おめでとう!!
蛇の化け物の近くを見つめていると白いスーツを着た三人が立っている。
ーーパチパチ
ーーパチパチ
「おめでとう!!素晴らしい活躍でした」
そのうちの一人の男の人が俺達に近づいてきて手を差しのべてくる。
「ありがとうございます。国王陛下」
国王陛下……ってことは、偉い人だよな?
三人は、すぐにその場で跪き頭を下げる。
ーーって、打ち合わせしてくれなきゃ困るから。
俺も急いで跪いて頭を下げる。
「そんなにかしこまる必要はない。今日の主役は君たちなんだから」
陛下は、俺達四人の頭を優しくポンポンとした。
「頭をあげなさい」
「はい」
頭をあげると国王陛下は「疲れているのだから楽にしなさい」と笑って言う。
三人が足を崩して座り込むのを見届けてから、俺も座った。
「どうして私が駆けつけたかわかりますか?」
『わかりません』
「今まで、この順位で勇者になったものはいませんでした。もしかしたら、本当に平和な世界が来るかもしれない。そう思ったら、みなさんにすぐに会ってみたくなったんです」
国王陛下が、ここに来るのは初めてだったのか……。
「そうだったのですね、国王陛下」
「マーロイ、君には期待していましたよ。君の父親は、とても優秀でしたからね」
「ありがとうございます」
「どうか魔物を全て倒し、この地に平和をもたらしてください」
「はい」
国王陛下は、一人一人を見てから俺の前にやってきた。
何だ?
「エンラート」
「はい」
「最下位の君がどうして試験に合格出来たのかはわかりません。これが、まぐれではないことを祈っています」
「は……はい」
「一人欠ければパーティは強制的に解散になることを肝に命じて戦ってください」
「わかりました」
国王陛下は、俺の肩に手を置くとポンポンと叩いてから立ち上がるように促した。
俺達が立ち上がると、勇者の証であるブローチを一人一人に手渡してくれる。
ブローチは、四つ葉のクローバーの形をしていて黄金に光っている。
「誰かが戦えなくなった時、そのブローチの輝きは消えていきます。私達は、そのブローチのエネルギーを常に感じとっています。だから、あなた方が嘘をついたとしても、すぐにわかるのです。もしも誰かが戦えなくなった時はすぐに城に来て必ず報告してください」
『わかりました』
「わかっていただければよいのです。では、明日から勇者として勤めなさい。勇者になれたもの達に支度金を差し上げなさい」
「かしこまりました、陛下」
隣に立っている男は、マーロイの元にやってくる。
「こちらが、皆さんの支度金になります。新しい武器や防具を買っても良いですし、ご家族に何か買われても構いません。使い道は、自由です」
マーロイが受け取った箱は、ずっしりと重そうだ。
「支度金は、一人につき金百枚になります」
「百枚!?そんなにも」
「これでは安いぐらいですよ」
マーロイの言葉に国王陛下は、首を左右に振った。
「これから何年もあなた方は命をかけて戦うのです。だから、もっと差し上げたいのですが……。過去に支度金を多く渡した勇者が行方をくらましてしまいましたから。そこで、支度金は毎月のお給料と同じ金額にするようにしました。大変だとは思いますが、皆さまのご活躍に期待しています」
国王陛下が深々と頭を下げるから、俺達も頭を下げた。
ゆっくりと足音が遠くに消えていくのがわかり、俺達は顔をあげる。
「緊張したーー」
「俺もだ」
「それで、どうするの?」
「とりあえず、この支度金を一人一人持って帰って明日考えよう」
支度金の箱に一枚の紙が入っている。
不思議なことに俺には日本語として読める。
【明日から南の森の魔物たちを倒してください】と書かれていた。
「南って弱い魔物が多いよな?」
「そう聞いてるわ」
「だったら、エンラートの武器を試してみるのにうってつけだな!」
「そうだな」
南の森に住む魔物達は、力が弱いのだという。
みんなが話すように、俺の武器を試すのには確かにちょうどいい。
早送りを敵に使えばどうなるかとか俺自身も知りたい。
「じゃあ、今日は早く帰って。明日の朝、泉の前に集合だ」
「わかったわ」
「エンラートは、防具を買いに行くか?」
「みんな行くの?」
「私は、家族に支度金を持って帰るわ」
「悪いが、俺もだ」
ハムールとジュリアは、家に帰るようだ。
俺は、どうするべきだろう。
右手首を見つめると、袖がボロボロになっているのがわかる。
これから戦いに毎日行くことを考えると防具はきちんとしたものが必要だな。
「俺は、行くよ」
「そうこなくっちゃ!じゃあ、行こう」
マーロイに支度金を渡されて肩を叩かれる。
これから俺達は、勇者になるんだ!
そして、平和な世界を作る。




