24 とある警備隊長さんのお話
あらすじ、パックン○ラワーって美味しかったんだなー、ついでに勇気出して緑色の1UPしそうなキノコも食べた…普通に美味しかったけどはたして残機は増えたのだろうか(笑)
「ふぅ…やっと終わった」
仕事が終わりグッと伸びをする、今朝ギルドマスターのグランさんによって伝えられた情報 「レッドウルフの集団の多数目撃があった現在調査中だが、警備強化を頼む」、そこから上司や部下への報告、町の警備強化 兵の割り振りや手配などやっていたらもうこんな時間だ
「あー、一杯やりてー」
疲れた身体がエールを欲している…この時間にやっているのはジムニーさんの「串屋」か
ふらふらと吸い込まれるようにそのお店向かって足が勝手に動き出す
串屋、シンプル過ぎる名前のお店、外見はカフェのようにオシャレだが中はお酒とつまみがうまい飲み屋である、老夫婦がやってたカフェを譲ってもらい店長のジムニーさんが始めたお店だ、醤油やにほん酒などの珍しい材料を扱うお店、俺の行き着けの店でもある
「いらっしゃいませ」
ドアを開けると可愛らしい声がお店に響く、垂れた犬耳と笑顔がチャームポイントなお店の看板娘レティちゃん
「いやー、レティちゃんは今日も元気でかわいいね」
「はい、ありがとうございます、元気が取り柄ですから」
いつも言っている台詞のせいかさらっと流されてしまう…まあいつも通りか
「店長も久しぶり、じゃあいつものを頼もうかな」
店長のジムニーさんとは顔馴染みで常連の俺は「いつもの」とメニュー見ずに注文する
「はい、久しぶりです…と言っても3日ぶりですけどね、それよりタイザさん今日はオススメの品があるんですが」
「おっ、店長がメニューを薦めてくるのは珍しいな、じゃあそれお願いするよ」
注文してカウンターに座ろうとすると団体用の長いテーブルから俺を手まねいている人物を発見、今朝仕事を沢山持ってきた男…冒険者ギルドマスターのグランさんだ
席に近付くと皆テンションが高くお酒で出来上がっていた、ギルマスのグランさん、たまふらっとにトータスにくる冒険者エリックさん、フリーで護衛などをしてる元冒険者のハンスさん、珍しい所で言うとユリウス商会のマルクさんもいる…手前に黒髪の人がいるがその人ははじめましてだな
グランさん達のテーブルの前に行く、テーブルにはこのお店の新メニューだろうか?このお店で見たこと無い料理が並んでいる
「おー、警備の隊長になったんだってね、おめでとう」
奥の席から手を振ってくるエリックさん、3ヶ月ほど前の人事で警備の隊長になったことを祝ってくれている、エリックさんと最後に飲んだ時はまだ副隊長だった
「ありがとうございます」
「まーまー、席に座れよタイザ隊長~」
エリックさんにお礼を言ってる途中に酔っているグランさんが強引に俺の手を引っ張り席に座らせる
丁度店長のジムニーさんがエールとハムのようなものを持ってきてくれる
「ほら、コップ持って 、 美味しい酒の肴とロトム神に感謝を、乾杯」
「「乾杯」」
エールが疲れた身体に染み入ってくる…仕事終わりの一杯を今噛みしめている…
「ケイくん頼めるかい」
「はい、餃子と唐揚げですね」
酒を堪能している横でジムニーさんが何かを頼んだ後 厨房に入っていく黒髪の人物
俺は横目で見ながら目の前にある新メニューであろうハムのようなものを口に運ぶ
じゅわぁ
お肉が口でとろけるような感覚がして背筋が伸びる、姿勢を正し目を閉じ俺は口の中に意識を集中させる
口の中に広がる溶けた肉汁さらにそこに肉を噛んだ時に出てくる醤油などの深い味が混ざり合いハーモニーを奏でる
噛む度に音色を代えるその演奏が俺の喉元を通り終わりを告げる
ふぅー
ゆっくり目を開けると周りの皆がニヤニヤとこっちを見てくる
「どうだっ、旨いだろ」
「うん、気持ちわかります私もそうなりました」
「おっさん的には、こっちのぷりぷりしたチャーシューがオススメ」
「これがエールに合うんだ」
皆お酒のせいかバラバラに話してくるが、この料理の感想を共有したい気持ちが伝わってくる
俺的に一番気になったのはエリックさんの発言、お皿をよく見ると三種類のお肉がある
ぷりぷりしたもの、身がぎっしりと詰まったもの、そして先程食べたトロトロとしたもの、全部同じように見えて違う存在感を放つその三種類
一つ一つをゆっくりと全力で堪能しながら俺はエール流し込む
「これは美味い…」
「ありがとうございます」
先程厨房に入っていった人物が席に戻ってきていて俺が呟いた言葉を聞いていたようだ
「タイザ、紹介するぞこいつがケイだ、旨い肴作ったすごい奴」
グランさんのがっちりとした腕で肩を組まれ抜け出そうともがくケイさんとやら
その手にはまた何か見知らぬ料理が皿の上に広がっている、よろしくお願いしますと挨拶を交わすも気持ちはもうそのお皿にクギズケだった
「唐揚げです、どうぞ」
新しい料理との出逢いは胸が踊るもの、それを見て匂いを嗅いだ瞬間に俺の胸から心臓が飛び出るくらいに何かが訴えてくる、自然に俺の片手にはエールが握られていた
熱々の茶色い一口サイズのものを口にほりこむ
ハフハフなりながら顎に力を入れる
サクッ
心地よい歯触りが響いた後お肉の味が波状攻撃のように襲ってくる、さらに自分にトドメを刺すかのごとくエールを傾ける
「クゥーーー」
自然に溢れたこの言葉がすべてを物語っているだろう
今日串屋に来て本当に良かった…チャーシューと唐揚げに感謝していると もう1皿 黒髪の青年によって運ばれてくるも
「餃子です、このタレに漬けて食べて下さい」
彼が喋っている最中にはもう手が勝手に動いていたかも知れない…
パリッ もちッ じゅわぁ
なんて言うかもう言葉要らないな…あー幸せ…深く考えなくても単純にめっちゃ美味しい、お供のエールがドンドン無くなっていく…今俺何杯目だろうか、これは皆いい気分になるはずはずだ 俺が来たときの皆のテンションの訳がわかった
仕事のことは完全に忘れてこの旨い肴でパーっとやろう
新メニューが並んだ今日の串屋は閉店時間を迎えるまでかなり賑やかだった




