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さいはての、NIPPON。APENDIX


美織への手紙

美織へ


私は、ずっとあなたを見ていた。

あなたは不器用で迷いながらも、誰かに自然に信頼され、好かれている。

あなたの周りの人たちが、当然のようにあなたを頼るのを、私は何度も目にした。

そのたび、心の奥で、嫉妬と不安が渦巻いた。


私には、無条件で選ばれた経験がなかった。

成績が良いから、役に立つから評価される。

条件を外れた自分は、誰にも必要とされない――その恐怖が、ずっと私を支配していた。


父は私に、できることだけを求めた。

母は、壊れながらも、私に頼るだけだった。

私は家の中で「役割」を果たすことでしか存在を許されなかった。

その頃から、私はずっと勘違いしていた。

「役に立つこと」と「愛されること」は、同じだと。


だから、あなたの存在は耐えられなかった。

誰かの保証がついている人は信頼できる。

その「保証」があなたにはあって、私はいつも取り残される。

努力では届かない、手の届かない光だった。


私があの日、あの行動をしたのは――

あなたの「好きそうな顔」を壊したかったからだ。

誰かの大切なものを奪えたら、少しでも、私の存在が確かに刻まれると思った。


お金を盗んだ理由を聞かれても、「わからない」としか言えなかった。

本当は、よくわかっていた。

言葉にしてしまえば、もう戻れないことも、わかっていたから。


ごめんなさい。

私がしてしまったことは、あなたに向けた暴力で、取り返しのつかない過ちだった。

でも、これが私だった。

役に立つことと愛されることを混同してしまった、歪んだ私のすべてだった。


もしあなたがこの手紙を読むなら――

どうか、私を憐れんでも、責めても、理解しようともしなくていい。

ただ、私が存在したことだけを、そこに置いておいてほしい。

私はそれだけで、やっとここにいた意味を見つけられる気がするから。


鳴海 綾


代表メンバー2014年ブラジルW杯 NHKテーマソング

椎名林檎 「NIPPON」


出典

https://ja.wikipedia.org/wiki/2014_FIFAワールドカップ

https://www.jfa.jp/samuraiblue/worldcup/2014/member.html



あとがき

初めは純粋恋愛小説でした。暗い。重い。なぜこうなる笑。ものすごい作品を作ってしまって、公開するか迷いました。陶酔というのか自己嫌悪です。作品を味わってもらえると嬉しいです。みんなで頑張ろう!的な勢いを描きたかったのですが、全く逆に行った気もします。笑。



*本作品はフィクションです。

*自殺は決して解決策ではなく、必ず周囲や専門機関に相談してください


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