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異世界ダンジョン邪神を拾う  作者: 時鬼舞瑠
第一章 ルミエ
6/10

5話 邪神 ―プラム―


暖かい、全身がふわふわしていて、あまり感覚がない、頭もボーっとして余り細かい事が考えられない。


__俺、また死んだのかな。


異世界で死んじゃったらどうなるんだろ、今度こそ完全に死ぬのかな、やだな……死ぬの。


「__イト!! レイト!!」


「ん、イレイア……ここは!?」

今まで気絶していた、レイトがイレイアの声で目を覚ます。


「良かった、もう、目覚まさないかと心配しちゃったじゃない」


「あぁ、もう大丈夫……あれ?全く痛くないし、傷もない」

貫かれた肩の穴は綺麗に消えており、破けた服の痕だけはしっかり残っていた。


「私はの精霊スキルよ、辺り一面の精霊にお願いして最高の治療をして貰ったわ」


「成程、それで……ありがとうイレイア!!」

「お礼なら精霊に言って頂戴」

固有技能『精霊』で一命を取り留めた、レイト。そしてレイトからの素直なお礼にイレイアは少し照れながら返事を返した。


「こちらこそ助かったわ、流石レイトの紐スキルおかげで最高の一撃を()()()に打てたわ」ニッコリ笑いながらレイトにお礼を言う。普段からツンツンしている彼女が素直にお礼を言うんだから相当、ビッグスライムの掃討が爽快だったのだろう。


「だーかーらー、 紐スキルじゃ無くて、俺最強のエクストラスキル、超逆転チートバフ魔法『ストリング・インクリフト』だっていつも言ってんじゃねーか!!」


「ったく、長いわねその名前……覚えるの面倒臭いから紐男の他力本願な『紐』スキルって名前ででいーじゃない」

はいはいとイレイアはレイトの戯言をいつもの様にあっさりとスルーし言い合いを強制的に話を終わらす。


「はぁ、もうなんでもいいや……」


「ぷぷぷ……折れた!! だーめねー、これだからレイトは皆にヘタレって言われんのよ」

あっさり折れたレイトを嘲笑うかの様に、追い打ちをカマしてくる性格の悪いイレイア。


「もうなんとでも言ってください」

あからさまに不機嫌になり、返答がもう投げやりになるレイト。


「煽りがいが無くてつまんないー」

イレイアの煽りにレイトが乗ってくれなくてこちらも不機嫌になる。


__ゴゴゴゴ、


「え、何この音」

そして、二人の沈黙をかき消す異音がした。


「また、あの地響き!?」

大きな振動の発生源に目をやるとそれはさっきビッグスライムを召喚した秘石だった。


__バキバキバキ

赤く強く、光り輝きたちまち秘石にヒビが入る。

____パリン。


ビッグスライムを倒した事がトリガーとなったのか秘石が砕け、割れた秘石の中からペンダントの様な物が地面に落ちる。


「ひゃ……!!」


「大丈夫か?イレイア」

「大丈夫何ともないわ」


イレイアは秘石の破片が当たらない様に姿勢を低くしていたおかげで無傷だった、スカートに付いた埃を払うと、何ともなかったかのように立ち上がった。

「全く、急に破裂するとかビビらせんなよ」


「ほんとにね心臓止まるかと、ん……レイトこれって」

イレイアがペンダントを拾い上げ、レイトに掲げた。


「なんだそれ……まさかこのダンジョンに隠されていた秘宝??」

レイトはペンダントを舐めるように透き通った宝石を眺める。

「ククク、こりゃ価値がありそうだな、王都の宝石店に売っぱらえば家が買える位の値段になったりして」

ゲスな考えをわざわざ口にするレイト。


「バカねアンタ……こんな出処の分からない宝石に価値なんか付くわけないじゃない」「それに私、ある程度有名な宝石なら分かるけどこれは……価値ゼロね。精々闇市で20ルミ位が関の山よ」

