系。)


(でも――


リリサには、そんな全部が温かく感じられた。

家族って、こういう日があるからこそ“家族”なんだ。)


リリサはまぶたを閉じながら、ぼんやりと思う。

看病の仕方は、とても不器用だけれど。

この子の優しさだけは、どんな薬より効く――と。


次回【冬の朝、初めての共同作業】

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