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王太子妃付き侍女の憂鬱。  作者: なな風
とある一日。
1/17

最初。

 

 「ねえレーネ、アウルはどこ?」


 私はレーネ。レーネ・グノーメンという。この大陸でも有数の大国、センティリア王国の王城で王太子妃付きの侍女をしている女だ。侍女仲間からはクールだと言われている。


 「そうですね……。」

 「多分城にはいると思うんだけど。」


 この方は私の仕えるエリューシャ様。今日も美しい。流れるような金の髪に宝石のような蒼い瞳、すらりとし、出る所は出るメリハリのある身体。今日も美しい。若く、文武両道、頭も切れ、行動力もある。天に二物も三物も与えられた様な方。今日も美しい。そして王太子妃にあらせられる次代の国母でもある。……美しすぎて私としては目に毒でもある。


 「現在アウル殿下は騎士団の演習を視察されております。戻るのはまだ先かと。」


 アウル殿下はエリューシャ様と契りを交わした方である。要は次代国王となる方。この方も美しい。夫婦関係はかなり良好。エリューシャ様と並ぶと絵面が凄まじい事になる。


 「騎士団のところね、そう……。レーネ、この後の予定は?」

 「……そうですね、ダンスのお稽古がございますが。」

 「それよりも騎士団の演習に興味があるわ。」

 「畏まりました、では予定の変更を。」


 そう言い、先触れを出すため退出しようとする。

 「ええ。……時間が勿体ないからさっさといきましょうか。」

 そう言って彼女はおもむろに立ち上がるとニヤリと笑い――

 「ちょっと」

 「それじゃ先に行くわねー!」

 ――風を纏い窓から飛び降りた。


 「バッ……待っ!これで何度目ですか!せめて扉から!」

 ちなみにここ、地上五階。

 「早くしないと置いてくわよレーネ!」

 「ああもうほんと勘弁して……」

 それとこの世界、魔術が便利。

 「だってこっちのほうが楽だもの、だから早くー!」

 そしてこのお嬢、自由人である。

 「窓は出入口じゃないんだけど……はぁ。」


 結局私も窓から行かなければならなく。城の壁に簡易的に作った足場を伝い降りる。ようやく着いた地上では……

 「遅いわレーネ!アウルが待ってるのよ!」

 すでに先に進むエリューシャ様。そして殿下は待ってません。お仕事中です。多分驚かれます。


 「早くしないと逃げるじゃない!」

 「演習は逃げません……。」

 「時間は限りあるの!さっさといくわよ!」

 この王太子妃、じゃじゃ馬です。





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