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お猿さん

作者: アベ坊

私は座っています。前には机があります。これらはもともと畑の中に埋まっていて、社会人二年目の芋ほりの時にたまたま私が発見し、それを洗って使用しているのです。ですので一部腐っていたり、そこらじゅうに小さな穴が開いており。その一つ一つにゲジゲジ、ムカデ、ヤモリがひっそりと暮らしています。その机の上にピンセットと鉛と握ればにじみ出るほど油の染みた粘土があります。

カーテンもレースも網戸も付いていない人の背ほどの窓が私の右隣にあります。外を眺めます。外には庭があり、木々が生い茂り、芝が手入れされています。奥には舗装されていない道がツーっと横切っていますよね。その道で知らない人と近所の人がお話しておられました。なんとも小奇麗な二人は私に気づいています。が、気がつかないふりをしています。タバコ交じりの湿っぽい私の室内です。しかし壁紙は真っ白で部屋は大きな窓のおかげで大きく感じます。その部屋の一番端っこに私と、机と、窓と鉛があります。余計にもの寂しい気分になりそうです。その部屋から前歯を突き出し彼らを笑います。まだ気がつかないふりをしています。ついでに粘土を投げつけてやりまして、粘土はもちろん窓ガラスに当たり、部屋中に油が飛び散り、タバコ臭さに手アカまみれの脂の臭いが私の前歯と部屋中をコーティングします。カプサイシンのような臭いが部屋を暴れ、私は悲しくなりましたの。

その二人はまだ私に気がつかないふりをしているのですな。

私は怒り今度はピンセットを一直線になるまでキリキリっと曲げたの。そして机の上に投げつけます。ドィイーン突き刺さります。虫たちがヒョッっと驚きます。そして彼らを見ます。ジーっと見ます。見つめます。

すると彼らはどうやらタダのお猿さんだったのですね。

部屋にスーっと気持ちの良い風が抜け、虫たちがニョっと喜ました。

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