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雪国

作者: ナナ

雪国


トンネルを抜けるとそこは雪国だった

東京から3時間半、文明の進歩はすさまじいものだ...

もっとも、私がうまれたころから移動の主流は新幹線だったが

そんな吹雪よりもサムいセリフを口にしていると、迎えの車が見える

そう、私は記者

そして今回はこの雪国にまつわる恐ろしい話の取材調査に来ていたのだ



3時間後


今回の成果だが、まず雪男なんていなかった

あったのは雪山で暮らす大男がいたという事実で

そこにUMAや妖怪めいたものなど1ミリも存在しなかった

そしてある部落の雪女についても、ある家に住み着く座敷童についても、

幽霊タクシーも抜け出せない山も終わらない吹雪も何もなかった

拍子抜けだ、といってもいつもこんな調子だが...

そうだ怪異なんて存在しないほうがいいんだ


そして私は帰りの新幹線に乗る

さあ、今回も問題なしの報告とともに帰還するとしよう


新幹線に揺られること数時間


トンネルを抜けるとそこは雪国だった



「雪国」



・・・・・

何時間たっただろう

16回目のトンネルからはもう数えていない

何度乗りなおしても同じ駅に帰ってきてしまう

これは罰なのだろうか

かれこれもう10年はうそっぱちの記事でオカルトマニアどもをだましその金で生活をしてきた私への...


帰ることをあきらめ、ちかくの民宿で一泊することにきめた私は吹雪の中全力で歩いた

しかし人間は自然の力には勝てない、吹き飛ばされてしまった

思いっきり体が宙に舞う、浮遊感が体を包む

そして死を覚悟し背筋が凍る

地面に衝突する瞬間の感覚は、つめたくて柔らかかった

そこにはふわふわの雪が積もっていたのだ

そして一瞬何かの気配を感じたが、詮索しないほうがいいだろう

そして民宿につくと、緊張の糸が切れベットに倒れこむように眠ってしまった


あはは...きゃはは...

何かの笑い声で目が覚める

そこには小さな子供がいた

どうやら私のリュックの中身で遊んでいたらしい

その子供と少し話す

なにやら自分を座敷童だと自称する異常な子供だった

しかし去り際に彼がくれたお守り....というかただのキャラメル

なにか異質さを感じる

しかし捨てるのも怖いので持っておこう


翌日

新幹線に乗り再び東京を目指す

見慣れた町に低い空、そして冷たい人間たち

トンネルを抜けるとそこは、雪国であった

私はキャラメルを一つほおばった

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