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転生なう ~守護霊なう in ボーナスステージ~  作者: 宇龍地
第一章 宗教と神様は別
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魚心あれば水心

最初はサブタイ通りの内容にするつもりだったのに・・・どうしてこうなった

 ローブを羽織っていても解る重装備の騎士を連れ立って歩く俺の姿はどれだけ奇妙だったろう?

 何しろ村の半数は農民、半数は狩人というこの村では余りにも異質なのだ

 そして俺の家は村の入り口から反対側、山の入り口にある為図らずも村を横断する事になった


 家に着く頃には、既に目撃者から連絡が行っており、両親とも家の門まで来ていた

 さて、どう説明した物か


 「少年のご両親とお見受けします」

 「その通りですが・・・一体何の御用でしょうか?」

 「ご子息についてなのですが・・・そう言えばお名前を聞いていませんでした」


 今更な事に気付いて俺を見るリーダー

 俺もあんたの名前知らないんだけど?


 「名前を尋ねるときは自分からだと思うんだけどな・・・俺はアウル・ロックマン、父はハウル・ロックマンで母はナンシー・ロックマンだ」

 「おっとすまなかった、私の名はエドガー・エドワルド、こちらのお嬢様はクイン・フレイム様と言う」

 「こ・・これはご丁寧に」


 謙るなよ、父さんは小市民だな

 っと、思ったら後ろに大軍団がそのまま来てた

 威圧してんじゃねぇよ


 「フレイム様・・・と言うと火神教の教主の?」

 「その通りですが、こちらには火神教徒は居ないはずなのに良くご存知で」


 さすが母さんは学がある

 確か父さんと会う前は王都に居たらしいからその関係で知ってたんだろうか?


 「それはそうとハウル殿、ナンシー殿、ご子息の事なのですが」

 「う・・うちの息子が何かしたんでしょうか?」

 「あなた、多分あの子の魔法の事ですよ」


 母さんは本当に察しが良いな

 と言うか、火神教がそれだけ炎の術に過敏に反応すると知っているんだろうな


 「ああ、あれの事かそれがどうかしたんですか?」


 父さんは相変わらず察しが悪い、何故この二人が出合って結婚するまでになったのか不思議でならないが、聞く所によると村の近くで盗賊に襲われた所を父さんが助けたのがきっかけだと言う話だが


 「ご子息はもしかすると火神の使いかもしれません、是非とも神殿までお連れして神託が受けられないかの確認を・・・」

 「だからそんなのじゃないって」


 道中何度も否定しているのにこの調子だ

 しかし、俺が転生者だ等と言ったら尚更面倒になるに決まっている、どうした物か・・・


 「そもそもこのような術を誰にも教わらず身につけるなど神託があったとしか!!」


 その手があったか!!


 「誰にも教わらなかったなんて誰が言った?」

 「は?」


 呆気に取られるエドガー

 まあ、勝手に思い込んだのはお前だしな


 「俺は3年位前に旅人に教わったんだよ、コレが出来たら良いものやるって」

 「な・・何者ですかそいつは!?」

 「知るかよ、いざ出来たら『良いものってのはその技術だ』とか言って走って逃げやがったし」


 適当な師匠像をでっち上げる


 「恐らく火神教の元関係者か何かなんじゃないか?多分子供に概念を教えればあっさり成功するかもみたいな仮説の実証につき合わされたんだろ」

 「そ・・そんな者居るはずが」


 エドガーは辛うじて否定するが、後ろの連中は口々に「あいつじゃないか?」と心当たりのある人間を浮かべているようだった


 「まあ、もし俺が火神の使いとやらならこんな事は出来ないだろ」


 そう言うと、俺は【水生成(アクアクリエイト)】を唱えた

 指先から生まれる水を見て尚更驚くエドガー達


 「コレは『魔法』と言う物で、素質があって概念さえ理解できれば誰でも再現できるし、概念をきちんと理解できていればいくらでも応用が利くから、この様に炎と逆の属性でも操る事が出来るんだ」

 「つまり・・神の奇跡などでは無いと?」

 「少なくとも俺と同じ概念で発現する限りにおいては違うな。使える様になった者が自分は神の使いだと思い込んで広めた可能性はなくも無いが」


 そう言われて落ち込む神官一同・・・世界が違えば悪魔の使いと言われるような能力だし、ここは待遇が良い方だと思うぞ?


 「まあ、仮に神の御力(みちから)と言うのであれば『精霊魔法』の方が近いかな?自然の力を借りるのだし」


 俺の一言にエドガーが反応を示す


 「と言うと、我らの造る炎は自然の力では無いと?」


 ああ、そこからか


 「魔法とは『マナの力を変換する理』だ、『精霊魔法』は便宜上魔法とされるが精霊にマナを捧げて力を借りるので理が異なるんだ」

 「なるほど、自然が行っていることを無理やり再現する事が魔法なのですか」

 「そうなる、『精霊魔法』がその属性の精霊が居る、例えば火の魔法なら炎のある場所で無いと使えないのは、理そのものが違うからだ」


 なるほどとうなづく神官達

 父さんは理解できずにきょとんとしている


 「火神教にしても水神教にしても術で作り出した炎や水に精霊は宿っていない、だからそれを使って『精霊魔法』を使うことは出来ない」

 「ならば我らはこれから何を信じて教えを広めれば良いのですか?神は居ないとでも言うのですか?」


 教義を信じる事が出来なくなってきたのか


 「何も神が居ないわけじゃない。自分達が把握できる存在だと思うことが間違いなだけさ」

 「なんと!?」

 「神と言うのはこの世界を管理する存在だと考えれば、自分達が把握できるはずが無いだろう?それを見える物に投影して信仰をするのが所謂宗教なのさ。つまり、信仰そのものには貴賎は無い、争う事自体が不毛なんだ」

 「おお・・なんと言う深いお言葉」


 深いどころか浅すぎるんだが


 「つまり、蟻が私達を生き物と捉えることが出来ないだろうというのと同じ事ですか?」


 クインお嬢様は俺が言った事を解りやすく言ってしまった

 解りやすい事を解りにくく言って煙に巻くのが政治家や宗教家なのに、それを噛み砕かれてしまうとは・・・俺もまだまだだな(何が?)


 「非常に単純に言うとそうなるね」


 さすがお嬢様とエドガーが感心している

 お前らも宗教関係者の端くれならコレくらい看破して見せろよ


 「とりあえずさっさと帰ってくれ、俺はこの村から出る気なんか無いんだ」


 拒否の意思を再度強い言葉で叩き付けた



















 この時はまだあんな事になるなんて思いもしなかった

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