3 彼女?に名前をつけましょう
真っ暗な空間から徐々に光が射し周りの風景が鮮明になっていく
車の外に広がる風景は、日本では味わえないような一面に広がる緑、その立派な草原のど真ん中に今俺は愛車と共にぽつんと存在している
「まったく人の気配無いんですけど…」
一面に広がる草原、広がり過ぎて町や村の影すら見えない
「さて、どうしたもんか…」
何処へ行けばいいのか何をすればいいのか まるでわからない…
しばらくぼーっとしてしまう
すると車のナビの部分からパソコンが起動した時に流れるようなメロディが聞こえナビ画面の方向に目を移す
数多くの数字やアルファベットの羅列が上から下に流れていく、プログラマーの人とかなら分かるのかもしれないが一般人の俺には全くわからないものである
その文字の流れが止まり、画面が一度暗転して切り替わる
「フぁっ!」
我ながら変な声が出たものだ…でもこれは仕方ないと思う
画面に映ったのは目を閉じた全裸の少女、さらに驚いたのはその少女は俺の好みがそのまま形なったような容姿をしている事だ
金髪ロング…幼いころからの憧れです
幼い顔つき…大好物です
低い身長…可愛いさの象徴です
小さな胸…ちっパイ、ぺったんこ音の響きがいいよね
その他もろもろetc.
俺は今、一種の芸術品を見たような感動を覚えている
まじまじと芸術観賞をしていると画面の中の少女が目を開ける、綺麗な青い目をしてる
俺はまじまじと観ていた目を反らし、なに食わぬ顔でその少女の動きを待つ
彼女は、無表情?ポーカーフェイスとでも言ったらいいのか、表情を変えないままジト目のようなヤル気ない目と顔を俺の方に向け喋り始める、ついでにジト目も好物です
「はじめまして、マスター、私はこの車の意思として覚醒しました、これからよろしくお願いします」
これまた俺好みの可愛らしい声で挨拶をされる、抑揚が少ないため少し機械音声のように感じてしまうのがちょっぴり残念
「えーっと、よろしく」
平静を装い軽い感じで返事を返す
しかしそのやり取りの後に続いたのは長い沈黙…、それに耐えきれなくなった俺は自分から喋りだす
「えっと、とりあえず服着ようか」
まずはこれ、この芸術をもっと見ていたい気もするが、気が散って落ち着いて話をするどころではない
彼女は目線を自分の体に向けほぼ無表情のままゆっくりと体を隠す
「マスターのえっち」
「そういう反応は、ありがたいけど話しが進まないから…」
「了解です、マスター」
彼女が頷いた瞬間、急に車のスピーカーからBGMが流れ出す、画面に目を向けるとどこの美少女戦士だと突っ込みたくなるお着替え、変身シーン?が映し出される
その変身?が終わり、画面にいるのは、ロボット操縦者独特のあのピッチっとしたスーツを着た彼女
「マスターの要望に答えたました、なので今度は私の要望を聞いてもらえますか」
「要望? なにすればいいの」
「私に名前をつけてください」
「名前…ホンダのMーBoxじゃ?」
「マスターは自分の子供が生まれた時、その子に 人 って名前を付けるのですか?」
「うん、付け無いな」
さてどうしよう…名前付けるの苦手なんだよなー
“エ” ムボックスの “ナ” ビで…
「エナとかどうかな?」
「了解しました、本日から私はエナです」
顔を見るとほとんど無表情で解らないが、画面に映ったくす玉を割ってお祝いしている?
安易に浸けた名前を喜んでくれてるのだろうか…ちょっと申し訳ないな
「それではこれからこの世界エレステリアをエナがナビゲートしてきます」
画面内で頭を下げるエナ
「じゃあ エナ、とりあえず人がいるとこまでナビ頼める?」
俺が外を見て分かる情報は、草原がただ広がっているということのみ、どっちに進めばいいかすらもわからない、とりあえず人がいるところを目指さねば
「現在位置より北方向、約260km付近に町、トータスを確認しました、目的地はそこでよろしいですか?」
「うん、よろしく」
「おk、マスター」
260kmかーたしか東京から名古屋の直線距離がそんなもんだったかな?、道にもよるけど距離的には今日中は村に付けるだろうか…
俺は車のエンジンをかけ、エナのナビを信じて北に向かって運転し始める
道なき草原を進むので車はもっと揺れるのでは?と思っていたが車は加護?のお陰なのか揺れ無く快適なものだった。
しばらく景色の変わらない草原を北に向かっていく…
とくに何もないこの時間、いろんな事が起き過ぎて混乱していた頭が落ち着いてくる、するといろんな不安が吹き出してくる
「あのさーエナ、いろいろ聞きたい事あるけど大丈夫?」
「はい、私が知っていることならお教え出来ます」
「じゃあ、今 町を目指してるけど、俺ってこの世界の言葉分かるのかな?」
「…マスター、少しお待ちください」
画面に映し出されるアップデートの文字と%のゲージ、それが100%になる
「マスターはロリコンですか?」
「……ひ、否定はしないがあえて言おう、俺は保護欲が強いだけだ、子犬や子猫が大好きだし、幼女は性的な感情は無く…そう、芸術を観賞するような目線で見ているから安心してくれ」
ちょっと変な汗が出たが気にしない、顔色も変えない
「マスター、急に早口になられましたね、でもこれなら大丈夫ですよ、今私が喋ってる言葉はこの世界の共通言語、マスターが喋ってる言葉もそれにあわせてなのかこの世界の言葉で話せています」
「…うん, ありがとう、でも違う確認方法とかがもっとあったような気がするけど、うん」
「マスター、ほかに聞きたいことはありますか?」
「距離あるしゆっくり聞いていくよ…」
「おk、マスター」
おかしいな、信号とかが無いストレスフリーな道なのに運転疲れが…
そんな感じで車は北へと向かっていく