さいはて、NIPPON。 前編①
本作品は、心理サスペンスでフィクションです。
この作品には、性的な表現や暴力的な描写が含まれています。苦手な方はご遠慮ください。
本編
羽島高校サッカー部では、2014年、エースとマネージャーが屋上から飛び降りるという奇妙な事件が起きた。これはその謎を追った短編小説である。
初夏の匂いが、残光とともに知らさせる5時間目の家庭科。陽光が教室に差し込むこの景色に当てられて意識が薄くなっていく。
『おい。寝てる、そこのきみ。起きなさい、こら。君の成績で寝るとは、大したもんだ。大谷 慎一君。』
イヤフォンから
『万歳(Hurray)!万歳(Hurray)!』とNIPPONが溢れる。
『あ、すみません。』
授業中に、音楽を聴く。億劫だ。YouTubeを見て、家に帰って水曜日のダウンタウンを見てるけれど、流している。
昨日、日曜日の県大会準決勝。高校一年生で、スターティングメンバーに抜擢された私は、ゴールを決定機に確かにこう聞こえた。
『フレー!フレー!いけ!いけ!勝利!勝利!。』
ある人が横から囁いて、シュートを打てと聞こえて、足が放っていた。
そうだ。女はそこにいた。睡眠学習を注意された日の寝る前深夜。暗い、一人の暗さ。危ない暗さ。肌で時間の流れが、止まっているそれは、奇妙にも穏やかな眠りへと誘った。
翌日、部活の帰り道。
『元太は確か、お父さんが偉い人なんだっけ。勝田 元太って珍らしい名前だよね。』
横のこいつは、勝田 元太。いいやつだ。羽島高校サッカー部では、勝田と大谷の二人で2トップFWを高校一年生で抜擢され上級生顔負けの実力を持っていた。
『そう。俺の親父は、昔サッカー選手だったんだって。あまり多くは語ってくれないけどね。』そう微笑んだ、勝田の顔は、どこか寂しげな影が笑窪から作られていた。
元太は唐突に聞いてきた。
『お前は、その、美織のこと好き?』
米倉 美織。伝統ある羽島高校サッカー部マネージャーだ。同中で、親同士も仲が良い、言わゆる幼馴染だ。俺が、サッカー部へ入ることを聞きつけた矢先、美織も連らなるように入部したことを知っていたが、素っ気無い態度を見せていた。
真面目に議論するだけ無駄だ。茶番に付き合ってる時間はないと思いこう答えた。
『そんなの、わからないよ。』




