敢えて不完全な
「真実の瞳」の複製品「真実の双眼鏡」は余りにも危険なので封印する事になった
あれが回収と言う名の没収をされた理由がなんとなくわかる・・・あれがあっては生き神など何の発言力も無くなる
何しろ「管理者」がこの世界の神と呼ぶべき存在だと知っている者など一握りに過ぎないのだ・・・何者かよくわからない者の僕が何を言った所でそれは「変なことを口走る妙な力が使える何か」でしかない
人は明らかな力を見せ付けた正体のわからない何かだからこそ神と崇めるのであって、中間管理職には意外と強気で接してくる物だ
どんなに力を示した所で本人が言わない限りそれが真実の言葉とは信じきれないのだ
だからこそ、没収されたのだろう・・・って言うかこれで俺を覗かれたらヤバ過ぎるわ
「よし、完成」
マーの求めていた性能とちょっと違ったので修正することになった
あいつが求めていたのは敵対意識があるかどうかと言うことだったので、それが解る様にしてみた訳だが
「これは凄いですね」
出来上がった物はニ本一組のリング
これを通して覗き込むと、特定種族へ害意を持っているとその姿が赤く浮かび上がるようになっている
リングをずらすことでどの種族へ害意があるかわかる様になっている
この「害意」と言うのは嗜虐心や嫌悪感も含むのだが、危険な物ほどより赤く大きく映るようになっている
見る側はこの赤さ、大きさで判断するしかない
これに更に三本目のリングを追加することで陣営を指定することが出来、このリングを望遠鏡に通すことで遠くのものも判断することが出来る
ただし完全ではない
望遠鏡を通してみる場合、余りに強い害意を放つ物が途中にあると、その影響を受けてしまう
まあ、その場合は倍率を弄って途中に何か無いか確認すれば良いだけだが
実を言うとこうしたのには理由がある
余りに完璧な物を作ると人はそれに依存してしまう傾向がある・・だからこそある程度思考の余地を残すべきなのだ
これを言ったのは一体誰だったのだろう・・・俺の前世の誰かの言葉だった気がする
まあ、生前でさえ覚えてなかったであろう物を今覚えている訳も無い
ただでさえ変な物以外に記憶力発揮されなかったし
「気をつけて使えよ?陣営や種族を間違えたら全く意味を成さないからな?」
何故こんな物が必要かというと、南の魔族(太古の魔族とかいちいち面倒なので、以後魔族でくくる)と交流を図ると言うことで、互いが使節団を組み、中間点である山脈の入り口で会談を行うことになった為だ
元々「真実の瞳」には悪意なども感知する能力があったらしく、そう言った物を調べられる物を作って欲しいという依頼だった
しかし「悪意」と言うのはまた扱いの面倒な物で、必ずしも悪意を持って行ったことばかりが自分に害をなすというわけでもない
ましてや、陣営をはっきりさせなければ何が害に当たるか等もわからない
そこで、敢えてああいう仕様にしたわけだ
あれならうまく使えば戦争を回避する手段にも使える
自陣営への大きな害意を持った集団が移動すればおのずとわかるようにもなっている
「わかってます、しかし組み合わせ次第で如何様にも機能を変えられるとは・・・」
「意図した機能を付加しようとすればそれに近い能力を与えられる・・・お手本があればこそとは言えびっくりする能力だな」
自分の能力とは言え驚くばかりだ
この「不完全な模倣」と言う能力は、完全に同じ物を作ろうと言う気さえ起こさなければいくらでも任意で能力を再現できる
しかし再現度合いと言う物にも制限があるらしく、大体8割超えると可笑しなものが出来上がるようだ
逆に言えば、敢えて不完全な物を作ろうとすれば失敗は無い・・・なんとも便利な物である
会談も無事終わりを告げ、南の魔族と王国は不可侵条約と、文化交流、調査の約束を取り付けることになった
こちらは調査を協力してもらう見返りに、北の魔族の封印強化を手伝う事になった
魔族だけの封印ではイグルの様にいきなり来た第三者に開放されてしまうかもしれないからと言う事なので、とりあえず協力することになった
多分この封印は俺かマーがやることになるんだろうなぁ・・・
これに関しての帝国の動きは今のところ無いようだ
これで暫くは枕を高くして寝られると言う物だろう・・・まぁ、そんな高い枕無いけどね
これで一応第二章を〆ようかと・・・
すいません、ネタ切れました!!(待て
具体的にはネタが切れたと言うか纏まって無いので一度プロット書き出して整理しないとどうにも続き書けません。
ですので、例に因って暫く休みますけど・・・前回のように完結処理するか悩み中
前回完結してから再開するまで期間短すぎたのでまた完結ってのも変かなぁと




