エピソード1
___夏休みって、思い出つくりに最適だよね?
特に小学校最後ともなれば、嫌でも思い出が欲しくなる。
僕の友人の何人かは、中学校で分かれてしまう。
憂鬱な話。
宿題も終えて、田舎にも行って、毎年恒例のイベントは、残すは夏祭りのみ。
夏祭りは、勿論夜に花火大会がある。
僕は、毎年欠かさず、友達3人と一緒に行っている。
それは中学校になってもきっと変わらないのだろうけど、中学校が別になれば当然新しい友達だって出来るだろう。
今のメンバーの付き合いが悪くなる、なんてことは無いだろうけど、それでもやはり世界が変われば当然価値感も変わる。
だからこそ、この最後の思い出つくりが必要__僕はそう思ってる。
でも、こんな心情流石に吐露できないなあ、とも思う。
そんなわけで、今日は祭りの当日。
女子じゃあるまいし特に支度はない。あ、お小遣いもらうの忘れてた。
なんという失態。
両親はもう仕事にとっくに行っている。僕は自室の壁を見上げた。
午前11時過ぎ。
そのまま目線を机に落とした。
とっくに終わった宿題が無造作に放置されているが、それ以上触った痕跡は全くない。宿題が無ければ、机に向かうこともめったにないから。
ペンたての真横にある貯金箱を手に取った。
お盆の帰省の際におばあちゃんに貰ったお小遣い、仕方ないから使おう。
本当はもう少しためてゲームを買いたかった。