15 薬を貰いに隣町にいきましょう
あらすじ 、ロメオくん救出 できました…救出した後 助手席に座ったエっさんのドヤ顔が少し印象的だった
暗い夜道 隣町バモスに向かいドライブ中、エナのナビではもうちょっとで町に着くとのこと
ここまでの道のりで変わったことは特に無い、何度かレッドウルフに遭遇するも エナが〈認識阻害〉を発動してくれてるおかげで無視して進むことが出来た…ただ他のメンバーはこれまでの道に気になる事があるらしく…
「気になってんだけどさ…このレッドウルフの数どう思うよ」
「夜行性の魔物でしたっけ?確かに遇率が多すぎますね…」
「はい、レッドウルフの情報をスキャンしましたが夜間に少し活発になりますが普通ここまでの遭遇率にはならないと推測します」
「おっさんなーんか嫌な予感するわー」
「はい…」
3人は少し困った口調で話しをする…話しに参加出来なかったのはこの世界のことに詳しくない俺とマルクさんの横で寝ているロメオくんだけだ…俺と違ってロメオくんは寝てるから仕方ないけど
ミラー越しに後部座席で寝ているロメオくんを確認する
「う…う~ん」
丁度タイミングよく後ろを確認した時に目を覚ましたようだ
「ロメオくん、起きましたか 痛いところはありませんか」
優しく問いかけるマルクさん
バッ と身体を整え辺りを全力で辺りの状況を確認するロメオくん
「僕…生きてる…それにマルクさん?…」
今の自分の状況が飲み込めていないが知っている顔を発見し少しほっとした顔を見せる
「大丈夫ですよ、ここは私の友人のちょっと特殊な魔道具の中です安心してください、それにもうバモスに着きます、言いたい事は色々ありますが後にしましょう」
マルクさんの言ったとおり町の壁が見えてくる、魔物が蔓延っている世界だからだろうかこの町もタートスと比べれば小さい町なのだが門や壁は立派なものである
到着する前にエナに〈認識阻害〉をOFFにしてもらい門に近づく、案の定門の兵士に囲まれるという事があったがクラウス商会のマルクさんという有名な顔のおかげで何とかなった
門を開けてもらい中に入る、町を探索したいがもちろんそんな場合ではない、マルクさんに案内されるまま徐行運転で町を走り、見えてきたのは倉庫、 数人が電気?みたいな魔道具をつけて作業をしている
どうやら地球儀のような魔道具で連絡した解毒薬の準備してくれているようだ
外の気配に気づいてか中から従業員が出てくる 、マルクさんは外に出て話しを聞くとすぐに俺を呼ぶ
「ケイさん、もう準備が出来てあるそうです、この箱を積んで頂けますか」
「わかりました」
従業員3人が一箱ずつ運んでくる俺はそれをトランクに収納していく
荷物を積み終わり俺は運転席に戻ると話し終わったマルクさんも後ろの席に座る
「それではタートスに戻りましょう、ケイさんおねがいします」
俺は頷き車を出発させる、バモスでの滞在時間10分以下…もう門を出てまた夜のドライブが開始される
薬を待っている人がいるから急いだ方がいいよね というわけで帰りもアクセル強めで夜道を爆走して行く
〈認識阻害〉ONにして走っている為魔物も無視でいい…ただまたレッドウルフぽつぽつと見かける…
〈認識阻害〉のおかげで特に何も起きない平和なドライブ、話す事の無くなった車内でエっさんが後部座席のロメオくんに話しかける
「そう言えばさー、少年はなんで一人でこんな無茶をしたわけ?」
「……」
「そうですよ、ロメオくん 私含めハンスさんや皆さんも心配したんですよ、実際ケイさんのこの神具、エナさんが無かったら死んでましたよ」
「……すいません」
謝り下を向くロメオくんそれをミラー越しに見たエっさんが続ける
「べつに少年を怒ってる訳じゃない、それに叱ったりするのは少年の師匠さんや親さんに任せるからさ 何気にそういうのが一番堪えるからね」
そういって、エっさんはロメオくんの方を見ながらもう1度問いかける
「でっ何で一人でやろうとしたんだ少年?」
「僕が悪いから…僕が行かなきゃって…」
「本当にそれだけが理由か?」
「……うん…」
「そうか…、おっさんの勘違いだったみたいだわ…少年なんか意地張ってように見えたからさ」
「………」
「はい、おっさんの質問終ーわり、逆におっさんへの質問なんかない?何でもいいよー、女の子にモテる方法でも教えようか」
ちょっと真面目な雰囲気からいつものエっさんに戻る、でもロメオくんは真剣な顔のままゆっくり口を開く
「…大人…どうしたら大人なれますか?」
「う~ん…大人になるのは簡単よ、ほらほっとけば勝手になる、おっさんも気付けばおっさんになってたからね…だから焦るな少年大丈夫だ」
その言葉を聞き少しだけ顔を上げるロメオくん
「ゆっくり前見て歩いてれば自然と道は見えてくるもんだ、無理に突っ走ろうとするから迷うんだ、それとおっさんから貴重なアドバイスをひとつ、人に頼るのは恥ずかしいことじゃねーぞもっと人に頼れ、もし頼る事に罪悪感があるならお前が返せるようになった時に頼った分を2倍3倍にして返せばいい、…それに頼られる方の大人も案外悪いもんじゃなんだよ少年」
「…はい」
真っ直ぐ前を見つめゆっくり返事をするロメオくん、それを確認したエっさんは伸びをしながら
「やっぱ年だねー何言っても説教みたいになっちまう…やめだやめだ美味しいもんの話ししよう、帰って薬届けたら晩飯だ」
そういってグルメトークが始まる俺は、夜道を全速力で飛ばしながらも必死にトークに参加する…真面目トークの時全く参加出来なかったからね
車は相変わらず異世界の夜を爆走する目的地トータスに向かって