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王太子妃付き侍女の憂鬱。  作者: なな風
とある一日。
9/17

お茶の時間は続きます。

お茶の時間が長すぎて分けるハメになったとです。

はい、お茶継続中です。お茶の時間と言いつつもはや神話のお稽古状態ですねこれ。まあいいですけど。


「そういえば、称号って神話からきてるのよね。」

「はい、というより神話に出てくるものが今も発生している、という状況ですね。」


称号。何らかの偉業や行動、また一定の性質を持った者に世界から贈られるもの。どういった基準で贈られるのかは不明ですが、武勇や何かを極めた者に贈られる事が多いですね。称号持ちはその称号をミドルネームにする事が多いです。……ミドルネーム自体が称号用でもあります。ミドルネーム持ちは称号持ち、と言っても過言ではないですね。


「称号、アウルも持ってたよね。」

「ああ。魔獣征伐の時にな。ヘルトー、という称号だ。」

アウル・ヘルトー・センティ、というのが殿下の名前になるわけですね。

「ちなみに理由はしらん。どういう意味なんだろうな。」

「……精霊の言葉そのままな事が多いらしいですので……。意味まではわかりませんね。」

どんな意味なんでしょうね。


「称号ならあいつも持ってたよな。」

「ヴィリアね。」

……またもや出てきました、前任者。

「二つくらい持ってなかったか。」

「……そうねぇ、そのくらい持ってたわね。」

二つ持ちとかエグい。……どんな方なんでしょう。聞いてみますか。


「……前任者ってどのような方だったのでしょうか。」

「あー、気になる?」

「はい、度々話に出てきますので……。」

「そうねぇ……。アウル、どこまで話していいと思う?」

「……そうだ、な。どこの生まれだったかと性格、容姿位ならいいのではないかな。」

以外と少ない。


「本人から口止めされてるのよねぇ……。」

「……そうですか。」

聞ける部分だけでも聞きましょう。


「ヴィリアは……これ偽名なんだけどね。サーヴァント家の生まれなのよ。」

「私とエリー、ロイとヴィリア、四人とも同い年でな、エリーとヴィリアは幼馴染みだったんだ。」

幼馴染みですか。


「実家のファスティとサーヴァントは領地が隣でね、度々遊びに言ってたのよ。あの子全然こっちには来なかったけどね。」

「家で実験してるか何かを討伐しに行ってるかだったか?」

「そうそう、実験材料狩ってくるわ、って。……遊びに行った時なんて付き合わされたわ。」

……なるほど今のエリューシャ様が強い元凶。


「探索者登録もしてたみたいよ。素材も研究費用も取れていいじゃあないか、って言ってたわ。」

「あの頃からそんなだったのか……。」

「あの子昔からああだったから。」

……貴族とは思えない軽さ。


「しかもサーヴァントだからね、侍女教育もみっちり、戦闘教育もみっちり、貴族教育もみっちりとかいうね。」

「それを学院に入るまで続けてたとか言ってたな。」

「本人としては侍女として微妙、らしいけど。」

「あれでか。」

どんなだ。

「プロフェッショナルだったわね。……侍女長よりレベル高い感じの。」

……なんと。


「それに侍女服着ると性格変わるレベルの変わり身だったな。」

「レーネみたいな感じになるわね。」

……私みたいな。

「クールで肝が座ってる感じの。」

私そんなに図太くないですが!顔に出さないだけですが!

「冗談よ。」

騙されませんよ……。


「まあ、いいわ。普段の性格はなんというか……。」

「一言では言えんな。冷静沈着な令嬢かと思いきや女誑し、男装の麗人の様なときもあった。」

「学院でファンつくりまくってたわね……。それに不気味な研究者の様な時もあったし戦闘狂みたいな時もあったわ。」

「あの嗤いは驚いたな。実力も相まって恐ろしかったよ。……こちらの全てを見透かす様な雰囲気の時もあったな。」

……どんな性格か予想ができないです。


「……そうねえ、今思うと……色んな事に楽しみ見出して、それを全力で楽しんでた感じねぇ。」

「ああ、それだ。いつも楽しそうだったな。」

なるほど、人生エンジョイ勢と。


「人生謳歌してたよな、あいつ。」

「ええ。……そういや、たまにだけど憂いを帯びた目をすることがあったわね。」

「ああ。それもまたファンを増やす一員になってたな……。」

「容姿も整ってたし、いつも楽しそうだったら余計にね。」

「……それも計算な気がしてきた。」

「……たしかに。絶対楽しんでたわあの子。」

魔性の女かよ。


「容姿はそうね、えーと……濃紺の髪であってたかしら。目は何色だったっけ?」

「どうだったか……たしか緑じゃなかったか?髪はそれであってたはずだ。」

「変わったからあまり覚えてないわね……。」

……変わった?


「ああ、今は髪と目の色が変わってるんだ。」

「色々あってね。変わった理由は言えないわ。」

「髪は白になっている。目の色は……言ってもいいと思うか?」

「どうかしら……。あの子が隠してるし言わない方がよくない?」

「……そうだな。目の色は言えん。」

……隠すような色……とは。


「ちなみに貴女のことを気に入ってるらしいわ。」

「えっ」

「なんでかは知らないけどね。」

何故だ。

「名前じゃないのか。」

「あー。なるほどね。」

名前……?

「……そうね、多分そのうち会えるんじゃないかしら。その時に聞いてみたら?」

「そうだな。度々この国に来ているようだし。」

……この国にいない?


「ええ、あの子今ハーヴェスタにいるのよ。」

「魔族領、ですか。」

「色々やってあっちで番見つけて落ち着いたんだよな。」

番。つがいって。

「ロイがノロケられたって言ってたわ。」

「まったく……。」

「こっちにも顔出せばいいのにね。」

「色々思う所があるのだろう。……顔がみたくもあるがな。」

色々あるんですね。


「ヴィリアについて話せるのはこのぐらいか。」

「そうねぇ、このぐらいかしら。」

「……貴重なお話、ありがとうございました。」

……わからない事が多すぎる気もしますが。


「いいのよ、……レーネにも会わせたいわねぇ。」

「そうだな。次来た時はロイに引っ張って来させるか。」

「いっそゼルノに連れて来させたら?」

「……友好の式典的なものを開けば……アリだな。」

「やっちゃう?」

「……やるか。」

ゼルノって誰だ。そしてなにやら決まっていく。


「……陛下に話を通してくる。」

「わかったわ、いってらっしゃい。」

「……お気を付けて。」

殿下、いっちゃいました。


「さてと。軽く一眠りしようかしら。」

「かしこまりました。」

楽なドレスに着替え、寝室へ。

「それじゃおやすみ、時間になったら起こして。」

次の予定は夜、大丈夫ですね。

「おやすみなさいませ。」

寝室から退出。……さて、お仕事しますか。



人生エンジョイ勢ヴィリアさん。

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