我が牙をもって応えよう
なるほど、
どうやら狩人は何か仕掛けるつもりのようだ。
しかも、
これまで狩人の邪魔しかしていなかった守り人を、
あえて自分の戦いに加えるつもりらしい。
その守り人の心が、一瞬微かに揺らぐのが感じられた。
だが、すぐに力強い光を取り戻す。
その奥にうずくまる感情と、
傍らにあって息を潜めているものの存在とが
僅かに気にかかるが、
この戦いにおいて脅威とみなすべきは、
やはりあの狩人で間違いないだろう。
我が身を目の前に、言の葉を選ぼうとする意志。
抱えたものを忘れるでもなく、
その上でなお殺意を持たずに戦う姿勢。
そして、これだけ向き合っていながら、
一度として牙を立てる隙を見せない、強靭な心。
その在り様は、これまでに見たどの人間とも、
似ているようで違っていた。
ようやく、狩人と守り人が用意を整えたようだ。
その証に二人の感情が凪いでいく。
また、つい先ほど若き同胞を葬った、
もう一人の狩人もこちらへ向かっていた。
遥か昔、まだ若龍であった頃ならば、
あるいはあの人間の言葉に耳を傾けることも
できたのかもしれなかった。
しかし永き時を生き、
喰らうことの意味が霞むほど
人の心を糧としてきた身で、
今になって何か思えるほど、この牙と角は軽くない。
だからせめて、あの狩人の特異な心の輝きと、
交わした僅かな言の葉に免じ、
その戦法を真正面から破って見せよう。
そして同胞の魂を送ると共に、
二人の狩人を葬るとしよう。
喰らうことでしか理解すること能わぬ以上、
我が牙をもって、その刃を打ち砕くだけだ。