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第一章 また処刑台へ
「──罪人ミランダ・セレスティア・ブラックウッド。王太子暗殺未遂の罪により本日、処刑を執行する」
冷たい声が凍えるような広場に響いた。
処刑台の上で私は首を竦める。
凍える風が頬を切り、鎖が手首を食い込む。
この光景には慣れきっていた。
──これで百回目だ。
前世、私は乙女ゲーム『王家の舞踏会』をプレイした。
ヒロインの平民令嬢・オフィーリアが王太子を救い恋に落ちる、王道のストーリー。
その中で私は『悪役令嬢』ミランダとして登場。
傲慢で嫉妬深く、ヒロインを陥れ王太子を毒殺しようとした──その罪で処刑される運命。
だが何故か私はその死の瞬間毎に時間の流れが巻き戻る。
そして、また同じ人生を繰り返した。
一回目は運命に抗えず処刑された。
十回目には王太子に告白してみたが、逆に疑われた。
五十回目にはヒロインを助けようとしたが、逆に罠を仕掛けられ罪を被せられた。
──そして百回目。
「もう、いい」
処刑人の剣が空を切る。
私の意識がふっと薄れた。
──また戻る。




