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転生なう ~守護霊なう in ボーナスステージ~  作者: 宇龍地
第一章 宗教と神様は別
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その名はターマ

入学式とか描写してません

 奴隷の子に名前を付けた

 「ターマ」

 日本か!!と言う突っ込みもあるかもしれないが、実はこっちでも割とポピュラーな名前だったりするのだ


 何でも、こちらの神話にちょくちょく出てくる猫の神獣の名前、それが「ターマ」だったのだ

 何でも、この「ターマ」さん、ちょくちょく下界に降りては獣に取り付いて散々とっちらかして帰って行くというはた迷惑な神様なのだが

 大体そう言うときには圧政が敷かれていたところに権力者の屋敷を破壊してしまうとか

 近くで悪の秘密結社が壊滅していたりとか

 そう言う「本人が意図しない善行」が数知れないと言うほど神話として残っているのだ

 その為、どこの家でも猫の名前付けで悩むと大体「ターマ」とつけるのだった


 うちの場合は母さんが一も二も無く一瞬で名付けたんだけど

 何でも、昔飼っていた猫と毛色がそっくりだったらしい


 余りにもターマの器量が良いので「愛玩用みたいだけど高くなかった?」と聞いてきたので「呪い憑きだって言うからその所為じゃない?」と言ったら納得された

 そう言えば獣化の発動条件がわからないんだよなぁ


 ターマ本人は大変良い子で聞き分けもよく理解も早かった、雑用奴隷として使う分には十分だろう

 何、家の中に入ってしまえばターマだけに仕事をさせる必要は無いのだ


 明日は父さんの仕事が休みのため、引越しは明日早速と言うことになった

 そう言えば呪い憑きの事は水神教の彼に話しておかないと


 そう思って、俺は一人乗合馬車を使って水神教の教会に行くことにした

 この街では、教会行きの無料乗合馬車が大通りに定期的に走らされている

 宿も大通りから10分も離れない場所に必ずある為、教会に行く分には割りと安く移動できるのだ

 ただし、帰りの便はうまい事話をつけないと乗せてもらえないので徒歩か、別の有料の馬車を利用する場合が多くなる


 水神教の教会に行くと、程なくして彼が現れた

 特に誰を呼んでくれといった覚えは無かったのだが、どうやら彼が俺の担当になったらしい

 まあ、何かしらで関係を持ち以後その関係で付き合いが出来る人間が担当になった方が都合が良いのは確かか


 事情を説明すると、問題無いと言う事になった

 ただ、余りにも暴れて壊す場合にはまた新しい所を紹介することになるかもしれないと・・・修繕費の問題だろうね、うん


 実はあの後王都三大宗教とされる火神教・水神教・天神教の3つの教会の代表が会議をして、王都での便宜を払う見返りとして神官への魔術教官と言う仕事を引き受けて貰うのはどうかという提案があったらしい

 天神教だけ今の所何もしていない為、何か金のかかることが起きた時には便宜を図ってくれるよう決めたとか何とか


 それも全て仕事を引き受けたらと言う話だ・・・とりあえず引き受けることにした


 さて、明日は引越し・・・ベッドの手配はしてくれるらしいので、後は着の身着のままだ

















 入学式になった

 この世界では魔法は秘匿技術の為、学校で何を習うかと言えば読み書き算術に歴史と言うことになる

 ・・・ある程度の暗算と筆算をして見せると、算術の授業を免除してもらえることになった

 面積計算とか無しなのかよ


 後から母さんから聞いた話では、そう言う専門的な計算は士官学校のような専門的な学校で習うのだそうな

 日本の義務教育恐るべし

 算術だけなら小学生でもこの国の文官レベルの知識は身につけてそうだ


 そんな訳で、算術の授業の時間には俺は図書室で自習が許されることになった

 この世界の知識を仕入れるためにはやはり本を読むに限る

 専門書とかの読んでて頭が痛くなるものはともかく、わかりやすい歴史書と過去の世界における自然科学の理解度などは知っておくに限る


 俺の自習の成果を司書がたまに確認に来るのだが、その度に舌を巻いて帰っていく・・・後日、俺の読み書きの授業が免除になっていた

 どうやら読み書きの教師だったらしい


 そんな俺でもどうしても苦手な分野がある、そう歴史だ

 元々予備知識が無いわけで、こちらに来てから吸収し始めた分野の為どうしても苦手になる・・・とは言っても同期の学生の中ではトップなんだが

 貴族や商家の子供たちは家庭教師に何を習っていたんだろうか?

