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黄道を刻む二十四の時の詩

鈍色の雪に捧ぐ歌

作者: 日浦海里

空からひらひらと舞うものを見ると

冬の訪れを感じる


燃えて輝くきらめきを讃えた空


命の終わりの輝きと共に

風と踊る木々の葉は

世の彩りと手を繋ぎ

一礼をして

地に伏せる


遠く離れていく青は

灰と銀の幕に覆われ

すべての命を地に還す

白銀の精の姿が見えた


見渡せば ただ

濃淡だけが残された世界


陽射しの色した雪も舞い終わり

やがてこの地は白一色に染まるだろう


賑やかだった声は失せ

静寂の中に

時折無邪気な幼子の笑い声が響く地に


月のない夜を思わせる黒髪に

何色にも染まるようで

一切を拒絶するような白い肌の

彼女の横顔を思う


この空と同じように

灰と銀に覆われた表情を浮かべ

独りただ立ち尽す姿と共に


頬を伝って雫が流れた


掬った雫の内側には

星の光と透き通る歌が映り込んでいる


生命の賛歌


小さな葉の上からこちらを見上げている

透けて消えそうな氷の子に

雫を少し触れさせると

鉱石同士が出合ったような

甲高い音が一つ響いた


きょとんとした目でこちらを見る子は

やがて何かを思い出したように

小さな声で歌を奏でだす


実りを祈る歌は終わり

実りを祝う歌も終わり

今はただ

夜明けを待つだけの世界となっても


大切な人を想う歌ぐらいの彩りは

世界も許してくれるだろう


季節を渡る扉の色も

虹色に彩られているのだから

今日は小雪


早いところでは雪がちらつき始める頃です。

未だ積もるほどではなくとも

空には雪雲が広がるようになり

陽射しは縁遠くなってゆきます


【登場人物紹介】

〇秋姫(春姫)

 ただ、世界を潤すことだけが出来る。

 行き過ぎれば全てを流し去ることも。

 身の内に渇きを抱えているなら

 少しでも癒しになれば、と思えど

 心の温もりを持たない彼女は

 何が救いで、何が痛みか

 心では理解できずに。

 それでも彼女の伝えたかった気持ちは

 どこか理解できる気がして。

 託したものは伝わるのか

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― 新着の感想 ―
[良い点]  詩も叙情的で葉から零れる一雫が水面に波紋を作り宙に浮かぶ星に揺らめきを起こすようで素敵でしたが、あとがきの >陽射しは縁遠くなってゆきます  これ巧いなと思いました。
[良い点]  白に覆われゆく中で。色だけでなく音もまた、秋の賑わいはなくなる様子。  語られる景色は寂しげでも忌避感がないのは、この季節の意味を知っているからなのかと思えました。  静かに眠る夜の世…
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