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転生なう ~守護霊なう in ボーナスステージ~  作者: 宇龍地
第一章 宗教と神様は別
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奴隷登録はお早めに

奴隷契約は済ませてありますが、あくまで書類上です

拘束力を持たせる為には役所へ行かなくてはいけません

 奴隷はただ買えば良いというわけではない

 そのままでは仮に盗難にあったり逃げ出されても自分の所有物として主張をする事が出来ない

 その為役所に登録をして、登録鑑札に所有権を刻む必要があるのだ


 ちなみにコレも秘匿技術の為、一度この職業に就くと辞める際に二度とマナを変換できないように細工をされてしまう

 怖い世の中だが、要らぬ混乱を防ぐ為には仕方の無いことだ

 まあ、特に逆らうつもりさえなければ生涯食いっぱぐれが無い仕事とも言える


 と、言うわけで役所に向かっているわけだが・・・


 「何で奴隷市場に一番近い役所が奴隷登録やってくれないんだよ・・・」


 奴隷登録の受付をしているのは王城の近くの役所だった

 ちなみに、奴隷市場が開かれるのは城下町の外壁近くである

 でもって王城は中心、外壁の直径は20kmほどあるわけで・・・王城の直径が堀を含めて2kmくらいあるから約9キロ歩く事になる


 歩きじゃ2時間以上かかるが登録前の奴隷を乗せてくれる乗合馬車は無い・・・理由は臭いから


 じゃあ他の客はどうするかと言うと、知人から荷馬車を借りたりしている

 でも馬車持ちの知人もおらずレンタル荷馬車は大銅貨10枚もかかるので泣く泣く歩くしかないのだ


 「あら、アウル様じゃありませんか?」


 振り返ると豪華な馬車から見知った顔が見えた

 以前俺の生まれ故郷に言いがかりを付けに乗り込んできた火神教の幹部のお嬢様・・・クインだった


 「こちらにはどういったご用件で?」


 多少の事情は知っているかもしれないが、父さんが仕事を求めて王都に移住してきたなどと言う事は知らないんだろう

 若干皮肉に思えるがそれは穿ちすぎという物だろう

 クインお嬢様は頭は良いが箱入りなのでそこまで意地は悪く無い・・・良い意味で世間の荒波に擦れて居ないのだ


 「岩喰い竜の事は聞いてませんか?あれで村を追われたんですが、父さんの仕事は石切り場以外だと都会しか無いのでね。流れた結果こちらに厄介になることになったんですよ」


 折りしも王都は増改築ブームで石工の手が足りていない状況だ

 少なくとも在学中くらいは王都に居られるだろう


 「それならうちの教会に来られませんか?うちなら学校からも近いですし」


 ・・・他意はないんだろうな


 「俺はどこの宗教の厄介にもならないって3年前に言いませんでしたか?」


 そう言われてクインお嬢様はすっかり落ち込んでしまった

 俺より2歳くらい上じゃなかったっけ?まるでまだ一桁の幼女の様に純粋すぎるお嬢様だ

 でもシルエットはすっかり大人の女性だな・・・詰め物してなければだが


 「ああ、それなら・・・」


 馬車の向こう側から聞き覚えのある声が聞こえた

 エドガーさんもどうやら護衛として併走していたようだ


 「いくつかの大きな宗教で会議した結果、不可侵条約が締結されました。接待は過剰でなければよし、勧誘はしないということで、私達がそれぞれに手助けする分には宗教間の諍いも起きないと思われます」


