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「お迎えに上がりました。」
人は死を迎える時、どうして怖いと思うんだろう。
死は本当に微笑むんだ。生きた人に優しく暖かく。
生きなかった人には、きっと酷く冷たく微笑むんだろうけど。
僕はまた闇を駆けて、羽を広げる。
「お迎えに上がりました。」
死神が羽を広げると、その魂は眠りにつくと誰かが言った。
そう、私は死神。人の魂を狩る者。
「綺麗な羽ね」
ただ魂を狩りに行って、何事もなく仕事を終わらせるためだけに働く。
それが神への償いだと思っていた。
それが神に許され、愛される事のできる唯一の方法だと本気で思っていた。
そんな私に彼女が言った。
あの言葉から私の世界は変わっていったんだ。
神の愛を求め続ける死神は、いつか気づくんだ。
神が全ての者を愛している事に――――――――――――。