12話 世界の不思議発見!
(朝。鳥のさえずり、柔らかい光が差し込むロッジ)
――トイレにて。
(ジャーッ!)
ティナ「ふぅ〜、すっきり……!」
ティナ「座ってすることにも、だいぶ慣れてきたな!」
(軽く笑って、手を洗う)
ティナ(心の声)「(しかし……この家、トイレだけ水洗式なんだよな……)
(いや、ボットンよりは全然いいけど……)
(キッチンはかまどだし、水は近くの小川から引いてるだけで流れっぱなしだし……
でもなぜトイレだけ水洗……?)」
(首をかしげながらトイレを出る)
リリサ(台所から)「ティナー! 朝ごはんのお皿並べてー!」
ティナ「はーい!」
(食卓にパンとスープ、ゆで卵と果物の皿を並べる)
――朝食タイム。
ティナ「ねぇ、リリサ。」
リリサ「なに?」
ティナ「前から思ってたんだけどさ……なんでこの家、トイレだけ水洗なの?」
(リリサ、スプーンを持ったまま、ピタッと止まる)
リリサ「……ご飯食べてる時にトイレの話?」
ティナ「あ、ごめん。でも気になっちゃって。」
リリサ「まぁいいわ。……昔ね、“転生された人”の中に技術者がいたのよ。
その人が仕組みを広めてくれたの。」
ティナ「おぉ……! じゃあ転生で文明が進化したわけか!」
リリサ「そうね。その前は汲み取り式だったから大変だったのよ。」
ティナ「うわ、それは……ありがたい技術者だな。」
(スープをすするティナ。少し間をおいて)
ティナ「でもさ、今は転生魔法って違法なんでしょ?
そういう便利な技術、もっと取り入れたらいいじゃん?」
(リリサ、少し真顔になる)
リリサ「……昔の王様がね。転生魔法を違法にしたの。」
ティナ「王様が?」
リリサ「ええ。異世界から来た人間が、もし“兵器”を作ったら――
この国の力関係が崩れる。王族が滅ぶ。そう恐れたのよ。」
ティナ「なるほどなぁ……“知識の暴走”ってやつか。」
リリサ「そう。だから今は、転生者の存在自体がタブー。
あなたみたいな例は……本当なら、ありえないの。」
(リリサ、ティナを見つめて小さく笑う)
リリサ「でも……禁じられてるからこそ、こうして出会えたのかもしれないわね。」
ティナ「……それはまぁ、結果オーライってことか。」
リリサ「ふふ、そういうこと。」
(2人、顔を見合わせて笑う)
――湖の光が窓辺に反射し、食卓をやさしく照らしていた。