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えるてん!転生したら女子中学生エルフになってて、毎日ツッコミ追いつかないんだけど!?  作者: ひなゆづ
二学期 後半編

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102/130

優雅なる貴族の戦い“デュエル・オブ・グレイス”

『えるてん!』は

毎朝6時に更新中!☀️


通勤・通学、朝ごはんのお供に

ティナたちのほのぼのな一日をどうぞ♪

今日も“えるてん!”で、ちょっと笑顔になれますように✨



(放課後の街並み。石畳の道に橙色の陽光が差し込み、商店の看板が柔らかく輝いている。

文化祭から数日後、三人は穏やかな午後の空気に包まれていた。)


ティナ「カレンが元気になって良かったよ。」


リオナ「文化祭の時は本当に心配しましたけど……すぐ良くなって安心しましたわ!」


カレン「ふふっ、二人ともありがとう!」


ティナ「やっぱりガーちゃんのアロマのおかげかな?」


カレン「あはは……うん、そうだね……(あんな悪夢もう二度と見たくない……)」


(カレンの脳裏に、ピンクの爆煙とギャルの奇跡が一瞬フラッシュバックする)


カレン「うっ……まだ頭の中がラメに侵食されてる気が……」


ティナ「大丈夫!? まだバイブス感じてる!?」


カレン「感じてないからぁっ!!」


(リオナ、くすっと笑う)

リオナ「ふふ……本当に賑やかですわね、あなたたち。」


(そんな他愛のないやり取りの中、三人は笑いながら街を歩いていると――)



――ガタンッ!


(黒塗りの高級そうな馬車が、三人の目の前でピタリと止まる。

車体には豪奢な紋章。馬の毛並みは絹のように輝いている。)


ティナ「な、何あれ……?」


カレン「すっご……リオナの家の関係者?」


(馬車の扉が開き、眩しいほどのプラチナゴールドの髪が揺れる。

縦巻きロールに整えられたその髪。冷ややかに輝く瞳。完璧な立ち姿。)


???「リオナじゃありませんの!」


リオナ「まぁ! ルシル様!」


ティナ・カレン「……誰?」


リオナ(にこやかに)「紹介しますわね♪ こちら隣町の名家のご令嬢、ルシル・グランテール様ですわ!」


ティナ「あ、ティナ・フローレンスです。」


カレン「カレン・ホワイトロックだよ! よろしくね! ルシルさん!」


(カレンが笑顔で手を差し出すが――)


パシッ


(ルシルが軽く手をはたく。)


ルシル「庶民の分際で気安く︎︎ ︎︎“ルシルさん”などと呼ばないでいただけるかしら。」


ティナ「(うわぁ……絵に描いたような悪役令嬢……)」


カレン「あ……ご、ごめんなさい……」


リオナ「ルシル様! ティナ様とカレン様は、わたくしの大事なお友達ですのよ!

庶民などとバカになさらないで!」


ルシル「この庶民どもがリオナの友達!? ふふっ……ヴァレンシュタイン家も落ちたものね。

まさか大事なひとり娘が“庶民”とお友達ごっこだなんて。」


リオナ「ルシル様! それ以上わたくしのお友達を侮辱するのでしたら――さすがのわたくしでも看過できませんわ!」


ルシル「……なによ、その目。わたくしとやり合おうって思ってるのかしら? いいわ。

“デュエル・オブ・グレイス”で勝負しようじゃない。

もしわたくしが負けたのなら、今の発言、すべて謝罪いたしますわ。」


ティナ「(デュエル・オブ・グレイスって……なに……?)」


(リオナとルシルの視線が交錯し、空気がピリリと張り詰める。)



---


(街外れの広場。人通りもなく、石畳の上に夕陽が伸びている。)


ルシル「ここなら邪魔は入らなそうですわね。」


ティナ(小声で)「ねぇリオナ……“デュエル・オブ・グレイス”って何?」


リオナ(小声で)「貴族たちの間で行われる、高貴な戦いですわ。」


カレン(小声で)「だ、大丈夫!? 怪我とかしないでよね!?」


リオナ「ヴァレンシュタイン家の名に恥じぬよう、絶対に負けられませんわ!」


ルシル「何を三人でヒソヒソ話しているのかしら? リオナ、始めますわよ。」


(二人は互いに向き合い、両手を構える。空気がピンと張りつめる。)


ティナ&カレン「……ごくり。」


ルシル「いいかしら? 体を狙うのは反則。一歩でも動いた方の負けですわよ。」


リオナ「……心得ておりますわ。」


――デュエル・オブ・グレイス、開始!


