さいはての、NIPPON。後編⑦
12月。涼風が吹いている中、慎一と綾は、二人で昼食を屋上で食べた。
慎一はケリをつけるために来た。
綾の閑話に横槍を入れた。
『綾、話したいことがあるんだ。』
慎一が話そうとするやいないや、綾は遮断した。
『私、死のうと思うの。今日。』
慎一はこの時、綾は自分のことを好きではないと確信した。恋愛は、散らばったものを一つにまとめる作業で、散らばりがなったらそもそも、まとまらない。
『そういうのは。もういいんだ。』
そう言って、美織は走った。屋上の校舎端に足をかけて、片足を投げる。
『ほんとだもん。見ててね。』
慎一は焦った。
『待って!』
綾を止めようと、いや一緒に行こうとした時、綾は左足を軸に半周回った。
慎一は、直前、綾の表情は全世界の時間がまるで止まったように、微笑んで大凡人生の全てを知った顔だった。
綾は、笑った。
滑稽だったけれども鮮明に暁光させてるような興奮があった。
『フフ。フフフフ。』
綾が去ろうとした矢先、美織が入ってきた。
『待って。』
『すごい音が鳴ったから、やっぱり嫌な予感が的中した。』
屋上に上がった時は遅かったらしく、綾だけが笑みを浮かべて立っていた。綾は、美織には放った。
『頭が痛い。これをやっても他にやることがある。やること。やること。やること。私は、やることによって構成されている。』
綾は、言う。
『私はここにいることに知ってほしかった。』
美織は、聞く。
『慎一は?』
綾は、言う。
『逝ったよ』
美織は、聞く。
『綾はそれだけで真一を殺したの?許さない。』
綾は、美織を殴った。
生暖かい血が腕を垂れたが、彼女は微笑んでいた。
冷静に対処した。
美織は、言う。
『警察に連絡するわ。あなたは逮捕される。終わりだわ。』
綾は、聞く。
『あなたは通報しない、いやできないわ。これはあなたと私の契約。美織、あなたは私の僕だから、これから一生私の声が付きまとうわ。そうは思わない?』
美織は、言う。
『ないわ。』
綾は、美織に背中を向けて、裸足で校舎の端に再度立った。後ろを向いて、幸福に満ちた顔を美織に見せつけると、美織は自分の好きだった人を手にかけた人間を許すことができなかった。思わず。
綾は、言った。
『ほらね。』
泣き崩れた。
美織は、聞く。
『なんで。なんでなんで。なんでなんでなんで。』




