表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

様々な世界・世界の詩

略奪の世界

作者: リィズ・ブランディシュカ



 その世界は略奪の世界だ。


 なぜなら、その世界は、多くの犠牲を生み出しながら生きながらえ続けていたからだ。


 その世界のエネルギーは枯渇寸前だった。


 それは、多くの人達が後先考えずに豊かな生活を送っていたためだ。


 その世界の住民達は、気が付かない。


 自らの生活を支えているエネルギーが、枯渇寸前だと言う事に。


 知っているのは一部の者達だけ。


 その者達は、そのエネルギーをなんとか得ようと考えていた。


 エネルギーを生み出す方法は難しい。


 しかし、すでにあるところからとってくるのは簡単。


 ならば、と人々は後者を選ぶ事に決めた。


 とうとうエネルギーがなくなる、と言った時に、人々は他の世界に目をつけた。


 この世界にエネルギーがないならば、他の世界から奪えばいいと武器を手に取り、兵器の引き金を引いた。


 そして、多くの世界からエネルギーを奪っていった。


 だから、彼等の生活は、エネルギーがある限りずっと豊かだった。


 エネルギーを奪われた世界は、貧しい環境になっていって、人々がいきていけなくなったが、そんな事はかえりみられる事がなかった。






 しかし略奪された世界はそのままでは終わらない。


 ただ、奪われるばかりではなかった。


 奪われるといった時に、そのエネルギーに細工を施したのだった。


 それは、呪い。


 人々の負の感情。


 それは、穢れ。


 人々の憎悪の感情。


 エネルギーを奪った者達は、その中に含まれた物に気が付かない。


 気が付かずに、自分達のものとしながら、ずっと豊かに暮らしていった。


 そして長い時間をかけて、エネルギーに含まれた負の感情が、ゆっくりと人々の精神を蝕んでいった。


 彼等は数十年後に、大きな争いを起こすだろう。


 その争いの火をおさめる事はない。


 彼等の精神は、その頃には致命的なほど負の感情に侵されているだろうから。


 もしも、まさに今。


 略奪者である彼らが、自らの過ちに気が付いて、その行為を止める事ができれば。


 破滅の未来は防ぐ事が出来るだろう。


 しかし。


「お父さん、お母さん、エネルギーってどこから来てるの?」

「他の子には内緒だよ。こっそりおしえてあげる。それはね、別の世界からだよ」

「私達より弱い人達が住む他の世界から奪ってきているの」

「それってよくない事じゃないの。人からものをとったら駄目なんだよ」

「大丈夫、他の星の人達は同じ人じゃないからさ」

「そうよ、気にしなくてもいいのよ」


 それはおそらく、無理な話なのだろう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