 うん、そうだね、計算とかその辺も一緒に習ってたらそこまでいけないか

 俺は三歳から意識的に知識を吸収してきたが、他の連中はその時期いやいや勉強してたから吸収も遅くなるしな


 入学して1ヶ月・・・もう教えることは無いと前払い分の授業料を日割り計算で返還されて卒業扱いになった

 友達作る暇すらなかったな


 校長の薦めもあり、士官学校に途中編入することになった

 まさかそこも1ヶ月で卒業させられるとは校長も夢にも思わなかったろう、俺も思わなかった


 仕方ないので三大宗教の魔術教官を始めることにしたが、その話をエドガーさんに言ったら「もうちょっとかかると思ってました」と未だに道場の用地確保も出来て無いと言われてしまった

 そりゃ2ヶ月で士官学校まで卒業するなんて誰も思わんよな~


 仕方ないのでターマと三大宗教の神官見習いを連れて近隣で冒険者の真似事をすることにした

 と言っても、こっちの世界に冒険者ギルドなんて物は無い、何しろ魔法が珍しい世界なんだから

 近くの生態調査と言う名の散策なんだが、ある程度の魔物も居るので護衛として神官見習いが付くと言うことなのだ


 当然この神官見習い達にもメリットはある

 まず、道場が出来る前に俺から魔術教育を受けることが出来る

 次に、教会幹部からの覚えが良くなることで、何かと出世に便宜が払われるらしい

 まあ、魔法が使えるようになればそれだけでも十分神官として高い地位を得られるしな


 生態調査三日目

 毎日家に帰って毎朝教会前から馬車に乗って前回と違う場所に行っている

 今回は北門から出てすぐの所にある森だ


 森に入ると狼さんが出迎えてくれた

 おかしいな?この人数ならもうちょっと警戒してもよさそうな物だが・・・

 とりあえず抵抗できない程度に痛めつけて貰って奥を確認することにした


 やっぱり子供か


 さっき痛めつけた狼さんを手当てしてついでに【回復術】をかけてやると、見習いたちが【回復術】に驚いていた

 どうも教会では【回復術】の概念が無いようなのでこれも教えてやら無いとダメだな


 って言うか口々にやっぱり神の使いだとか言わないでくれるか?


 今日も一通り見たが、最初の狼さん親子以外大した収穫は無かった

 だが繁殖期にこういった所に近づくと危険なので、どの辺に気が立った野生動物が居るなどと言う情報は共有した方が良いだろうと帰って進言してみた

 その結果、教会が窓口となってそういった依頼を処理する「ギルド」が作られることになった

 まさか「ギルド」の創始者になるとは思いもしなかった


 生態調査五日目

 今日は東門から出た

 ずっと向こうに見える稜線の麓に俺の生まれた村がある・・・なんとも感慨深い物だ


 そうやって未練がましく東の山の方を見ていると、なにやらこちらに向かって走ってくる・・・

 あれって・・・岩喰い竜!?


 確かにあれは岩喰い竜だ・・・大きさは・・・恐らく馬と同じくらいなので生後間もないくらいか

 だがどういう訳だ?

 父さんの元仕事場から来たというわけでも無いだろう・・・遠すぎる

 なら一体どこから・・・


 俺は光の屈折率をコントロールするイメージで【遠見】の魔法を自作した

 !!

