魔力ってなにさ
今回の話はかなり細かい、読みにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、今後の物語に大きくかかわる話ですので、ぜひ最後まで読んでいただけると作者としてもおれしいかぎりです。それでは本編をどうぞ!
「だと思ったよ、じゃあ早速魔力の訓練を始めるよ。」
フォルの整った顔から笑みが消え、真剣な表情になった。
「オッケー、で、早速質問で悪いんだが魔力ってなんだ?」
「ああ、確かにまだ説明してなかった、魔力について説明するためには、まず魔素について説明しないといけないんだ。まず魔素っていうのは、君が元居た世界でいうところの元素の一種、水素とか酸素の仲間ってことさ、この元素特徴は二つ、一つ目は、例外を除き状態が定まっていないということ、ここでいう状態っていうのは、気体、液体、個体の、三態のことなんだけど、一般的な元素は、温度と圧力といった環境によって状態を変化させるんだ。」
「ああ、水をあっためると水蒸気になるみたいなのだろ?」
「そう、その通り!しかし魔素にはそれがない、どんな気温、圧力下においても気体であり、空気中を漂っている。ここでいう例外っていうのは、物質に魔力が含まれている場合と、後で説明する二つ目の性質が適応されたときだけ、二つ目の性質に関しては、あとでせつめいするけど、物質に含まれるっていうのは、俗に言う魔素を帯びているってやつだよ、簡単に言うと、魔素は基本変化しないけど、空気中の魔素の濃度が高いところでは一部が物質に溶けちゃうってことだね、取り敢えずここまではいい?」
「ああ、問題ない続けてくれ。」
確かにかなり長々と話してはいるが、この手の話は好物だし簡単に頭に入ってくる。
「拙い説明ですまないね。」
「気にすんな、フォルの説明が分かりにくいのはこの短い付き合いでよくわかってるし、ファンタジーな話は好物だからな、聞いてて楽しいぞ。」
「本当に助かる、じゃあ続きなんだけど、えーとどこまで話したっけ、ああ、魔素の特長の二つ目だったね、二つ目は、ある条件下においてどんな形にも変化できるということ。どんな形でもって言うのは、比喩なしで本当の意味でどんな形にも変化する、この性質が、さっき話した例外っていうことだよ。で、りく、いや、アル、僕が言ったある条件下って、何だと思う?」
「そうだな、ファンタジー的なことを考えるとするなら魔法の詠唱とか?俺は詠唱とかしたくないけど。」
俺がそう言うと、フォルは驚きに満ちた顔をしたあと、いたずらっぽい笑みを浮かべて言った。
「え、死に際に、あんな恥ずかしいこと平気でしてたのに、魔法の詠唱ははずかしいんですかぁ?」
「うるせえ!いちいち掘り返すな!それに、俺が魔法の詠唱したくないっていうのは、もちろんはずかしさもあるけど、それ以上に、戦いのテンポが悪くなるからなんだよ。」
「なるほど、とってもアルらしい意見だね。じゃあそんなアルに朗報だ、この世界では基本的に、魔法を使用する時に詠唱はしないよ、で、さっき僕が間違いじゃないって言ったのは詠唱には、イメージをしやすくする働きがあるからさ、ここまで言えばわかっただろ?魔素が例外的に変化する条件は、神のかごを持つ生物の、思考の影響を受けること、つまり、考えたことを具現化するってことさ。」
「でもそうなると、空気中に魔素はたくさんあるんだから、俺は魔力の量なんか鍛えなくても、空気中にある魔素を使えば使い放題なんじゃないか?」
俺がそう口にしたとき、フォルの口角が大きく上がった。
「そのとおり、このままじゃ、みんな魔法使い放題になっちゃうね!でも、そんなことは、神から直接生まれた魔素の塊ともいえる精霊を除けば、誰にもできない、その精霊でさえ、力の行使にはおおきな制約をもっているんだ!ここで、君が気になっている魔力が関わってくるのさ。魔素は加護を持つ生物の影響を確かに受けるが、その変化っていうのは、人間が死ぬ気になってさらにその思考を、長時間維持し続けて初めて少し変化する程度、とてもじゃないけど、日常ではまず起こりえない、勿論魔法も使えない、そこで生物が進化の過程で一様に身に着けた器官が魔力器官、生物が深層心理に持つ強い欲望によって、魔素を自分が使いやすい状態、すなわち魔力に変化させる器官だよ。魔力器官についてまで説明しちゃったけど、魔力について大体理解できたかい?」
「大体理解した。」
一気に情報をもらって若干頭がパンクしそうではあるけど、とても興味深い話だった。
「だけど一つ疑問なんだが、その、深層心理にある強い欲求なんてどう鍛えるって言うんだ?」
「簡単な話さ、使いまくる。人の欲求っていうのは、満たされるほどより大きな欲を持つものだからね、勿論魔力器官も、肺や心臓と同じ臓器の一つだから、少しずつしか成長しないけどね。だからこそ、みんな鍛えはするものの、魔力の総量は持って生まれた才能によるものが大きいとされているんだ、でも君は、本来誰も鍛えようなんて考えない幼児期から、鍛えまくって後天的な天才になろうぜってことさ。それにアル、君はこういうコツコツした修行とか、好きだろ?」
「勿論大好物だ!もう疑問は何もない、さっそく修行を始めようぜ!」
「火が付いたみたいだね、じゃあ修行を始めようといいたいとこだけど、そろそろ限界でしょ?お休みアル。」
「あ?そんなこ…と………。」
そこで俺の意識は途切れた。
お読みいただきありがとうございます!今回のフォルの説明は、あくまでも、魔力に関すること、それも基礎的なことのみですので、これからも多くの設定説明が入ると思います。設定に関して矛盾点や疑問点等あれば、感想をくださると、物語に支障をきたさない範囲でお答えできますので、是非お気軽に感想、評価のほどよろしくおねがいします。(あまりにもナチュラルなお願い、俺じゃなきゃ見逃してるね)………。
失礼しました。
ではまた次のお話でお会いしましょう。