右手のお嬢様、ふたたび
シャルロッテ初登場回は「ep.102初冬に現れた、右手のお嬢様」になります♪
『えるてん! エルフ転生少女の、まほうと休日』は
毎朝6時に更新中!☀️
通勤・通学、朝ごはんのお供に
ティナたちのほのぼのな一日をどうぞ♪
今日も“えるてん!”で、ちょっと笑顔になれますように✨
(フローレンス家。昼下がりのリビング。ストーブの炎がゆらゆらと揺れ、
カップから立ちのぼる湯気に冬の香りが溶けていく。)
カレン「ティナー! 遊びにきたよー!」
リオナ「お邪魔しますわ♪」
ティナ「おー! 二人ともいらっしゃい!」
カレン「今日もめっちゃ寒いねー! そろそろ雪降りそう!」
ティナ「今あったかいお茶入れるねー」
リオナ「お茶菓子もございますわ♪ 皆さま、ご一緒にどうぞ。」
(他愛もない会話と笑い声がリビングに満ちる。
そんな穏やかな時間の中――)
コンコン……。
ティナ「ん? リリサが買い物から帰ってきたかな? 今開けるよー。」
(ガチャリ……)
(ドアの向こうに立っていたのは――)
以前、フローレンス家に現れた“右手”の魔物だった。
ティナ「ひぃ!! また来たぁー!!」
(右手は中指に掛けた包みをそっと床に置き、ペンとノートを取り出す。
さらさらさら……と優雅な筆致で紙を滑らせる。)
右手
> 突然の訪問、失礼いたしますわ。
この前は道を教えていただき、本当に助かりましたの。
本日はそのお礼に参りましたわ。
ティナ「お、お礼……?」
(右手、包みの中から魔王国産の蜂蜜瓶を取り出す。)
右手
> こちらのはちみつをお届けに参りましたの。
あの時のエルフのお姉様と、ぜひご一緒に──
(ペンが走るそのとき――)
カレン「ティナー? どうし──」
(顔を出した瞬間、光景を見て絶叫。)
カレン「ギャァァァァァァァッッ!?!?」
(そのまま崩れ落ちて気絶。)
ティナ「カレンーーッ!!?」
リオナ「一体どうしましたの──まぁ! シャルロッテ様!」
ティナ「え!? リオナの知り合い!?」
リオナ「ええ! シャルロッテ様とは昔からのお友達ですの♪」
(右手がさらさらと筆談。)
シャルロッテ
> リオナ様!? なぜこのような場所におられるのかしら?
リオナ「ティナ様とはお友達なのですわ! シャルロッテ様こそ、なぜティナ様のお宅に?」
(シャルロッテ、ペンを走らせて事情を説明。)
ティナ「とりあえず立ち話もなんだし……上がってよ。
あとカレン、移動するの手伝って。」
---
(リビングへ移動。ストーブの前に三人と“一手”が集まる。)
リオナ「こちらはルーベンス家のご令嬢、シャルロッテ様ですわ。」
シャルロッテ
> シャルロッテ・ルーベンスですわ。この前は道に迷って動揺していて、自己紹介を忘れておりましたの。どうかお許しくださいまし。
ティナ「ティナ・フローレンスだよ。で、そっちのソファで気を失ってるのがカレン・ホワイトロック。」
---
(ティーカップの湯気がゆらゆらと立ちのぼる。
リビングには蜂蜜ティーの甘い香りが漂っていた。)
リオナ「そういえば、シャルロッテ様。
先日のクリスマス・パーティでは、本当にお疲れ様でしたわ♪」
(シャルロッテがノートを広げ、優雅にペンを走らせる。)
シャルロッテ
> 先日の“ソファ・オブ・ノーブルズ”は見事な勝負でございましたわ。
あのルシル様の俊敏さにも、ひと時も気を抜けませんでしたもの。
ティナ「(……ソファ・オブ・ノーブルズ?またよく分からん競技名が出てきたな……
たぶん、大したことないんだろうけど……)」
(シャルロッテが続けて筆談する。)
シャルロッテ
> ルシル様、最後の旋回でドレスの裾を踏まれたその瞬間、
貴女はまるで風そのもののように、静かにソファへと滑り込まれた――。
リオナ「ふふっ。あれは偶然ですのよ? 少しタイミングが良かっただけでして♪」
シャルロッテ
> 偶然ではございませんわ。
あの気品と冷静さこそ、“貴族の微笑みを宿す勝者”の証。
ティナ「……筆談で詩人みたいなこと言うのやめてもろて。」
ティナ「……てかソファ・オブ・ノーブルズってさ、
もしかして椅子取りゲーム?」
リオナ(うっとり)「ええ。ですが、ただの遊戯ではございませんの。
“高貴なる優雅の座”を賭けた、由緒正しい戦いですわ。」
ティナ「(……貴族界の戦い、優雅なのか幼稚なのかわからんくなってきた……。)」
(リオナが微笑みながら紅茶を口にする。)
リオナ「けれど、ルシル様もお強かったですわ。
来年はまた、一層の熱戦になることでしょうね。」
シャルロッテ
> ええ。その時も、わたくしは審査員として筆を握らせていただきますわ。
“最も気品ある座り方”を判定いたしますの。
ティナ「……あれ?“座り方”の美学が競技になってる……!?」
---
(そこへ――)
カレン「う〜ん……あたし、なにして──ウピョッ!?…ッスーン」
(シャルロッテを目撃、直立のままゆっくり横倒し)
ティナ「新種の倒れ方やめて。」
リオナ「まぁ……カレン様ったら。」
ティナ「カレン、ホラー系苦手なんだよ。」
シャルロッテ
> 申し訳ございませんわ……。
ティナ(聖母のような顔で)「カレン、ゆっくりおやすみ……。
お墓には、カレンが好きだった白百合をお供えするね……」
リオナ「ティナ様、それ完全に成仏前提のセリフですわよ……!」
(――冬の陽は傾き、外気はもう凍えるほど冷たい。
けれど暖炉の前で笑い合う少女たちの周りには、ほんのりとした温もりがあった。)
(それはきっと、雪が降る前にだけ訪れる、穏やかな奇跡の時間。
――そんな、冬休み前半のある日のことだった。)
次回【年末特別回!23時30分に公開します!】
【評価のお願い】
面白かったら、下の☆☆☆☆☆から応援してもらえると嬉しいです!




