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語り出し
わかった、わかったからまとわり付くなって!
ちゃんと話してやる、話してやるから。
まずは、その、暖炉のそばに座れ!
俺の体に上るんじゃなく……
おい、髪を引っ張るな!
わかったって言ってるだろ。
頼むから、そこに座れって。
あんまりしつこいと、何も話さないぞ!
まったく……ようやく少し落ち着いたか。
いいか、お前ら。
今からちゃんと話してやるんだから
静かに、大人しく、行儀良く聴いてるんだぞ?
わかったな? よし。
そんじゃ始めるが……
こないだはどこまで話したんだったっけな?
……ああ、火の鳥と剣の王の話までか。
よし、だったら今度はこの話をしてやるよ。
こないだ話した精霊の時代の次に
龍の時代が訪れた。
その中で、まだ人とドラゴンが傷付け合い
悲しみと怒りが絶えなかった頃、
世界を変えんがために立ち上がり
最後まで互いを信じて戦い抜いた、
ある少女と少年の物語だ……