【クリスマス特別編】ミニスカサンタとティーカップの夜
ルシル初登場は24日6時になります♪
このお話は特別編です。このお話は本編より少し季節が進んだ冬のエピソードになります♪
『えるてん! 』は
毎朝6時に更新中!☀️
通勤・通学、朝ごはんのお供に
ティナたちのほのぼのな一日をどうぞ♪
今日も“えるてん!”で、ちょっと笑顔になれますように✨
(昼休みのチャイムが鳴り響く教室。
窓の外は薄曇り。けれどガラス越しに射し込む光が、
机の上の弁当箱をやわらかく照らしていた。)
カレン「ねぇねぇ! 今日はクリスマス・イブだよー!」
(お弁当の横に置いた小袋から、星形のクッキーを取り出す。キラキラの砂糖が光る。)
ティナ「(……え、この世界にもクリスマスの概念あるの?
これ絶対、昔の転生者の置き土産だろ……。
うん、間違いない……)」
(そんなツッコミを胸に、ティナはあきれ顔でため息をつく)
リオナ「今夜はわたくしの家でお客様をお呼びして、パーティを開きますの♪」
(リオナはほほえみながら紅茶をすする。いつものように仕草ひとつひとつがお上品)
カレン「うちもー! 家族でご飯食べに行くんだって!
ティナのとこは何かするの?」
ティナ「え、あー……リリサ、何も言ってなかったから、多分いつも通りかなぁ?」
カレン「そうなんだ〜。
まぁ、リリサさんってイベント事とかあんまり興味なさそうだもんね。」
(その時、リオナが少し俯き、机の上で指をもじもじと合わせた。)
リオナ「でも……今年のクリスマスは、あまり気が乗らないんですの……」
リオナ「お隣町の名家のご令嬢、ルシル様もパーティにいらっしゃる予定なのですけれど……」
ティナ「あー、 この前のツンデレ悪役令嬢?」
カレン「またくだらない遊びに付き合わされるとか?」
リオナ「ルシル様も大切なお友達ですわ!
でも、そういうことではありませんの。」
ティナ「じゃあ何? 七面鳥が脱走したとか?」
リオナ「実は昨日……お父様の大事なティーカップを、割ってしまいましたの。」
(リオナの肩が小さく震える。いつも優雅な彼女が、しょんぼりと俯いていた。)
ティナ「……あー、それは……うん、やっちゃったね。」
カレン「うわぁ……それはショックだね。」
リオナ「とても美しいカップでしたの。
つい、ほんの少し触れるだけのつもりだったのに……
お父様に、とても怒られてしまいましたの……」
ティナ「それは落ち込むよね。でも、それとクリスマスに何の関係が?」
リオナ(真剣な顔で)
「関係ありますわ!
サンタ様が来てくれませんもの!」
ティナ&カレン「……えっ?」
リオナ「いい子にしていないとサンタ様は来てくれませんでしょう?
今年はきっと、わたくしのところには来てくださらないんですの……!」
(うるうるした目でハンカチをぎゅっと握りしめるリオナ。)
カレン(笑いながら)
「リオナ、サンタさん信じてるの──」
ティナ「わぁぁぁぁ! カレン、ストップストップ!!」
(ティナ、慌ててカレンの口をふさぐ。)
ティナ(小声で)
「夢を壊す気!? 純白乙女の純情を守って!」
カレン(小声で)
「ご、ごめん! つい口が……!」
ティナ(リオナの方を見て)
「リオナ、大丈夫だよ! 一回カップ割ったくらいでサンタさん怒らないって!
きっと来てくれるよ!」
リオナ「……ティナ様っ!」
(リオナの顔がぱぁっと明るくなる。目尻の涙を拭って微笑えむ。)
リオナ「そうですわね!
サンタ様は優しい方ですもの!きっと許してくださいますわ!」
ティナ「うんうん、それでこそリオナ!」
カレン(小声で)
「……たぶんサンタさん=お父さんだと思うけど……」
ティナ(小声で)
「しーっ! 墓場まで黙ってて!」
(教室に鐘の音が響く。昼休みの終わりを告げるチャイム。)
リオナ「今夜が楽しみですわね♪」
ティナ「(……リオナ、サンタ待機モードに入ったな。
うん、よかったよかった……)」
---
(放課後。
カレンとリオナと別れ、一人帰宅中。)
ティナ「(……クリスマスなんて、前世でも今世でも縁のない話だなぁ。)」
(吐いた息が白く浮かび、冬の空へ消えていく。)
(そんなことを思いながら、湖畔のロッジへと戻る。玄関のドアを開けると──)
ティナ「……ただい──」
(そこでティナの動きが止まった。)
(キッチンにいたのは
ランプの光に照らされた、真っ赤なミニスカサンタ姿のリリサだった。
白いファーの飾りに包まれた肩。膝上までの白いニーハイソックス。
普段の研究服とはまるで違う華やかさに、ティナは言葉を失う)
リリサ「あら、おかえりなさい♪」
ティナ「……えっ」
ドサッ!
