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妹の悪意を極上の宝石に変える無感情令嬢ですが、追放先の辺境で溺愛騎士様に「笑って」と懇願されています  作者: ししのこ


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第3話 魔石不足の辺境伯

 アレクセイの城は、質実剛健な石造りの要塞だった。

 使用人たちは皆、無愛想だが親切だった。温かいスープと、柔らかい毛布。

 私は数日ぶりに人間らしい扱いを受けた。

「ここは貧しい領地だ。もてなしは期待しないでくれ」

 暖炉の前で、アレクセイが言った。

「十分です。……私を、どうするつもりですか?」

「どうもしない。君が望むなら、ここで働いてもらう」

 アレクセイは困ったように眉を寄せた。

「ただ、問題があってな。この領地は冬が長い。暖房や結界のための『魔石』が、圧倒的に不足しているんだ」

 魔石。魔力を秘めた鉱石で、生活に欠かせないエネルギー源だ。

「王都からの供給が止められていてね。このままでは、民が凍え死ぬ」

 アレクセイの声には、領民を思う深い苦悩が滲んでいた。

 その時、私はポケットの中の『黒曜石』を思い出した。

 これは、エミリアの極上の悪意から生まれたものだ。

 悪意は、強力な感情のエネルギーを持つ。もしかしたら……。

「あの、これを使ってくれませんか?」

 私は黒曜石を差し出した。

 アレクセイが目を見開く。

「これは……! これほど高純度の魔石、見たことがない! どこでこれを?」

「……拾いました」

 嘘をついた。

 アレクセイは疑う様子もなく、私の手を取った。

「ありがとう。これ一つで、城の結界が三日は保つ。君は救世主だ」

 救世主。

 悪女と呼ばれた私が、ここでは救世主。

 私は自分の手を見た。

 私のスキルは、ただの呪いじゃなかったのかもしれない。

 この人のために、もっと「宝石」を作りたい。

 生まれて初めて、私はそんな「意志」を持った。

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