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王太子妃付き侍女の憂鬱。  作者: なな風
とある一日。
5/17

お稽古です。


 騎士団の所からエリューシャ様のお部屋に戻ってきました。早速お茶の用意。


 「ふぅ。部屋に戻ると一息ついた、って感じするわね。」

 そのためのお部屋ですから。とはいえ、今からお稽古です。……先生はおりませんが。鈍らないように部屋で身体を動かす名目です。


 「ダンス、ねぇ。」

 「僭越ながら私が相手を努めさせていただきます。」

 侍女たるものダンスの相手も出来なければいけないのだ。男役で。……男役のほうが上手くなったのは秘密だ。


 エリューシャ様をリードしステップを踏む。

 「貴女男役上手くなってない?」

愛想笑いで誤魔化します。

 「……エリューシャ様はダンス、お上手ですよね。」

 ……この方にダンスのお稽古、必要あるのか。よく外へ出歩いてますし。

 「舞踏と武闘って似てるからかしらね。」

 言葉が?……いや、動きが、か。


 少し激しく回してみたり、身体を反らさせてみたり。

 「今日は激しいわね。」

 「どこまでいけるか気になりまして。」

 「やってみる?」

 ならばさらに回してみましょうか。

 三回転、持ち上げ回転、これもいけるのか。

 「あはは、なかなか楽しいわね。」

 「素晴らしい動きです。」

 「さあ、もっといきましょう!」





 この後私がへとへとになるまで続きました。なおエリューシャ様はけろりとしています。……さすがです。

 「いい汗かいたわ。」

 「湯浴みの準備はできております。」

 ダンスのお稽古の前に侍女仲間に伝えておいたのです。

 「そう?ではいきましょう。」


 王太子妃たるもの、湯浴みも侍女が行うのです。……ええ、侍女の仕事量は多いのです。

 しかもエリューシャ様は側仕えの侍女を私しか付けてないのです。私では手が回らない業務を行う侍女はいるのですけどね。エリューシャ様の前に出てくるのは基本私です。何故なのかはわかりませんが。実家からの侍女もいないとなると何か理由がありそうですね。まあいいですけど。





 エリューシャ様のドレスを脱がせ、浴室へ。

 「それじゃ、よろしく。」

 「かしこまりました。」

 やるからには磨きあげますとも。

 「では失礼します。」


 美しい黄金の髪は濡れてさらに輝き。浴室の熱で白い肌は赤みを帯びる。瑞々しい肌は水を弾き、美しさと共に妖艶さを醸し出す。すらりとした肢体、きゅっと締まった腰、溢れんばかりの胸。同時にマッサージを行い、外側だけでなく内側まで余すところなく私の手で磨きあげていく。ああ、ああ、今日も溜め息がこぼれるほど美しい。この美しさを保ち磨きあげる事、これこそ我が誉れ也。


 「……終わりました。」

 「ありがと。」

 柔らかいタオルで傷つけないよう慎重に拭き取り、香油を塗る。肌着を着せ、新しいドレスを着せれば国一美しい王太子妃の出来上がり。


 部屋に戻り、湯浴み後のお茶。

 「……ふぅ。さっぱりしたわ。」

 さて、次のお稽古といきましょうか。



※ガールズラブではありません。

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