8 引きこもりをやめましょう
・あらすじ 美小女じゃなくておっさんと仲良くなる
俺は今アレクさん(赤髪イケメン)の後ろをエリックさんと共にトロトロと徐行運転で付いていっている目指す先は彼の雇い主マルク・カーチェフという人物、
クラウス商会を28才という若さで副支配人になった頭の切れる凄腕の商人だそうだ[エリックさん談]
奥の荷馬車の横に見えて来たのは四人、マッチョ斧使いさん、魔女帽子さん、ヒーラーのお姉さん、そして貴族が着そうな高そうな服を着た人物がいる、スラッとしたその姿はエリックさんに聞いていた年齢より若く見える、たぶん彼がマルクさんなのだろう
「連れて来ました、マルクさん」
「アレク、使って悪いね、ありがとう」
そう言って俺のほうに歩いて近づいてくる
そして俺は今 非常に迷っている、車から降りるべきか引きこもるべきかを
考えてみよう剣や斧を持ってるほぼ初対面の人達に丸腰で出ていくにはかなりの勇気がいる…かといって車からだと失礼な気がするし、信頼感を与えることが出来ないだろう、それにここで降りないとこれからずるずると安全な車に引きこもってしまいそうだ…
見とけや俺の勇気!
シートベルトを外しドアに手をかけ思い切って開ける、マルクさんが少しビクッとしたが俺が降りて来たことがわかり笑顔を作る
「初めまして、クラウス商会の副支配人マルク・カーチェフと言います 、話しは護衛のアレクから聞きました」
そう言ってマルクさんは、右手を差し出す
「初めまして、本多 圭と言います、とっさとはいえ怖がらせてしまい申し訳ありませんでした」
右手を握り返し、挨拶を返す
「たしかにあれは死んだと思いましたよ、若干今でも怖いくらいです」
笑いながら話すマルクさん
「あれ、回復された筈では?」
俺はヒーラーのお姉さんを見る
「あー、たしかにサリーが回復してくれたのですがインパクトが凄すぎて思い出すだけで怖いって意味ですよ」
トラウマになってますやん…
「すいません」
「いえいえ、その怖さのおかげで魔物達が逃げ従業員達が無事でしたし、あらためてお礼を言わせてもらいます、ありがとうございます」
下げられた頭、その姿は従業員を思う立派な上司、初め見た時 貴族ぽい服装をみて傲慢な人かなとか何かそういうイメージを持ってました…ごめんなさい
「あと、エリックさんもありがとうございました、護衛じゃ無いのに戦っていただき本当に助かりました」
隣りにいたエリックさんにも頭を下げる
「いいの、いいの、ああいう時は戦える人が前に出なきゃいかんでしょって」
エリックさんは気にするなと手を振って答える
「そう言って頂けると助かります」
その後、護衛メンバーとの自己紹介などがありしばらく話していると話題は俺の愛車の話しになった
「いやー、自分で走って、魔物倒して、恐怖を与えて…本当にすげー神具だな」
エリックさんがバンパーを撫でながら愛車を誉める
「はい、いったいどれ程の価値があるのか…」
マルクさんが顎に手を起き考える仕草をする、これが商人の目か…はっ
「売りませんよ」
俺は慌てながら声を出す、それを見てマルクさんが笑いながら
「いえいえ、恩人の物には手を出しませんし、これほどの神具、天罰が怖いですしね」
「天罰?」
「強い神具はロトム神が授け 人を選ぶ、適正者以外が扱うと天罰が下るってな」
エリックの説明に護衛のアレクが続く
「例えば今 王都に保管されている 神光の聖剣 は勇者以外が扱おうとすると雷が落ちるそうです」
その話しは有名なのかみんなうなずいている
「ケイ君の神具はどーなんの?」
エリックさんに質問されるが…天罰こと初耳だし俺が知ってる訳がない
「ちょっと待って下さい」
俺は車のドアを開けエナに質問する
「エナ、話し聞いてた?」
「はい、マスター」
ドアを開けたまま聞いたからかエナの声が外に聞こえたようだ「魔道具が喋った」「聖剣も喋るらしいからそのレベルの神具なのか…」など話し声が聞こえる、聖剣って喋るの?すげー気になるディム○スじゃん
「マスター、天罰の説明いりますか?」
「頼む」
「了解です マスター、マスター以外の人が許可無く私を運転しようとするとショック死するほどの想像を絶する痛みが三日三晩続きます、呪いみたいなものなのでもちろん気絶したくても気絶出来ないので辛いですよ」
エグい…聖剣の雷で即死のほうが優しく感じる
もちろんエナの声は外にも聞こえてる…皆が引いてる
「…だそうです」
「そっか、あ、ありがとう…」
そこから、怖い話しはスルーの方向で違う話題になってしばらく話していると従業員だろうか細身の男性がほかの荷馬車から近づいてくる
「マルクさん報告です、二番馬車はなんとか走ることが出来ますが三番と四番馬車は車輪や車軸が折れてしまっていて中の積み荷もダメになったものがいくつかあります」
「そうか、セリム達従業員に大事が無かっただけよしとしましょう、この一番馬車と二番馬車だけで街に行きましょう、もったいないですが三番、四番はここに置いて行くしか無いでしょう。無事で価値がある物から一番と二番馬車の方に積んでいってください、商品の数の確認はトータスの町に着いてからにしましょう」
そう言って従業員セリムに指示を出すマルク、仕方ないか…と少し肩を落としている
何か力になれないかなーそう思っていると画面の中から
「マスター、トランクに荷物たくさん積めますがどうしますか?」
そうか、たしかに目指す町が一緒だから荷物運ぶのを手伝えばいいじゃないか
「マルクさん、少しお話が」
そう言って車に荷物をたくさん積めることを伝え、マルクさんとの話し合った結果、バイトみたいな感じでお給金もらい 荷物を運ぶことになった、そんなつもり無かったが確よく考えると一文なしなので正直すごく助かる
さて、お金貰うからにはしっかり仕事しますか、俺はトランクを開け従業員セリムさん指示のもとトランクへの荷物運びの手伝いを開始した