(ピンと空気が張りつめる。

両者の指先が静かに触れ――ふわり、押し合いが始まった。)



ルシル「ふふっ、優雅に見えるのはここまでですわ!」


(その瞬間、ルシルの瞳がギラリと光る。上半身をグッと前に倒し――)


バシィィィィッ!!!


(両手に体重を乗せ、リオナを吹き飛ばす勢いで押し込む!)


ルシル「どうしましたのリオナ!? この程度で崩れるのかしらぁ!?」


リオナ「……ぬ゛ぅぅぅんっ!!!」


(リオナはその一撃を正面から受け止める。普段のおっとりした印象とは思えぬ雄叫び。ドレスの裾が風をはらみ、足を地に踏みしめる。)


ルシル「……やりますわね。」


リオナ「ルシル様の一撃も中々ですわ。」


(押し合う二人の間に火花が散るような緊張。ティナとカレンは小声で見守る。)


ティナ「ねぇ、カレン。」


カレン「うん?」


ティナ「“デュエル・オブ・グレイス”ってさ……手押し相撲だよね?」


カレン「……うん。」


ティナ「……どうする? わたしたち、先に帰る?」


カレン「……一応、あたし達のために戦ってくれてるんだし……

リオナ応援してあげよ?」


ティナ「……そうだね。がんばれー リオナー。」


(リオナとルシル、互いの視線がぶつかり合う。

周囲の空気がピリピリと張りつめる。)


リオナ「次は――わたくしの番でしてよ!」


(リオナ、両手に体重を乗せて一気に押し込む!)


パァァァン!!


(風圧のような一撃。ルシル、ドレスの裾を翻して体勢を崩しそうになるが――)


ルシル「っ……ふんっ!」


(華麗に腕を回し、くいっと上体を立て直す。)


ルシル「リオナ……中々やりますわね。」


リオナ「ふふっ……ルシル様の方こそ。」


ティナ(真顔)「がんばれー まけるなー リオナー」


カレン(真顔)「がんばれー」


(両者、完全に拮抗。押しも引きも五分五分。

緊迫した空気が漂う――)


――その時。


(ふわり、と小さな雪虫が風に乗って飛んできた。)


リオナ「……ちょ、お待ちに……鼻に虫が……」


(鼻、ムズッ)


リオナ「は、鼻に虫が……ハァ……ハァ……」


(リオナの呼吸に合わせて、魔力が共鳴。足元に淡い魔法陣が出たり消えたり。)


ティナ「え、ちょ、魔法反応出てない!?」


カレン「リオナ!? 大丈夫!?」


リオナ「──ブァックション!!ですわぁぁーーーっ!!!」


――ドゴォォォォォン!!!


(暴発。爆風とともにルシル、吹っ飛ぶ。)


ルシル「ぎゃーーっ!? つ、唾が! 唾が顔にぃぃぃぃ!!」


(広場の端でドレスの裾で顔を拭い、絶叫。)


ティナ「……勝ったね。」

カレン「……うん。」


(静かな勝利宣言。)


リオナ「ルシル様っ! 本当に申し訳ありませわ!

お怪我はございませんか!?」


ルシル「……ふんっ! まさか“くしゃみ”で負けるとは思いませんでしたけれど……

負けは負け。あなた方に、謝罪いたしますわ。」


ティナ「あー、いいよ。気にしてないからさ!」


カレン「うん、あたしも! 全然大丈夫!」


ルシル(頬を少し染めながら)「べ、別に……敗者としての務めを果たしただけですわ!

ただ……その……リオナが庶民と一緒に楽しそうにしているのを見たら、

なんだか――むかっ……いえ、気になっただけですの!」


リオナ「まぁ……なんだかんだ、楽しかったですわね、ルシル様♪」


ルシル「っ……ふ、ふんっ! 次はもっと優雅な勝負で、完膚なきまでに勝たせていただきますわっ!」


(くるりと踵を返し、ドレスの裾を翻して去っていくルシル。

だが、馬車に乗る前にほんの一瞬だけ――リオナの方へ振り返る。)


ルシル「……その……今日は、悪くありませんでしたわ。」


(顔を真っ赤にして目をそらす。)


ティナ「……あの子、絶対リオナのこと気に入ってるよね?」


カレン「うん、“遊びたいツンデレ”だね。」


ティナ「ふふっ、かわいいじゃん。」


(三人の笑い声が、夕暮れの街にやさしく溶けていった――)


次回【初冬に現れた右手のお嬢様】

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