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42 最初の一杯を作りましょう

あらすじ、最後のあと一歩が中々進まないご主人様、生殺しにされ続けるエっさん、お祭りまであと3日…ついに昨日すべての準備が整いラーメン完成の時が…( ゜Д゜)

 

 

 「マスター、起きてください」

 

 う~ん

 

 可愛らしいエナの声を聞き 手を上げて伸びをして座席を立てる、眠い目を擦り声がする画面に目をやる


 「おはよう エナ」 

 

 「おはようございます マスター」

 

 今日もけっこう早い時間に起きる、昨日も夜遅くまで起きていたがエナがもらった 回復付与 の加護のお蔭か車で寝ると疲れがスッキリと取れる、1回 町の宿屋で寝たけど今では車中泊が嗜好ではないのかとすら思えてくる

 

 今日は完成したラーメンを皆に食べてもらう日、俺はさっと朝の準備を済ませて車をある場所へと動かす、料理祭の会場一番目立つ所…領主推薦の場所いわゆるメインスペースである、開催3日前という事もあり会場の全体像が出来上がっている

 

 「よし、エナ頼むわ」

 

 メインスペースに到着してトランクの部分を開ける


 「了解です マスター、キッチンカーモードに変型します」

 

 ピー ピー っとトラックがバックする時の様な音がすると車のトランク部分からにゅーっとキッチンが生えてくる…変型って言うか…生えてくる…イメージは料理番組とかにある野外キッチンスタジオ、それが車の後方にくっついてる様な感じ、キッチンカーではなくキッチンとカーでは無いかと思ってしまう…くっついてるからセーフ?

 

 ラーメン用のキッチンでは無いためこのキッチンとは別に大鍋用のコンロの魔道具など作業場を整えていく、ついでに このキッチンカーモード祭りまで時間が足りずCPも足りなかったのでリースの機能を使っている、リースの為そこからさらには強化が出来ないがそのうちポイントを貯めて キッチンカー → ラーメンカー? みたいなラーメン作りに適したものに強化していきたいと思っている

 

 調理場のセッティングが終わる、さてラーメン作りをしていこうか、 トランクからスープ材料を取り出す

 

・干した モジャルルの触手(昆布?)

・干した キノボー(椎茸?)

・ビックコッコの鶏ガラ

・ネギの青い所、白色の生姜、木の実ニンニク、白林檎、その他野

菜少量 玉ねぎ等

 

 俺は豚骨を使わずビックコッコ鶏ガラだけを使う事にした、異世界ではじめて食べた食材が このビックコッコ、この世界で頑張れると思ったのもこの肉の味のお蔭だ、このビックコッコの鶏ガラに干したモジャルルの触手と干したキノボーの出汁を合わせたスープが今回のラーメンのスープ


 まず干したモジャルルの触手と干したキノボーを水出ししていく、昆布と椎茸の精進出汁の要領だ、はじめは魔物なのでどうかな?とも思ったが植物系の魔物なのでこれは れっきとした精進出汁だ…きっと

 

 作り方としては、干したモンジャルルの触手とクリボーをカットして水に入れ一晩待つだけ これは明日の分だ、今日のは事前に作て 串屋の魔導冷蔵庫に一晩置かせてもらったヤツを使う


 水出汁にしたのは個性が強すぎる為水の量など調整して今の優しい感じに仕上がった、この精進出汁(魔物)はビックコッコの鶏ガラスープを作る時に蒸発した分の水を注ぎ足す用に使っていく


 次にビックコッコの鶏ガラの下処理とアク抜きを手際よく終わらせて

 

こっからゆ~っくりとビックコッコの鶏ガラスープをとっていく

 

大鍋にビックコッコの鶏ガラと臭み消し用の野菜達を入れていき弱火で加熱していく、スープが濁らないように沸騰させないギリギリで上手に煮込み、また材料も丁寧に扱っていく

 

 これを6~7時間ほどまさにゆ~っくり旨味を溶けさせていく

 

もちろんアクが出たら取り、水分が蒸発したら精進出汁(魔物)を入れて足すなどを繰り返していく

 

 後はエッグフラワーを茹でてタレに漬け込みビックコッコの卵の黄身を準備する

 

 

 麺、チャーシュー、メンマに関しては昨日のうちに既に出来上がっている

 

 麺はクラウス商会に行って小麦粉選びから始まり、重曹と塩でかんすいのかわりの混合液作って試行錯誤の末に完成した、シンプルで王道の中太ストレート麺

 

チャーシューは前回作ったのに改良を加えてラーメン用の完成品を作った、ビックコッコの鶏チャーシューだ 肉厚、脂身共に申し分なし、良い出来だ

 

 メンマは半ば諦めていたが以外なものが助けてくれた、緑のパックン○ラワーこと…バイトプラントだ、コリコリっとしたその食間を活かせるのでないかと実験を重ねた結果、高濃度の塩水で茹でると繊維が軟らかくなり、それを塩抜きすると水煮メンマの様な状態になってくれた、これに味付けをしてメンマを作った