 はじめに岩喰い竜の動きを認識した所より更に奥・・・恐らくあそこは街道だろう

 街道で横たわっている荷馬車と混乱している御者らしき物が見える

 あそこまで直線で行っても馬車で二時間、裸馬でも一時間かかるだろう

 とりあえず馬車から馬を外し、見習い一人に街へ応援要請に行って貰う事にした


 次はあの岩喰い竜の足止めだ


 まず進路上に大穴を空けるイメージと、その穴を開ける際に出た土で壁を作るイメージを同時に行う

 発動と同時に土が舞い上がり大穴が開くと、岩喰い竜がたまらず落ちる

 舞い上がった土は着地と同時に壁を構築し、瞬時に固まる


 岩喰い竜相手では食われてしまうかもしれないが、とりあえず即興のバリケード付き落とし穴だ


 続いてダメージを与える魔法の構築をする・・・術は既に開発済みだ


 「【灼熱針】!!」


 炎と土の共演により、高熱を帯びた凶悪な針が岩喰い竜に襲い掛かった


 「キュオォォーーーーン!!」


 やはり生まれたばかりなのだろう、悲鳴も甲高い

 魔術で鏡をイメージして光を屈折させて穴の中を見ると、中では四肢に火傷を負った岩喰い竜が・・

 案の定身体の上側には焼け焦げた跡はあっても傷は見えない


 岩喰い竜・・・その姿は前世で言えばワニに酷似している

 違いと言えば、その四肢・・・大きく外側に開いた蟹股は同じだが、その長さは実際に見ると気持ちが悪い

 想像して欲しい・・・蟹股の馬を

 あんな感じの長い足がワニの身体に付き、ワニと同じ動きでさっさか動くのだ

 速度はと言えば、子供ですら直線移動なら馬並である


 はっきり言って気持ち悪いとしか形容のしようが無い


 そして、更に特徴的なのが、その背中の皮だ

 岩喰い竜の背中の皮は、落石から身を守る為に非常に硬く、成体になると最早人間の技術では加工すら適わないほどだ

 生後1ヶ月未満の子供の皮は、加工をすることに因って上質な鎧の素材となる為、人間の中には巣から卵を奪い孵化させてから皮を剥ぎ取る者も居ると聞く


 恐らくあの荷馬車はそう言う類の人間の物だったのだろう

 うっかり孵化間近の卵を盗んでしまい、搬送中に孵化されてしまったのだろう

 だが、不測の事態も考えず搬送するような愚か者には同情は出来ない


 俺の居た村に来た岩喰い竜も、こんな感じで逃げ出した物だったのだろうか?


 「キュオォォーーーーン!!」


 どんなに叫んでも親は来ない

 それほど遠くまで連れて来られてしまったんだろう


 暫くすると、城下街から大勢やってきた

 恐らくは皮が大きくなるまで育てる為に生け捕りにするつもりなのだろう・・・大きな檻まで持ってきている


 彼らの要請に応じ、壁を一部崩しつつ、穴から出るための傾斜を作る・・・

 随分とまた落とした壁を美味そうに食べてるな、おい


 傾斜が出来上がった頃には、既に眠そうにしていた

 お腹いっぱいになったんか


 大人しくなった岩喰い竜の子供を宥めながら動くように促し、檻の中に誘導していく

 そうこうしていると、漸く動けるようになったのか向こうからこの岩喰い竜の子供を連れてきた愚か者達がこちらに近づいてきた


 「おいっ!!その岩喰い竜は俺達が運んでいた物だ、返してくれないか!?」


 無茶なことを

 逃がしてしまい、自力で回収できなかった時点でこれは回収した方の物だ

 法律でもそうなっている


 その事については、何か言われたらこう言ってくれと見習いたちに伝えてある

 また、街の衛兵も居たので証人になってもらった


 「ふざけるな!!俺達がそいつが孵化する前の卵をどんな思いで盗み出したと思っているんだ!!」

 「それはこちらの知ったことではない。むしろこちらは外壁を食われるかもしれなかった所だったのだぞ!?」


 衛兵の言い分は正論だった

 それでも相手はまだ食い下がってくる


 「きゃあっ!!」


 振り向くとターマが奴らの仲間らしき男に取り押さえられていた


 「お前らが返さないというならこいつを貰っていくぞ!!」

 「へっへっへ、この位の器量善しなら銀貨が出るかも知れねぇぜ、兄貴」


 ふざけるな!!

 この人数を相手に登録済みの奴隷を奪い取るなんて出来ると思ってるのか?

 ましてや王国の方では逃げられた獲物の所有権を主張するのも登録奴隷を拉致するのもどちらも違法・・・一体何を考えているんだ?


 「へっ!帝国じゃ食い扶持にも困るから出稼ぎに来たが、王国は裕福な反面何でもかんでも俺達に都合が悪いようだな」


 違法だと言うことを伝えたらこんなことを・・・帝国・・だと?

 帝国って言ったら確か、村の山を越えたところにある東の大国の事か?

 って事は、まさかこの岩喰い竜はあの村で生まれた卵って事なのか?


 まさかあの竜が番になっていたとは・・・いや、もしかすると身篭ってから移ってきた母竜だったのか?

 いや、そんなことはどうでも良い


 とりあえず電気ショックをイメージして、ターマを捉えている奴を怯ませる


 バチィッ!!

 「いてぇっ!」


 ちっ、麻痺までは行かなかったか


 「この猫やろうがぁっ!!」


 まずいっ!逆ギレしてターマに斬りかかって来た、間に合うか!?


 その時、ターマの姿が変わった

 一瞬にして毛深くなり、手足は猫科の猛獣の足そのものに見える・・・これは!?


 「わたしに危害を加えようとは良い度胸だ!」


 ・・・獣化ってこんなんだったの?

 

学園編に入ると思った?

残念ながらそんな引き出しは無いので、サクっと終わらせました

この世界の学習レベルの低さが伺えますね


って言うか、ターマさんの変身の為だけに岩喰い竜出したのにどういう訳か人間相手に変身する羽目に・・・どうしてこうなった?

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