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王太子妃付き侍女の憂鬱。  作者: なな風
とある一日。
4/17

騎士団内視察。


 アクロイ団長に案内されつつ、騎士団の施設内へ。


「ここはエントランス兼メインホール兼食堂です。城下の出の者が多いですから、探索者の仕事斡旋所と似た造りになっているわけです。」

「なるほどね。」


 ようするにギルド風、というやつですね。

「もっとも仕事は斡旋しておりませんが。」

 騎士ですからね。


「もちろん、貴族の出の者もおります。もっとも、ここは実力主義の場所ですのでおかしな者はおりません。」

 黒い笑みを浮かべております。過去にいたんでしょうね。


「この国自体実力主義な面もあるからねぇ、そこら辺は気にしないわ。」

「魔法オタク、脳筋、軍略馬鹿いらっしゃい、という政策で勝ち残った国ですからね。」

 もう少し言い方あると思うのです。


「話が逸れました、この食堂は大半の騎士が使用するため部隊の連絡、集会等にも使用されます。街に繰り出す者もおりますが、制服と剣を帯びていれば軽装であろうとそこは自由ですね。夜などは閑散としております。」

「なるほどねぇ。」

 治安維持のため、っていうのもありそうですね。

「さて次の所へ行きましょうか。」


 続いてはこちら、エントランスの階段を上がって二階へきました。


「ここは各隊の隊長、副隊長の執務室ですね。建物の正面、先程入ってきた入口の真上に第一、第二部隊の部屋が、左手に第三部隊、右手に第四部隊、そして奥に第五部隊の執務室となっております。」

 第一は近衛、第二は王都、第三は内地、第四は国境近辺、第五は遊撃、でしたかね。


「最近第五部隊は魔獣と戦う事が多いですね、前のように増える事はありませんが減る事もありませんので。」

「強い魔獣が出ると飛んでくのよね、民からは一番人気なのよねぇ。」

「ええ、華華しい活躍をするのは第五ですから。……他の部隊も魔獣とよく戦うのですがね。」

 いつだって護るより攻めるほうが人気なのです。けっ。


「貴族出の者達からは第一部隊が人気ですね。」

「近衛だからかしら。」

「近衛だからですね。」

 なるほど名誉か。

「さて、ここは見る物もないですし次です、次。」


 階段を降り、エントランスから奥に続く廊下を少し進むと、右手に演習場の入口が見える囲い外廊下、そして中庭になってました。中庭は十字に石畳が敷かれてますね。なかなか綺麗です。


「この中庭は騎士達憩いの場となっております。」

 今は誰もいないですね。……視察だからか。

「ここから演習場に直行することもできるのですよ。左手にあるのは騎士達の宿舎となっております。」

「宿舎から中庭を挟んで演習場が一直線で行けるようになってるのね。」

 なるほど便利。

「では次、奥の建物へいきましょう。」


 奥の建物へ入ると…ここは病院ですね。

「ここは第六部隊の詰所です。まあ見ての通り病院ですね。第六部隊は医療部隊ですから。」

 なるほどメディック。


「そしてここが一番王城の壁に……街に近い場所にあります。奥にも入口があるんですよね。」

「怪我人を運び入れやすくなってるのね。」

「そういうことです。」

「なおこの上は入院施設となっております。……今は誰もいないですが。」

「……移動させたの?」

「いえ、恐ろしいことに今日の入院患者はゼロです。」

 なんと恐ろし……珍しい、なにがあったのか。いや何も無いからか。

「……平和でよろしい。」

「平和が一番です。」





 中庭に戻ってきました。

「さて、案内は以上です。……面白いものはありませんでしたね。どこか御覧になりたい所はございますか?」

「あっちは?」

 宿舎ですか。

「……騎士達の名誉のためにも御容赦願いたいのですが。」

 どんな魔窟になってるんだろうか。

「……わかったわ。なら演習場の方にいきましょう?」

「……ありがとうございます。」


 魔窟に背を向け演習場へ。中庭から入ると演習場のグラウンドに着く。うわぁ騎士が沢山。

「私の事は気にせず続けて頂戴。」

 いや気にするとおもいますがね。


「そういえば殿下が気にしてらした者がおりましたね。呼びますか?」

「いや、それはアウルが後でふらっと来るだろうからいいわ。」

 フットワーク軽いな殿下。

「そうですか。……いつもの事ですな。」

 殿下なにしてるんですか……。

「……ねえ、あそこは何?」

 ……演習場の隅にある小屋、扉が半開きになって中の物があふれでてきてます。……剣?

「……御容赦を。」

「でもあれ、剣よね?あんな風にしてていいの?」

「……危険ですので近付かれないほうが。」

「……レーネ、見てきなさい。」

「……かしこまりました。」

 アクロイ団長、しまったと顔に出てますよ。命令ですのでしかと目に焼き付けてきます。


 近づいてみると。これは……。

「大量の折れた剣?とガラクタ?ですね。」

 そしてその横にあるのは……錬金術の教本?溢れすぎて小屋の中には進めないですね。

 戻ってエリューシャ様に見たものを伝える。

「なるほどね、錬金術の練習するための所なのね。」

「はい、そのとおりです。」

 ホッとした顔してる、奥になにかあるのか。いやあるんだろうな。これみよがしに教本があったし。


「……まあ、いいわ。奥になにがあるか知らないけど。」

「……ありがとうございます。」

「風紀は乱さないようにね。」

「心得ております。」

 なるほどそういう。……あれ、女性騎士もいた筈。

「ふふ。」

 ぐはっ、団長がウィンクしてきた。……イケメンだからダメージが。


「詮索は無しでお願いしますね。」

 耳元でささやくんじゃぁない!

「なにしてるの、戻るわよ。」

「わかりました。いきますよレーネ殿。」

 この野郎め……。




 最初にいた部屋に戻る途中、犬耳の騎士を見かけた。騎士にもいるんだ、獣人。

「2年ほど前から獣人も入ってくるようになりました。」

「アウルの政策、ね。」

「ええ。……魔族、と呼ばれる者達はまだですが。」


 獣人と魔族。アウル殿下が進めてるのが、彼等を国に取り入れる政策。人間とは寿命、姿形が違う彼等。大昔は共に生活していたらしいけど、今は別れてる。それを、また共に過ごそうと7年前から殿下は動いてるのです。……なにがあったんだろうか。


「この国の貴族の半分程……ファスティとかサーヴァントとかグノーメンとか他にも沢山、獣人だとか魔族の血が大昔に入ってるんだけどねぇ。だから入りやすいとはおもうんだけど……。」

「なかなか難しい所ですね。……ヴィリア様も向こうで色々呼びかけたりしてるようですね。」


 ファスティ家はエリューシャ様のご実家、サーヴァント家は優秀な侍女や天才肌の者を多数輩出する家、グノーメンは私の実家です。

 ……というか、ヴィリア様、とは。


「あの子も色々してるのね。……それと、あれ偽名らしいわよ。」

「そうなのですか。エリューシャ様は学友でしたよね。本名知ってますか?」

「知ってるけど本人から口止めされてるわ。」

「残念。」

 偽名?……誰なんだろう。

「秘密。」



 そうこうしてるうちに最初の部屋に到着。

「さて、では案内を終了します。」

「ありがとう。また来るわ。」

「ぜひとも。」

 さて、お部屋に戻りましょうか、エリューシャ様。






小屋の奥では美男美女を描いた絵が大量にあったりなかったり。

美人というものは鑑賞されそして影で金が動くものなのです。フフフ。(団長談)

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