 いつの間にそんなことに


 「見た所奴隷の登録に行かれるようですね、お送りしますので奴隷の方は私の馬に乗せてアウル様はお嬢様と馬車にお乗りください」


 まあ、宗教間紛争が起きないと言うのであれば好意は受けるべきだろう


 「ありがとうございます、ではご好意に甘えて」


 俺達はクインお嬢様達に送ってもらうことにした











 「そう言えば、お住まいはもうお決めに?」


 間を持たせる為にかお嬢様がこれからの事を聞いてきた

 馬車の速度は街中と言う事もあって時速6・7km、後一時間以上あるので沈黙と言うわけには行かないのだ


 「いえ、まだこれから・・・相場で1ヶ月大銅貨15枚程度を考えてはいますが」


 相場で15枚と言えばキッチントイレ付だ

 流石にトイレを共有する気にはなれない・・・タイミングがかち合ったら最悪だし

 風呂に関しては公衆浴場もあるし、身体を洗ったり洗濯をするスペースはあるので(と言ってもキッチンなのだが)(タライ)さえ用意できれば問題ない

 ちなみに、キッチン以外のスペースは大体6~8畳位あるのが普通なので、家具さえ大き過ぎなければ奴隷のベッドを用意するくらいは出来る


 「エドガー、大銅貨15枚と言うとどのくらいの広さなのでしょうか?」


 ちょっと離れているエドガーさんに普通のトーンで話しかける・・・雑踏や馬の足音で届いたかどうかも怪しいぞ

 あ、うちの猫が話しかけられたのを伝えたようだ


 「申し訳ございません、聞き取れませんでした」


 改めて耳を寄せて話を聞くエドガーさん

 さすが神官騎士、忍耐強い


 「なるほど、それですと大体奉仕者の寝所と同じくらいですね」


 奉仕者と言うのは教会に泊めて貰う代わりに教会の掃除や炊事の手伝いをする人達だ

 主に旅人の一夜の宿借りだが、宿無しの人が堪りかねて屋根のある寝床を求めてくる場合もある

 大体9人くらいが3段ベッドで一部屋に押し込められるまあ、8畳あれば雑魚寝でも9人くらいは寝られるしそんな所か


 「そんなに狭いのですか!?」


 いや、狭く無いから

 ベッドどかせば結構広いから


 それから役所に着くまで、お嬢様は一人ブツブツと思案していたようだ

 会話しなくて済んでちょっとホッとしている




















 無事奴隷登録を済ませて、とりあえず役所で風呂を借りた上で着替えを買って着せる

 登録を終えると、奴隷を綺麗にして帰るのが通例になっているらしい

 風呂には風呂奴隷が居り、身体を洗ってくれるらしい

 出て来た時にはすっかりこざっぱりとして見違えるように可愛くなっていた

 風呂から出るまで気付かなかったが、女の子だったらしい


 役所を出てくると、まだクインお嬢様達が待っていてくれた


 「帰りは乗合馬車にも乗れたので別に帰ってくれても良かったんですが」

 「そんな!!せっかくの機会ですのにそのような事出来ませんわ!」


 何が「そのような事」なのかさっぱりだが、好意は受けよう・・・贔屓しなければ紛争まで行かないだろう・・・し?


 親と泊まっている宿を伝えると、馬車が走り出してからクインお嬢様が話しかけてきた


 「お部屋の事なんですが、近くにある水神教の方に相談しました所大変条件の良いお部屋がありましたのでご案内したいのですが」


 なるほど、自分達が世話をしたら世話のしすぎだからということで他の宗教に恩を売る機会を譲ったか

 今回の事も併せれば仲介するだけでも十分恩を売ったことになるしな


 少し行くと、馬に乗った青いローブの男が合流してきた

 恐らくは彼が水神教の人間なんだろう


 やがて学校が見える場所に来ると、「こちらです」と青いローブの男が案内をしてきた

 そこは学校まで徒歩で10分くらいの好立地で、今のシーズンなら契約金だけで銀貨が取られるくらいの場所だった

 下調べは十分だからな?ここだけが格安とかそんな訳無いの知ってるからな?


 何も知らない振りをして案内を受ける

 仮に契約しても知らない事なら恩に感じる必要も無い


 案の定契約金で銀貨三枚必要なはずの部屋を案内された

 案内をした管理人が苦笑いをしている・・・そりゃそうだ、俺一度会ってるし


 元々は家族で住む場所として案内してもらったんだが、1ヶ月小銀貨一枚はともかく契約金が払えないと言う事で断念したのだ

 広さは確かに十分だ、風呂付の一人暮らしの部屋の四倍もするわけだし当然だろう

 しかし銀貨は大銅貨の1000倍だ・・・3000円の1000倍、すなわち300万円それが3枚必要なのだから契約金だけで900万円・・・無理に決まってるだろ


 ちなみに、契約金は保証金を含むため高額なだけで、実際には出て行ったときの部屋の修繕費を引いて返還される・・・が、一時金としてそれだけ用意できなければ結局無理なのだ

 何故この部屋がここまで高いかと言えば、要所に近い為下手な人を住まわせられないのだ

 一時金にしろこれだけの大金を用意できるのであれば、おかしな事もしないだろうという考えからの事である


 「大変助かるのですが・・・そもそも契約金が払えませんよ」

 「ああ、その事ならばご安心を」


 ん?ここは自分たちが払うとかそう言うこと?

 そう言う貸し借りは良くないな~とか思ってみる


 「こちらの物件は水神教の不動産管理部門の持ち物でして。契約金とはそもそも信用を金と言う形で受け取るわけですから、我らが神の使いと信じるアウル様に信用がない等と言えるわけもありません」


 なるほどそう来たか


 「しかし家賃もそれなりにしたはずですよ?家族で厄介になる前提でも小銀貨一枚は結構な出費だったので親元から離れる予定だったのですが」

 「それもご安心を。流石に銅板貨五枚と言うわけには行きませんが・・・10枚までは値引きいたしましょう」


 当初の半額だ


 「随分と引きましたね・・・以前見に来た時は小銀貨1枚だったと思いましたが」

 「実を言うとですね、こちら訳あり物件なのですよ」


 はい?


 「いや、そんな物件を神の使いと思ってると言った相手に渡すとか何考えてますか」

 「訳ありと言っても不吉な事があるわけではありません。ただ、ここの所有者が長期出張のような形の為、その間の又貸しのような形になるんです」


 なるほど、そう言う


 「でもその所有者に断りとかそう言うのは?」

 「その辺りも問題ありません。教会関係者か教会の客人ならば責任を教会が持つと言う条件付で使うことを許可されています」


 つまり教会側からは水神教の客人とみなされるわけか


 「流石に銅板貨10枚となると家族と相談しなくていけませんので、一度持ち帰らせていただいてもよろしいでしょうか?」


 いくらなんでも一家全員で移住する必要あるよな、この額この広さだと


 「何でしたらお父様をお呼びしましょうか?確か今日は近くの水神教関連施設の改築現場で仕事をしているはずです」


 把握されてた


 程なくして父さんも来て、当初の半額の上に契約金も要らないと言う事で、二つ返事で了承していった

 まあ、風呂なし宿3人分で1ヶ月大銅貨90枚だ・・・現時点の半額で今より快適になるのだから当たり前か


 奴隷も全員で住めば一人で十分・・・良いこと尽くめだ


 しかし、これで王都に来てから火神教と水神教に恩を売られてしまった・・・問題が無ければ良いのだが

住居も決まって次回は学園編・・・ではありません

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