 

 この3つの完成品はすでにエナのトランクに丁寧に積んである、トランクに入れると劣化しないので凄い助かっている、ついでに熱々の餃子を入れて次日に熱々で出てきた時は驚いたものだ…

 

 

 スープのアク取りをしているとムック君が出勤、そろそろ本番用の餃子を準備しないといけない為 気合いが入っている、お祭り当日は餃子を焼くだけいいようにエナのトランクを有効活用して作り置きするつもりだ

 

 「おはようございます、今日もよろしくお願いします」

 

 「おはよう、今日は昨日作った本番用に改良した餃子のたねの包み作業と夜になったらこの会場設備を使って餃子を焼く練習だね、よろしく」

 

 「はい、頑張ります」

 

 ムック君、「休みなさい」と言っても毎日餃子の練習しにくる真面目?な青年、何でも餃子を食べて感動したらしい、「僕でも作れますか…師匠…」とマジ顔で弟子入りしてきた…って訳で餃子担当になった 、あと師匠呼びは即却下したおやっさんに百年早いと怒られる…

 

 そんなムック君、無事に内定が貰えた、就職先は串屋、串屋のキッチンを間借りさせてもらってる時にジムニーさんにスカウトされていた、焼き鳥担当 店長のジムニーさん、串カツ担当 ロメオ君、餃子担当にムック君…餃子は串じゃ無いけど大丈夫なのだろうか?

 

 もともと俺はこの世界で食材探しの旅に出るつもりだったからムック君の就職先が見つかって ほっ としている、一時しのぎのバイト雇用だったし…、ついでにロメオくんも就職したみたいだ、おめでとう頑張ってね

 

 

 ーーーーーー


 

 「…そろそろ開店しようかな?」

 

 日が傾き酒飲みの冒険者メンバー達が会場に集まってくる、開店の予定時間より大分早い、エっさんにいたっては開店一時間以上前からスタンバってる…

 

 「うん…開けるか」

 

 予定時間より大分早いが開店する事にしよう、エっさんが空腹は最高のスパイスとか言って朝昼と食事を抜いてるらしい…これ以上のお預けは酷な気がする

 

 俺は店先におやっさんからもらった赤提灯を吊るす…うん気合いが入る

 

 「え…もう頼んでいいのケイくん?」

 

 モチをクッションみたいにして机に突っ伏していたエっさんが潤んだ瞳を向けてくる、そういう仕草は美少女の特権だ おっさんがすると気持ち悪い…けど原因は待たせた俺か …なら我慢しよう

  

 「待たせてゴメンって…エっさんには完成品を食べて欲しくてさ、 ゴホンッ…では、ラーメン屋のお客様 第一号のエリックさん、ご注文をどうぞ 」

 

 「よっしゃーー生殺しにされ過ぎておっさんもう限界だ…ラーメンひとつ‼」

 

 「かしこまりました」

 

 トランクから麺を1玉取り出して茹で始める、それと同時にラーメン鉢も取り出すクラウス商会に頼んで納品してもらったモノだ

 

 お湯でその鉢を温める、ついでにこのようなラーメン鉢や蓮華 等の食器類が届いたのは2日前…祭りを考えるとホントギリギリだったなー

 

 お湯を捨てて温まったラーメン鉢にタレを入れていく、スープの味を生かす為に非常にシンプルなモノにしてある、材料は二つ モンザエモンさんの醤油と塩、それを使った煮きり醤油が今回のラーメンのタレ、鶏ガラスープ自体の味が純粋に強いのでこれくらいシンプルなモノのほうがタレとしてはベストだった

 

 そのタレを7時間煮込んだスープと混ぜ合わせる、ビックコッコの力強い旨味が溶け込んだスープとそれをやさしく包みこむ精進出汁(魔物)とが合わさった金色に輝くスープがタレと混ざり合い濃い琥珀色へと姿を変える

 

 「マスター、時間です」

 

 「了解」

 

 一度 麺の固さを確め 、麺を振りざると共に鍋から引き上げる

 

 シュッ

 

 水しぶきと共に湯気が上がる

 

 湯切りをおこない ラーメンのスープに入れて麺とスープを絡める、ぷりっとした黄色い麺の上を琥珀色のスープが伝う

 

 その上に鶏チャーシューとメンマ、半分に切ったエッグフラワーを乗せ 更にエッグフラワーの上にビックコッコの黄身醤油をソースの様にかける、これはビックコッコの卵が大きすぎた為のアレンジだ

 

 最後に刻みネギを飾り付け…


 

 完成


 

 試行錯誤末にたどり着いたこのラーメン、モンザエモンさんの醤油含め 材料集めなどを手伝ってくれた皆のお陰で作れた一杯だ、皆への感謝の気持ちとこれからこの世界で頑張りますという意気込みを込めてこの始まりの一杯を提供する


  

 

  「ラーメン お待ちどおさまです」




 

 

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