バカに冷静なイレイアが宝石に付いて語り出す、俺と同時にハンターになったのに宝石においては、やけに詳しい……貴族出身では無いと以前言って居たがまさか……。


「分かったぞ、イレイアお前!! 俺に売られたくなくてそんなデタラメ言ってんだろ!!」


「はぁ?」

今のレイトの一言で気の抜けたイレイアの手元を狙いレイトは、__ひょいっとペンダントをイレイアの手元から奪った。


「こいつは俺んだ!! 渡さねーぞ!!」


「あ、返しなさいよ!! 価値がなくたって先に見つけたのは私なんだから」

ペンダントをキッカケとして、ドロップしたアイテムを俺のだ私のだと幼稚なやり取りを始めてしまう新米冒険者二人。


__ピキィーン!!


「__!?」


レイトの手に渡った瞬間、ペンダントが眩いばかりに強く光り輝き出した。


「う、うわあああ!!」そしてペンダントは重力を無視し不思議な力で高速移動を始めた。

レイトも手を離す暇が無く、手に取ったそれに振り回されてしまう。


「わわわわ、止めてーー!!」

__しかし、そんな事言っても魔法のペンダントの高速移動は止まらない。


「ぷぷぷ、何してんのよレイトあはは」

イレイアが指を指し空中でペンダントなんかに振り回されるレイトが滑稽で笑いが止まらない。


「わらってねーーで、とめろおおおおぉ」

__ピタ!!


あれ、止まった。さっきまで凄まじい動きを見せていたペンダントがこの部屋の一番目立つオブジェクトである棺の前で止まった。


「ふぅ……」レイトが安堵した途端また勝手にペンダントが動き出す。


「ちょ、おまいい加減にしろ」

グググ……とても強い力でレイトのバカ力でも抑えられない。


ペンダントの宝石部分が突然鍵の様な形状に変化し棺の鍵穴の様な場所にスッと入った。

___ガチャン。

「あ、」


入っちゃった……穴に。


飛ぶアクセサリーに操られてたので、過失ではあったが、自分を制御出来ずに敵か味方か『まだ』分からない生物が入っている未知の棺の鍵穴に鍵を入れてしまうと言う、失態をしてしまったレイト。


それはどういう結果を産むのか、今の彼にはまだ分からなかった……『鬼が出るか蛇が出るか』そう、運命はいつの時も揺蕩っているそして、彼の意思ではない開けるという選択によって棺の封印は解かれてしまう。

___バギン!!

魔法陣の封印式で守られていた封が、ガラスの様に粉々になり、破壊され物理的、魔法的に頑丈に施錠されていた棺の封印が遂に解除される。


__ギィイイ……

棺が不穏な音を立てて、ゆっくりとその中身が姿を現わそうとする。


「やべ、あいちまった」


「ばっか!! なにやってんのよ!!」

「知らね! 不可抗力だー!!」



「構えなさいレイト!! また、このダンジョンを守るボスキャラかもしれないわよ!!」


「あ、ああ」


二人とも念の為武器を構え念の為、戦闘の準備を取る。


「魔族の匂い……来るわね」


「くッ____!!」


開けられた棺から放たれる、邪悪なる魔力の匂いをイレイアは感じ取り、それをレイトへ伝えた。

開けられた、棺の周りに禍々しい至極色(しごくいろ)の深い霧が立ち込め二人を被った。


「ヤバそうな雰囲気だな」

「ええ、」


___ゴゴゴゴ

地響きと共に、中から勢い良く邪悪な翼をはためかせ、少女が現れ二人に向け、口を開いた。


『クハハハハ、祝え人間、復活じゃ!!クッハハ!!』


「__!?」


「我が名は、『ヨグ=プラム・ソトース』 絶対的な力、知識を兼ね備え、万物全ての上に立つ神である」


「かかか、神!?」


「こんなちーーちゃくて、頭が凄く悪そうでまだランドセル背負ってそうなちーーっちゃい女の子が!?」


「下賎な人間、小さい小さいうるさいの何度も言わすな我は神と言っておろうが、まあ、神と言っても邪の方じゃがの」

棺から現れた、ちみっ子で自称神の少女。容姿はと言うと、透き通った綺麗な銀色長髪の小柄な少女、特質俺達人間と異なる容相は不気味な触手で構築された翼と額にある縦線の傷の様なものだけであった。


確かに彼女の言うように神と言うのはまだ信じられないが、その異形な容相から魔族である事は確実だった。


「それで、その封印されていた邪神様は俺達に何をするつもりだ?」


「まさか、お主たち醜い人間と違い我はもっと高い次元におる、無益な争いなど好まぬ」


相手の力がまだ、分からない為レイトはヨグを警戒しいつ戦闘が始まっても良いように剣を構え、威嚇の意を込めヨグへ刃を向けた。


「ん?、刃をしまえ……俗物余り、我を怒らすな」

レイトの向けてきた剣に指先を添わせそれをなぞった、みるみるうちに剣が腐食し跡形もなく風化した。


「__!? くっ……こいつ」


__ニヤリ。

「人間、先から言っている通り、我に敵意は無いそれに感謝しているのだぞ?」


「……信じられる訳無いでしょ、そんな禍々しい魔力を放つ魔族相手に」イレイアもレイト同様ヨグの言っている事を信用出来なかった。

「……」レイトは剣を破壊され、極限までにヨグに接近され身動きや、迂闊な言葉を零せない状態にあった。


「ンフフ……有識者レイト、貴様をここに召喚したのは我じゃ……」なまめかしい、手つきでレイトの頬をこちらへ向け、耳元でヨグがそう囁いた。

「ククク……」妖艶な顔つきでレイトの慌てる様を楽しむヨグ。


____『……ッ、お前今、なんて……__!?』




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