(手に持っていたカバンが、すべり落ちる。)
ティナ「な、なにその格好!?」
リリサ「なにって、今日はクリスマスイブでしょ? サンタの衣装よ。」
ティナ「いやいやいや!! どこの夜のお店の人かと思ったよ!!」
(リリサはきょとんと首をかしげる。毛先がゆらりと揺れる。)
リリサ「?何かおかしいかしら?」
ティナ「おかしいって!普通サンタって白ひげモジャモジャのおじいさんで、
“ふぉっふぉっふぉ”って笑いながら、赤鼻のトナカイが引く空飛ぶソリに乗ってるんだよ!!」
リリサ「……は?」
(リリサ、明らかに引いている)
リリサ「私の知ってるサンタとはだいぶイメージが違うわね……」
ティナ「……リリサの知ってるサンタってどんなの?」
リリサ「真っ赤な服でミニスカート、愛嬌のある可愛い女の子って感じかしら。」
ティナ「(これ絶対、クリスマス広めた転生者の性癖全開じゃねーか……!
適当なこと言って“ミニスカサンタ文化”を定着させやがったな!!)」
リリサ(にこっと笑って)
「まぁいいわ。今日は特別に豪華な料理を用意したんだから、
ティナも早く着替えて一緒に食べましょ♪」
(ティナは渋々うなずき、自室へ向かう。)
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(部屋の中。ベッドの上には、 きれいに畳まれた“真っ赤なサンタ服”が置かれていた。
それは──リリサとおそろいのミニスカサンタコス。)
ティナ「……おい、まじかよ……」
(ハンガーにかけてみると、思っていたより短い。)
ティナ「見る分には最高だけど、着るとなると死にたくなるな……」
(大きなため息。
そして──観念したように服を手に取る。)
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(数分後。リビングの扉がそっと開く)
ティナ「……もういいよ、着替えたよ……」
(そこには、サンタ衣装を着たティナがいた。
帽子のポンポンが揺れ、頬がほんのり赤い。)
リリサ「キャー!♡やっぱり似合うと思ったわ!」
(嬉しそうに両手を合わせるリリサ)
ティナ「……もういいんだ……すべてを……諦めたさ……」
(目は死んでいる。悟りの境地)
リリサ「はいはい、そう言わずに! 一緒に写真撮りましょ! ほら、もっとこっち寄って!」
ティナ「……はいはい、ピース……」
(リリサが笑顔でシャッターを切る。
カメラの光が一瞬きらめき、二人の姿を照らした)
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(その夜。暖炉の火がぱちぱちと音を立てていた。
外では木々の間を冷たい風がすり抜けていく。
湖のほとりのロッジの明かりが、暖かく窓を染めていた)
ティナ「……結局、なんだかんだで悪くない夜かもな」
(ミニスカ姿のまま、ケーキを食べながら小さくつぶやく)
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(翌朝。ヴァレンシュタイン邸。
外は霜が降り、朝の光を受けてきらきらと輝いている)
(寝室では、リオナがまだスヤスヤと眠っていた。
胸の上で手を組み、穏やかな寝息を立てるその顔は、まるで天使のようだ)
(枕元には、小さなプレゼントの包みと手紙が添えられている。
包みの中身は、繊細なティーカップが二つ。
メッセージが添えられていた)
> 「あの日割れてしまったティーカップと同じ物だよ。
お父様とお揃いになるように、二つ用意したからね。
──サンタより。」
(その文字は、丁寧で優しい筆跡だった)
(扉の外。ヴァレンシュタインは静かに寝室を見つめている。
そして、小さく微笑んだ)
ヴァレンシュタイン「……まったく。」
(その声は照れくさそうで、どこか誇らしげでもあった。)
(背後で、グレイが柔らかく微笑みながら一礼する。)
グレイ「……お嬢様、きっと喜ばれると思います。」
(朝の光がゆっくりと差し込み、部屋の中を淡く照らしていく)
――冬の寒さの中にも、たしかに“あたたかさ”はあった。
次回【ツンデレ悪役令嬢、現る】
100話突破記念&クリスマス特別編でした!
“笑って終わって、ちょっと温かくなる”――そんな「えるてん!」らしいお話にできたかなと思います。
ティナとリリサのドタバタ、そしてリオナ家の静かな朝。
どちらにもそれぞれの“サンタさん”がいましたね。
次回からはまた通常運転でお送りします!
これからも「えるてん!」をよろしくお願いします




