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詩よりも「つぶやき」

おばあちゃん

作者: 奥山まゆこ

バス道を曲がると、

あっという間に真っ暗になる。

生きている闇だ。

山に向かって畑を通って私は家に帰る。


小さい頃、

友だちの祖母を、おばあちゃん、と呼んでいた。

今も、おばあちゃん、と呼びかける。

同じ顔で仙人のように年をとらない。

ある日ほろりと欠けていくだけだ。


この闇が生きているのか

沈んでいるのか

私には分からなくなっている。

帰郷のたびごとに。


目を閉じれば、カエルが鳴いている。

日が昇れば、田んぼがひかる。

もうすぐ生まれた家に着く。


そうだろうか。

人間の気配は薄い。

この闇のにおいはもっと濃い。

いつか家を、村を喰らっていくだろう。


ただいま、おかえり、当たり前に返してくれた人を探し

溶けた人影を探し

あたたかい闇の中にすっぽりと入る。


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― 新着の感想 ―
[一言] 繰り返し読むと、寂寥感と闇の怖さが感じられてきます。 過疎の村なのでしょうか。 あとペンネームがローマ字回文なのが面白いですね~。
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