どうやら俺は駄目なやつだったらしい
この体の持ち主は、魔法を使うのがかなり下手だったようだ。
教えられた魔法を使うつもりが、校長先生の髪を吹き飛ばして退学になったらしい。
どんな奴なんだよ、エンラート。
魔法学校を退学して、すぐに弓の学校に入学するも、全く才能はなかったみたいだ。
弓の学校では、的に当てることすらできなくて、僅か二ヶ月でクビになり、そのあとすぐに剣の学校に入ったという。
剣の学校だけ、唯一卒業できたらしいのだが。
その成績は最下位だったのだとか。
いやーー、めちゃくちゃ駄目な奴じゃね?
それで、よく勇者なんか目指したよな。
俺の疑問に答えをくれたのは、剣の男だった。
「マーロイとエンラートの父親が、昔、同じパーティだったんだ。だから、ここに誘ったわけだよ」
「へーー」
弓を使っている男の名前が、マーロイだというのがわかった。
どうやら彼の父親と俺の父親は、かつて最強勇者パーティで共に戦っていたらしい。
要するに駄目な俺がこのパーティに入ったのはコネだったってわけだ。
しかも俺の父親は、かなりの剣の使い手だったらしい。
だから俺も期待されていたみたいだけど……俺に剣の才能は全くなかったみたいだな。
いや、剣だけじゃなく全部の才能がなかったわけだよ。
本当に残念な奴だよ。
ーーって、めちゃくちゃポンコツじゃん。
確かに俺は、病気がちだったから体育の時間とか休むしかなかったんだけど。
それでも、何とか走れはしたし……。
小さい頃は、なわとびだって飛べた。
ーーって、もしかして俺の体力がなさすぎたからこいつの中に入ったりしたのかな?
「パーティの人数は、四人必要なんだ。だから、俺がエンラートをこのパーティに入れたんだ」
「そう……だったな」
マーロイが話すのに適当に相槌をうちながら俺は考える。
たぶん、エンラートは入れられたくなかったのだろう。
だけど、友達の頼みだから入ったんだろうな。
自分には、無理なことをわかっていながらも。
それで、俺と変わったってことは死んだってことになるのか?
考えても仕方ないよな。
マーロイがパーティのメンバーの説明してくれる。
パーティメンバーは、剣の学校を四位で卒業した剣士のハムールと魔法学校を五位で卒業した魔法使いのジュリア。
そして、弓の学校を六位で卒業したマーロイだ。
それと剣の学校を最下位で卒業した俺。
俺以外のメンバーは平均的ってとこだろうか。
俺がみんなの平均点をかなり下げてるんだろうけど。
「学校を上位で卒業した奴らは、とっくに勇者として働いてるんだよ。だから、俺達も頑張らなきゃな」
マーロイの話によると、三位以内の卒業生達はすぐに魔物退治をする勇者になって働くのだとか。
そして、勇者として働くと毎月国からお給料として金貨百枚もらえるんだとか。
より多くの魔物を倒したものには、ボーナスがあるんだとか。
「魔物をたくさん倒したものは、両親に家を建ててあげられているんだ。だから、俺達も頑張るしかないって話しただろ?それとは別に平和な世界も作りたいわけだから」
「あぁ……そうだったな」
俺は、マーロイの話に適当に相づちを打った。
ってか喋り方って、これであってんのか?
でも、誰も突っ込まないとこをみるといけてるんだよな?
まあ、それは置いといて。
俺は、正直戦いってのはしたくなかった。
だってさっきみたいに殴られたりするんだろう。
俺は、今まで人生で一度も殴られたことがない。
殴ると死ぬかもしれないから。
両親は、俺に手をあげたことはないし。
学校の先生が殴ればすぐに問題になるから、それもなかったし。
友達ってのも、学校にほとんど行けなかったからいなかったし。
だから、痛いのは苦手なんだよな。
だって、死ぬかもしれないじゃん。
ーーパチパチパチパチ
急に拍手の音が響いてきて、俺はキョロキョロする。
目の前の三人はその音がどこから聞こえているかわかっているようで、蛇の化け物の近くを見つめていた。




